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レヴェネイター  謎多き魔法探偵と霊量士(クォルタード)の活動録  作者: トッキー
第2部 桃京血徒戦線 暴走する神造兵器・血徒(ブラディエイター)
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第255話 血徒拠点攻略戦開始・地上ルート


 一方で地上組の一行は敷地内への侵入には成功した、だがすでに彼らは敵の罠にはまっていた。そう、無数の血徒感染者こと血屍人に変異化が進んだ血鬼人、更に複数体の血鬼人が融合した怪物が待ち受けていたのであった。その光景はまるで地獄絵図であり、中には動揺を隠せない者もいた。


「こりゃ、思っていた以上に……やべえ」


「既に数十体の変異体、というか血屍人が施設から逃げ出し街に向かっている」


「何としてでも阻止しなければ」


「まずは前哨戦だぁ!行くぜ響」


「ああ、分かってるよ翼!」


 このまま放っては絶対にいけない。恐らく迎撃用に相手が準備したものではあるが、一体とも逃してしまえば後の想像は容易につく。響と翼はいち早く具現霊を背後に召還して、飛び込むと同時にUAも起動、ためらいなく血屍人の集団に攻撃を仕掛ける。


「先生たちの邪魔はさせない、ここで引き付けて倒す!弁天、音響撃よ!」


「もう、みんな勝手に突っ走ると危ないわよ!ほらっ!」


「行こう、ミチザネ。街に迫る血徒を倒すんだ!」


「CPFは使っていいんだな?」


 もはや勢いに任せ、各自響と翼に続いて突撃を開始する。迎撃のために召還された血屍人の群れはまるで大波が迫るかのような勢いで向かってくるが、冷静に立ち回り各個撃破していく。


 時枝は外に出ようとする敵をミチザネの雷撃で仕留め、星奈や韋車、亜里沙に間城は連携を取りながら具現霊の戦技で効率よく撃破していく。


「あまり規模の大きい技は使用しないでと言われています韋車さん」


「マジかよ星奈ちゃん」


「というかそもそもCPFは異界空間内でしか……」


「ここぞで使えばいい話だろう、そら、逃すかよ!覚悟しな吸血鬼ゾンビ!!!」


 韋車は先の戦いでCPFを使って、改めて連携して使えると思ったので仕掛けようとするが、今回は周囲に建物が多く使用制限がかかっていることを星奈に指摘され困惑する。だったらやられる前に倍返しだといわんばかりにレイオダスをバイクモードに変形させ搭乗、敵陣を突っ切る形でまとめて撃破していく。


「まったく、年寄りを戦場に出させるとはのう」


「にしてはノッているのでは?学校の仕事どころじゃないな全く。カーズ、左舷の敵を頼む」


「任せろ、行くぞ!グラッジマシネイション!!!」


「無駄に数が多いね、カラミティ、同時攻撃よ。せーのっ!アウトレイジブレイクっ!」


 一方で敵集団のすきを窺い、より内部まで突撃を仕掛ける文次郎、田村、ジェニファーはタイミングを合わせた攻撃で敵の攻撃を一切許さず複数体撃破していく。


 しかし倒しても血海から次々と敵は湧いて出てくるので負担が徐々に重くなってきていた。


「助かったぞジェニファー、後は俺が!」


「敵を呑んでやれ!やれ、黒蛇!蛇龍壊牙だ」


「もう皆さん……あっ、そこにもいるのね!頼むわよ兄さん」


「任せとけ!」


 それに気づいた黒龍と亜里沙は加勢し、血海を具現霊の戦技を用いて吹き飛ばし、敵の出現を抑える。半分Aミッションのような状態と化していた現場であったが、各員優先すべき目標を理解し、効率よく血海で汚染されている地面を浄化していく。


 目の前に移る施設の中央に階段がある。まずはそこまでたどり着かないといけない。しかし敵の新たな増援が彼らの前に出現したのであった。


「あ、あれは何だ?でけえな」

あれは橋の上で出現した、恐らく血鬼人の変異体かと」


 敷地の中央付近より、血海の底から湧き上がるかのように現れたそれは、血鬼人が数十人も融合し、まったく別の生き物のような姿形をとった、無数の腕を胴体から生やした巨人のような怪物であった。大きさは全高15mほどで、出現とほぼ同時に地面を殴り血柱槍を前方広範囲に召喚しまとめて串刺しにしようとしてきた。


「これはおっかないのが出てきましたね」


「こ、怖いけど、や、やるわ!超戯画・焔壁!!!」


「アイアス!頼んだわよ!」


「勿論だぜ、絶対七盾っ!!!」


 強力な攻撃に対しいち早く、シールダーの力を持つ間城と、新たな技を考えた初音は力を合わせ、戦技を使用し敵の攻撃を真正面から受け止め完全防御に成功する。今だと2人はアタッカー部隊に指示を出し、2人の背後から左右に分かれて挟み撃ちを仕掛ける。


「今のうちに勝負を決めてぇえ!」


「チャンスは逃さない主義なんでね。ゾロ、連撃のプレリュードだ!」


「今だ!まとめて処分してやる、ゲイ・ボルグっ!」


 先に仕掛けたのは亜蘭とスカーファで、融合体の次の攻撃態勢を見切って先制で敵の足部分を集中攻撃し移動を止める。


「スサノオ、派手に暴れるぜぇ!」


「ああ、任せとけ!五崩落だぁあああ!」


 そこに五丈厳が霊量飛行術で大きく飛び上がり、スサノオと共に脳天めがけて強烈な一撃を派手に食らわせる。完全に混乱状態に陥った敵は、無差別に攻撃を仕掛けようとするが、次の瞬間すべての腕は破壊されていた。


「っと、わしの目から逃れることはできん。マカミよ、アイツらの手助けをしてくれ。わしはこれで行く。……っ!」


 それは、スカーファらよりもかなり後方から、宗像がUA・スナイパーライフルを用いた狙撃によるものであった。的確に腕の関節部をすべて打ち抜き吹き飛ばし、追い打ちで具現霊マカミに火炎の息吹を使わせ目くらましとして利用する。


「ナイスアシストだぜ!全員で畳みかける!」


「俺たちならやれる!そうだろ!行くぜええええぇ!」


「これで、終わりよ!」


 最後に、敵の背後から響と彩音が同時に具現霊で攻撃し、完全に融合体を破壊することができたのであった。まだ個人でこれを倒すのは難しいが、連携が整っていればこのような芸当はできるくらいには彼らは強くなっていた。


 すると、乾いた空気を鋭く伝わるほどに拍手が施設玄関口の方から響いてきた。それからわずかに間を置き、異様なオーラを身にまとった血徒の姿を全員は目でとらえた。


「まさか、ここまで力を得た人間が多いとは、私もまだまだですね」


「げっ、貴方あの時の敵ネ!」


 ドアの奥からやってきたそれは、以前交戦記録のあるSFTSの微生界人、スフティスであった。終始不気味なくらいな笑顔で彼らに接するが、勿論全員警戒を解くことはない。


「こ奴は、スフティスと名乗っておったの」


「フフフ、覚えていてくれて光栄ですね」


 文次郎は一歩前に出て、今までの事件に関わっている可能性があるスフティスに対し、厳しい目線と表情をぶつける。スフティスはやれやれと言わんばかりのジェスチャーを見せてから、自身の気を集中させる。


「いいでしょう、私もこれを使用するとしますか。血衣魔装ブルームシュティール・遠撃機動形態ぃ!!!」


 すると、スフティスは体の内側から力を放出するかのようなモーションをとりつつ、周囲に存在する大量の血海を身にまとい、それを変化させていく。


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