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レヴェネイター  謎多き魔法探偵と霊量士(クォルタード)の活動録  作者: トッキー
第1部 邪神復活事案 レヴェネイターズ始動!
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第67話 宗次郎からの依頼1・ケガをした愛馬を治療せよ



「実はな、私が長年世話をしていた愛馬が昨日ケガを負ってな……放牧中に何かに驚いたようで逃げた際に前脚の骨を折ってしまったのだ。このままでは殺処分しなければならない」


「すぐに私に診せてください」


「まさか、治療できるというのかハーネイト君。しかし、これは最初から……いや、どういうことだ」


 人間相手はともかく、それ以外の生物を相手に治療を施すなどいくら何でも流石に無理だろうと思っていた宗次郎だったが、彼の言葉を聞き目を丸くしたのであった。


「私は自身の故郷に流れ着いた地球人の医者、獣医師などから指導を受け、それぞれ故郷のですが治療及び医療免許も持っているのです。魔法使いで免許持ちは私を含め10名もいないのですが」


 ハーネイトの話を聞き、多くの命を戦うだけでなく治すことでも救ってきたという彼の活動に称賛しつつ、それでもまだ本当に愛馬を治してくれるのか宗次郎は不安がっていた。


「それと人間以外の生物の治療も時々やっていました。馬、ですか。前に異界物として流れ着いた商業動物の治療をしたのですが……一応ダメもとで任せてもらえませんか?」


「わかった、案内する。見てやってくれ。どうしてもだめというならば、その時は言ってくれ」


 あらゆる世界を管理できる入れ物、大世界を作りし生命体の一族の手にかかればこの程度息をするかのように解決できる。ハーネイトの顔に動揺や恐れの表情など一切なく、依頼を快く承諾したのであった。


 宗次郎ははっきり自信を持ってそう発言した彼の力を信じ、ホテルから車を出し北の方へ車を飛ばす。しばらくするとそこには広大な草原が広がっていた。


 この草原は紅魔ヶ原一族が所有するものである。その一角に、馬や牛などを飼育する牧場がありそこに彼は案内する。


 それから少しして、怪我をしている馬をハーネイトに見せたのであった。まともに立てる状況ではなく、このままではあと1,2日ほどで命を落とすのは避けられない状態であった。


「足が折れているな。本来馬は足の怪我イコール致命傷……だがこの私なら、こういう怪我も治せちゃうんだなこれが!ってね。医神を舐めないでよ!」


 よく見ると前脚の骨の一本が折れている。それを見るとハーネイトは折れた部分にそっと手を添えて何かを念じる。するとたちまち骨が繋がり尋常ではない速度で再生していく。


 苦悶の表情を見せていた馬の様子がどんどん良くなり、最後に他にけがなどをしていないかハーネイトは丁寧に観察する。転倒した際の擦り傷なども合わせてぱっと治し、他に内臓部分などで異常が起きていないか微弱な霊量子を放ち検査する。

 

 それから数分で処置を終えた途端、馬は元気よく起立し駆け出し、盛大に鳴いたのであった。


 それを見た宗次郎は、開いた口が塞がらなかった。実はこの馬は怪我をする前から少し元気がなく彼は心配していたのだが、それがまるで嘘かのように馬は勢いを取り戻していたからであった。


「な、なんと!以前より元気になっているではないかハーネイト君」


「解決屋の仕事で、こういう生物たちを魔法治療で治していましたので、この程度造作もありません。よかったですね、宗次郎さん。他の悪そうなところもサービスで治療しておきましたよ!」


「はっはっは、儂は誠によい男を見つけたのう。改めて礼を言う。よかったなジョセフィーヌ」


「ヒヒ―ン!!!」


 宗次郎は一体どれだけ恩を返せばよいのか分からなかった。それと同時に、通常不可能なことを平然とやってのける彼の力に恐怖心も抱いていた。


 しかし彼の辞書に不可能という文字はない。もし彼に不可能なことが生じた場合、全てが終わるからである。

 

 その後も宗次郎は深々と礼をし、愛馬を撫でてしばらく一緒にいたのであった。


 その間にハーネイトは伯爵からの報告で森の近くに光る亀裂を発見したと連絡を受ける。伯爵からの報告を一通り聞いて、明らかに何かの魔獣の足跡が近くに存在しており、ジョセフィーヌはそれに気づいて驚きあわて、転倒したのだろうとハーネイトは推測する。


