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レヴェネイター  謎多き魔法探偵と霊量士(クォルタード)の活動録  作者: トッキー
第1部 邪神復活事案 レヴェネイターズ始動!
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第71話 新たな事件の気配?記念病院の怪



 それから数日後、間城は誰もいない家で出かける支度をしていた。


 落ち着いた色調の服装でまとめ外出し、道中にある花屋に立ち寄る。実はこの花屋、渡野綾香の実家でありこの街が春花と呼ばれる前からある長い店である。


「あら、間城ちゃん」


「こんにちは綾香さん。あれからどうです?」


「まあまあかな……今のところ何もないわね。早くみんなと共に戦いたいんだけどね」


 店に入った間城は、店番をしている綾香と目が合い挨拶してから、2人は誰にも聞こえないようにそう話をしつつ、お見舞い用の花を購入したいと間城は彼女に言うのであった。


「分かったわ、いつものお見舞い用の花ね。今用意するわ」


 綾香は手際よく幾つもの花を素早く見繕い、3分もしないうちに商品を作り間城に渡し代金を受け取った。


「星奈ちゃん、早く目覚めるといいわね……」


「はい。あの時声が聞こえた。もしかするとって思ってます」


「そうね、私も祈っているわ。まだ力になれないけれど、毎日鍛錬はしているわ。手から霊量子だっけ、あれを遠くに放つのはできるわ」


「えぇ……すごいじゃないですか綾香さん!その調子、ですよね」


 そうしてしばらく話をし店を後にした間城は、クレープ屋で注文したキャラメルクレープを食べていた彩音を見つけた。


 何でも亀裂の調査をしながらスイーツ巡りをしていたという。これは伯爵からの依頼で、ハーネイトにどこかおすすめの店を教えてやってくれと言うものであった。


「星奈ちゃんのお見舞いに行くの」


「私もついていっていい?」


「別に構わないけど」


 彩音は間城と、もう一つ頼んでおいたフルーツがふんだんに入ったクレープを分け合い食べてから、友達である星奈という同級生が入院している春花記念病院まで共に行動していた。


 街中を歩いても、特に目立った事件は起きていない。あれから妙な事件は一つも起きていない。2人はほっとしつつも、あることを思い出していた。

 

 ハーネイトが言っていた、色んな事件の影に異界の住民が潜んでいる可能性もあるということを思い出し、自分たちの活動でそれが抑えられているなら何よりだと思っていた。それから間城は、ある話題を切り出した。


「彩音、星奈の意識が戻らないのと今起きてる事件、私絶対関係があると思うの」


「それはなんで?間城ちゃん」


「私が具現霊、アイアスを呼んだ時、どこかで別の声が聞こえて、それが星奈の声みたいで……何かを訴えかけようとしてる感じがするの」


「ねえ、もう一度心の中で探って声を聴いてみたらどう?」


「そうだね……また元気な姿で話したいな」


そうして2人は春花記念病院まで徒歩で向かっていたのであった。


 その間に、響の母である京子は息子から教えてもらった、ハーネイト探偵事務所ことレヴェネイターズの拠点を訪れていた。


「本当に高級ホテルの地下にあるのね……差し入れにアップルパイを持ってきたけど、彼らのお口に合うかしら」


 フロントの人に事務所について尋ねようとしたが、それを見ていたシャックスが珍しく声をかけ、案内すると事務所のある地下まで連れて行っていた。


「ここですね。私は別件があるので失礼します」


「ありがとうございますシャックスさん。お仕事の方頑張ってくださいね」


 そういうとシャックスは微笑みながらエレベーターの方に向かい屋上に向かう。そしてどこからか弦楽器を取り出し静かに演奏し始めたのであった。


 少し悲しげに、時折感情を強く込め弾きながら何かを思い演奏を続けていた彼は、今起きている事件が少しでも早く解決するように祈るため、楽器を1人で弾いていたのであった。


「京子さんですね、響くんから連絡は受けています。どうぞ中へ」


 京子はドアをノックした。するとハーネイトが対応し、彼女を中に迎え入れコーヒーを淹れてからカップを机に置き、優雅にソファーに対面形式で座る。


 それに気づいた伯爵が京子に声をかける。リリーは他の従業員と共にホテルの外壁を掃除しているらしい。


「おう、来たんだな。どうだへへへ。この事務所は」


「はい、よくこのような場所で構えられましたね。これも貴方たちの人徳、ですか?」


「相棒はそうだろうなあ。いい男だろ?」


「余計なことを言わないでくれ伯爵。では本題に入りましょう。響からも話は大体聞いたのですが、それは本当ですか?」


 今回何故京子が事務所を訪れたのか、それは彼女が勤務する春花記念病院にて怪しい存在を目撃したというのが理由であった。それは数日前にさかのぼる。


 最初の目撃者は彼女の同僚である裏川玉栄という看護師であり、地下にある備品を取りに向かった際に、誰もいないはずの廊下を女の子が横切ったという。


 最初は見間違いかと思ったが、怖くなって戻ろうとした際にもう一度見てしまい恐怖で京子に相談したという。


 その話を聞いて京子は、もしかすると響たちが戦っている存在と関係があるのではと考察し息子と話し、直接事務所まで出向いたのであった。


 それと今回事務所まで足を運んだもう一つの理由は彼女が5年前に起きた世界を大きく変えた事件に関する新聞記事や写真、友達などの証言などの追加資料を彼らに渡したかったからであった。


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