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レヴェネイター  謎多き魔法探偵と霊量士(クォルタード)の活動録  作者: トッキー
第2部 桃京血徒戦線 暴走する神造兵器・血徒(ブラディエイター)
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第226話 桃京への移動指示


 ハーネイトは宇田方が用意した、特殊機動第一小隊の車両と共に、主要施設を確認するため各地を周りつつ、4地域での作業が完了したことを確認し、ホテル・ザ・ハルバナの地下事務室のモニターに通信する。


「まずは、緊急事態に迅速に対応してくださった皆さん、お疲れ様です。全チーム、目標は達成したのですよね?」


「はい、ただ違和感と言いますか……」


「ああ、私もおかしいなと思う。あまりにも戦力が中途半端というか……だからこちらの直属を桃京に数人呼んできたのだが」


 ハーネイトは事務室にいる響たちの様子がおかしいことに気づき、そう質問し彩音が一番に、戦いの中で体感したことを告げる。


 それを聞いたハーネイトは、各方面からの報告を聞いていたため、既にミロクやミレイシアなどは桃京に召還したという。


「陽動だとしたら、質が悪い話だぞ」


「こちらも、軍の車に乗って桃京の中を走っているけど、嫌な予感しかしないな」


 宗像の言葉に同感だといいハーネイトは、暫くして連絡を再度かけるといい通信を切った。その間に、響たちは少しでも万全の状態で体を動かせるように休息をとっていた。


 それから数時間後、ハーネイトは再度モニターで響たちに呼びかけを行う。


「ともかく、全員桃京のポータルまで来て頂きたい。防警軍総司令官が君たちにも会いたいと。急で済まないが」


「はい、今から行きます先生」


 そうして各員は身支度を済ませるとホテル屋上まで移動してから、ポータルを使用し桃京に移動することになった。


「ここは……」


 ポータルの転送先、それは刈谷自動車の本社屋上であった。亜里沙や大和は知っている建物であるが、それ以外の人にとってはここはどこ状態であった。


「ええ、ここは刈谷自動車の現本社ですね。しかも屋上です」


「こんなところにポータル置いたのか先生」


「もっと便利のいい場所においてほしいぜ」


 響と翼はそれぞれ、降り立った場所について感想を述べるが、それをハーネイトはこっそり聞いており、全員に対し通信を行う。

 

「ああ、聞こえているぞ。とりあえずうまくいくか置いたのだが、近いうちに便利な場所に置き換える」


「聞こえてるのかよ兄貴」


「とりあえず、防警軍の総本部に向かえばいいのですね」


「ああ、頼んだぞ」



 それから響たち一行は、街中を歩きながら防警軍の総本部まで向かうことにしたのであった。地下鉄などは現在運航を停止中で、人数も多いのとさほど距離が離れていなかったのでそう取ったのであった。


「ほう、故郷にはあんな料理はなかったが、気になるな」


「僕は一応地球人なので……あっ、まさかこんな場所でソウルフードを」


「ヨハン、食べ過ぎるなよ」


「みなさん、気になるのはわかりますが、ハーネイト様からの命令はお忘れでなく?」


「ああ、すまねえなシャックス」


 間城や時枝らもそうだが、それ以上に首を動かしては周りを見ながら、目を光らせるハーネイトの仲間たちに響や初音は気持ちに同感していた。


 またハーネイトの仲間であるヨハンは元々地球人でしかも日本人であるため、10年以上の時間を経て戻ってきた後の懐かしさからいつになくはしゃぐ。だがシャックスが場を収め、今は早く合流すべきだと説く。


「いろんなお店があるわね。なんだか、昔のこと思い出すわ」


「これからはこういう華やかな街にも足を運びやすいし、PAでオシャレするならああいう洋服店などで買い物するのもありね」


「なんだか、ボガーさんをはじめハーネイト先生の仲間さんは挙動不審ですね」


「気になるんだろ。ったく、まあ好きにさせとけよ。違う世界から来たんだしな」


 異世界であるフォーミッド界から来た人たちはそれ以降も周囲を見渡しては新たな出会いに喚起し、つい寄り道をしてしまう。


 エスメラルダとリリエットはショーウィンドウに展示された幾つものオシャレな服を見ながら、新技術でいつでもボタン1つで着られるようにしたいと言い合い、それを見ていたジェニファーは疑問に思うも、五丈厳は放っておけと言い放つ。


 少し時間に遅れるも、防警軍の総本部まで彼らは到着し、改めて響と彩音は先生に連絡を入れた。すると3分ほど待ってくれと言い、その場で待機していた。


「こういう形で桃京にくるなんてね」


「桃京には以前遊びに行ったことはあるけど、この防警軍の施設は初めて入るわ」


「そりゃそうだろ?普通は入れないんだぜ」


「そうだな2人とも。あ、先生!指示通り全員連れてきましたが、ホテルの方は大丈夫なのですか?」


 防警軍の施設は限られた人しか入られないので、こうやって中に入ることができるのは貴重である。


 大和やスカーファ、田村に瞬麗が特に興奮していたようで、その後玄関先に現れた宇田方とその部下により響たち一行は施設内へと案内された。そうして歩きながら、ハーネイトはホテルの防衛に関して話をする。


「ホテルには厳重な結界を設置してあるし、PAを応用した技術でまず血徒だろうが何だろうが見つけることすら敵わない。一応八紋堀とロイを始めとした仲間たちがまだ数多くいるのでね」


「ならいいですが……」


「どうした、不安か?」


「はい、先ほどの戦闘が思ったよりも……」


 ハーネイトの返答を聞いた高校生たちは、それならと思いつつも、各地で戦った、自身から名乗りを上げて襲ってきた血徒が気になっていた。それは後から話を聞いたボガーたちもであった。


「話は聞いたぜ。ったく、こちとらTミッション中にあんなことが起こるとはな」


「済まないなボガー、だから貴方達には召集をかけなかったのだ」


 実はボガーたちに対し、新たに現れた異界化現象についての調査を依頼していたため、彼らを呼ぶのをためらい響たちに任せたのであった。


 もはや、空間内にゆがみが発生している状態で、放置し続ければ周りにまで影響を及ぼすため、現在の総数を確認しようとしていたのであった。


「ああ、これからは俺たちも参戦だ。でねえと人手が足りねえだろ」


「全く、この世界でも思っていた以上に汚染がひどいですね」


「ああ、ここまでとは思ってもなかった。奴ら、本当に何を企んでいる。女神への復讐とか、永遠の命だとか情報が逆に多い感じで混乱しそうだ」


「だからこそ、私たちがあれを追跡して、実態を掴まないといけないわけですよ」


 白く清潔な廊下を歩きながら、ハーネイトやシャックスたちは4地域で報告を受けた血徒についての話をしながら、情報整理を行う。


 少しずつ分かってきたこともあれど、それがどう結びつくのかが彼らでさえピンとこないようで、終始悩んでいたのであった。


「もう、あんな二の舞はごめんだぞ」


「我らも、掌で遊ばされてきた相手だ」


「それは、こちらもだ。では、この部屋に入っていただきたい」


 宇田方に促され、大きな会議室に案内されたハーネイトたちは、それぞれ用意されていた席に着席する。それを確認した宇田方は、席を軽くしてから自身の紹介を始めたのであった。


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