「すみません宗次郎さん、ジョセフィーヌを驚かせた犯人が近くにいるようです。今後のためにも……」


「分かった、待っておるからな。それと何か食べたいものはあるか?」


「特に今は……とにかく行ってきます」


「大丈夫かのう、どんどんやつれていってないか彼は」


 宗次郎は彼の顔色が少し悪いことに気づいたが、それ以上言うなと言わんばかりの雰囲気を出されそれ以上指摘することができなかった。


 一方ハーネイトは連絡のあった伯爵のいる場所まで移動する。すると伯爵とリリーが退屈そうにヤンキー座りをして彼を待っていた。


「遅いーー!」


「遅せえぇえええ」


「悪かったって。メインの依頼はクリアしたし、ここは3人で久しぶりに探索しよう」


 ハーネイトたちは小さな光る亀裂に近づく。するとやはり引きずり込まれ、そこはよく見ている電子空間様の一般的な亀裂内部環境であったが少し歩くと変質化しているところがあった。


「この空間は……ここも異界化しているな。しかし気運の汚染は確認できず」


「しかも、ほら見てハーネイト!」


「こ、これは!まさか!」


 リリーは何かに気づき、ふわふわと浮遊しながら移動し、地面に落ちていた何かを拾いハーネイトに見せた。すると彼はとても驚いた表情でそれを手に取った。


「前に行ってたよね、半分霊量化した宝石がたくさんほしいって。あちらこちらに散らばってるわ。綺麗ね!」


「でかしたぞリリー!今日は好きなもの好きなだけ食べていいぞ」


「よ、よっぽどね。まあそうさせてもらうわ。てことで伯爵、回収するわよ」


「へいへいへいへい。これが新たな強化材料か。宝石魔術、あのジルバッドという師匠がやっていた研究だな」


 そうやって30分ほど探索し、予想以上に強化用の素材、宝魔石ジェムタイトを入手でき彼はご満悦であった。


「しかし、ここには番人がいるみたいだぜ」


「グルゥアアアア!」


「いつの間に!だが今回は、好きに暴れられるな!」


 突如現れた巨大な鹿型の魂食獣が3人に襲い掛かる。しかしそれを呼んでいたかのようにハーネイトは戦技を繰り出す。


「行くぞ、創金の理の果てに、私は答えを提示する!新技の感想聞かせてね!創金剣術・刀境幻鋭刃とうきょうげんえいじん

「ピギャアアアッ!!!」

「まだだ!うなれ鉄拳!MF・コメットブローストライク!」


 無数の武器が地面から木々の如く勢いよく生え、獣の胴体を串刺しにして動きを完全に封じ、止めに頭に対し、機械の拳で振りかぶるように殴り消滅させた。


 どうも日頃中々全力を出せない、出すことが難しい場面によく出くわすからかストレスがたまっており、もはや一方的な攻撃であった。


「俺たちの出番は…ってあるな!お宝横取りすんな!サルモネラブレイザーーー!」


「甘いわね!えいやっ!もう、うざったいわね!大魔法、闇の4式・花蓮黒嵐かれんこくらん!!!」


 それと同時に、こうもり型の獣がジェムタイトをリリーから奪おうと近づいてきたが、伯爵とリリーの手により粉砕された。その後も魔銃や魂食獣としばらく3人は格闘し、ようやく場が落ち着く。


 こうして調査を終え、ハーネイトたちはこの亀裂に関しては特殊な封印術を施すことでいつでも入れるようにしつつ、外部への被害を抑えるようにしたのであった。


 勿論調査が終われば閉じることになるだろうが、資源の山であることが分かった以上再調査を行う必要があると彼らは思いそうしたのであった。

 

 その後彼らは宗次郎のいる建物まで向かい、作業が終わったことを報告したのであった。



「帰ってきたか、しかし嬉しそうだなお主」


「はい、しかも犯人も退治してきましたのでもう大丈夫です」


「そ、そうか。では帰るとするか。夕方から会議があるのでな。しかしおぬし、本当に探偵と言うよりは何でも屋に近いな」


「そうですよって、何かあればこの私にご一報を。どんな悩みも解決なのです!」


 宗次郎はそうして彼らをホテルまで車に乗せて連れて行くのであった。ハーネイトの嬉しそうな顔を見てほっとしていたが、それでもどこか疲れが見える。どうすればよいのか考えながらも運転に集中しホテルの玄関まで車で向かい、3人を送迎した。


「しかし、不可能なことがないと言った割に、乗り物全般が苦手なのと泳ぐのが少し不得意とはな……」


「仕事モード以外でそれをするとよくない、と言うだけです。それで、次は何の御用ですか会長さん」


 ハーネイトは宗次郎の言葉に少しだけ不満そうにそう答えながらも、他に用事がありそうだと察しそう質問をするのであった。

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