第224話 都市解放作戦・Dチーム
北海道(D) 海原 響 五丈厳 スカーファ 京子 黒龍 ナビゲーター ボルナレロ
「他のチームも順調に作業しているな。俺たちもやるぞ!先生は第2波の可能性も考慮せよと言っている」
「けっ、吸血鬼風情が、いい気になるなよ!行くぜ響!」
「その通りだ。何が何でも、守って見せる」
他の3地域での活動内容を聞いたボルナレロたちは、ここも速やかに終わらせようと考え準備を速やかに終わらせる。五丈厳を始めとし、全員のやる気は最高潮に至ろうとしていた。
「私も、こういう戦いに駆り出されるのね。でも、事件で亡くなった同郷の人たちの分まで、私は生きて戦う」
「いい目をしているな、フフフ。そうだ、今まで通りの生活を望むなら、剣を手に取って戦うほかないのだ、京子」
「ええ……スカーファさん」
「そう怯えるな、お前は私とは違う強さを持つ。私の背中は任せたぞ、京子」
そんな中京子は、目に映る光景を見ながら、どこか物憂いした様子を見せる。それを見たスカーファは、彼女の独り言を聞いた。
スカーファにとって京子は、年こそ近いが何もかもが違う存在であり、どこかとっつきづらいなと思っていたが、彼女の瞳に移る、静かながら熱く燃える闘志を感じ自分と似ているところがあると思い声をかけたのであった。
「皆さん、敵がこちらの動きに反応し出現しました。京子さん、私と2人で囮になっていただけますか?」
「構いませんが……」
「私が全力で攻撃しますので、貴女は支援に徹していてください」
「分かりました、ではそれで行きましょう」
星奈は様子を伺いながらボルナレロの派遣したドローンを見つつ、京子に対し戦術の提案を行う。京子は何がしたいのかと思ったが、自身の役割上前に出るのは難しいとは思っていた。
「私も京子さんも、制圧能力はアタッカーに比べると高くありません。ですがやれることはあります」
「ええ、確かにそうね。分かったわ、……響。前のほうは貴方に任せるわ」
「勿論だぜ母さん。じゃあ、行くぞ!」
京子は息子である響に、前の方は頼んだといい、笑顔で彼は言葉を返してから、具現霊を召喚し前に突き進む。
「早速試すぜ、新たな力をな!UAトリガー・ツインセイバー!言乃葉、同時攻撃だ!」
「了解した。戦技・魔刃斬」
走り出した響は、早速汚染された広場の地面から現れた、数体の血屍人に向けて攻撃を放つ。
響もUA計画に参加していたため、自由に好きな武器で戦えることに感動しつつ、得意の2刀流と言乃葉の攻撃を組み合わせ、周囲の汚染ごと纏めて斬り飛ばす。
「いい感じだ、流石先生だぜ。俺も研究に参加してよかったな」
相も変わらず、すごい物を作ってくれる。そう思った響は、先生のためにもこれで勝つと決め、勇猛果敢に攻撃を行っていたのであった。
霊量子でできた剣を幾つも飛ばし、血屍人数体に直撃させながら建物の屋上にいる血徒に感染した魔獣に対して斬撃を衝撃波として放ち倒していく。
「出てきやがったな!全部まとめて、叩き潰す!スサノオ、行くぜ」
「おうよ、いつでもいいぜ勝也」
そんな響を見て、先を越されたと思った五丈厳も後に続いて、広場の噴水近くにいた数体の血屍人に対しとびかかりながら攻撃を仕掛けた。
「UAトリガー・釘バット!!!ってこれも用意してたのかよ先公。ったく、やるじゃねえかハハハハハ!」
勿論血屍人からの反撃もあったが、それをわずかな動きでよけつつ、UAトリガーから釘バットを召喚すると、豪快に地面に叩きつけたのであった。
「あの人、ここまで研究を……フフフ。これは私たちの大きな強みになりますね。UAトリガー・パシフィックトライデント!ワダツミ、飛氷剣を!」
「……!」
星奈もまた、自信が元々得意とする長柄武器を召喚し、それに具現霊の力を込めた一撃を解き放つことで、血屍人の放った血弾攻撃をすべて落としつつ、残った氷の弾で敵を串刺しにし凍らせたのであった。
「ハハハ、元々私は様々な武具を使う者。故に、この新たな力は最高だぞアハハハ!クー・フーリンよ、同時攻撃と行くぞ」
「了解、五光槍・ブリューナク発射!」
スカーファも、ボルナレロの指示を受けて汚染の密集している場所に移動してから、ハーネイトから受け取ったトリガーを起動しつつ、笑いながら槍を召喚し、具現霊との同時攻撃を行う。
新技・ブリューナクとの同時攻撃は、広範囲に広がっていた血徒の呪血を蒸発させることに成功し、新たな力の高まりに彼女は歓喜していた。
チーム員の活躍、もとい暴れっぷりを少し離れた場所からモニターしていたボルナレロは、五丈厳らの攻撃力に唖然としていた。
「何と言う奴らだ。地球に、ここまでの戦闘力を持つ存在がいるとは。フッ、ハーネイトも育成に力を入れるわけだな。おい、B地点がまだ汚染がひどいぞ、向かってくれ!」
一応事前に京子から強化を全員もらっているとはいえの結果に彼は、友であり恩人であるハーネイトが、自身の時間を割いてでもあの人たちの面倒を見る理由が分かるとし、自分もオペレートの腕を上げていかなければいけないと感じていた。
その上で指示を出し、黒龍に今度は汚染浄化をするように指示を出した。
「攻撃手段の選択肢が多くて逆に困るな……取り合えず、色々使って慣れるほかない。UAトリガー・ヒドゥンフッククロー!これに憑依武装・黒龍王!」
黒龍も、おぞましい敵を相手に一歩も引かず、トリガーを構えてある武器を召喚する。それはワイヤー鉤爪であり、それを龍の爪に見立て、具現霊との共鳴攻撃を実行する。
「この一撃、耐えて見せるんだな、吸血鬼!」
「ヒギャアアアアア!」
「プギャアア!」
「おい、それは私の獲物だぞ黒龍」
「言っている場合か?そら、いるじゃねえかよんなところにも!CPF・六魔天閃!」
黒龍も力を理解し使いこなし、敵の撃破と浄化に成功するがスカーファに少し文句を言われ、彼女の背後に迫っていた敵に対しさり気に使用していたCPFを装填、発射し彼女を守ったのであった。
「フン……まあ、今のは助かったぞ」
「素直じゃねえな。おいお前ら、そっちはどうだ」
「順調だぜ黒龍さん」
「今のところ問題ないですね」
「この地にて邪魔をするものがいるとはな、驚きだ。以前の活動では、誰も邪魔をすることはできなかったが、面白い」
ボルナレロが改めて全員の様子をうかがっていた中、それは現れた。不吉で不気味な気運を含んだその大きな声が、街中に響くかのように聞こえていたのであった。




