第218話 都市解放作戦・Aチーム
福岡担当(A) 時枝 音峰 文治郎 九龍 初音 瞬麗 ナビゲーター 大和
「取り合えず現場に到着しましたが、なんかおかしいです」
「どうした時枝、何かあったか」
ポータルで福岡・博多まで移動した時枝たちは、現場の異様な光景と違和感を覚える。
まるでエリア一帯が昼過ぎなのに日暮れ前の様に暗く、血の池の様なものがあちらこちらに存在し、数体の血屍人が出現し街を歩いていた。
既に住民は防警軍の指示により地下に避難している状況である。
「結界石とかギミック的なあれがないのですよ。今までそういうものを取り除いて進んでいたのにおかしくないですか」
「いや、前に自分たちも同じようなことをしたことがある。そもそもAミッションは浄化のためのミッション。ということは……」
時枝の話を聞いたハーネイトは、今回のような妨害のないケースに関しての指示を出す。それは、汚染されている場所をとにかくきれいにするという物であった。
「まさか、こんだけある赤くなって領域を取り除かなければならないってことですか」
「その通りだ」
「えー、結構多くないですかハーネイトさん」
ハーネイトの話を聞いたメンバーは驚き、初音や瞬麗はこの量をどうやって片付けるのか考えるだけでも嫌になりそうとぼやく。
「確かに多いが、やるしかない。汚染領域を10%にまで削減すれば向こうも撤退する。だが注意してくれ。汚染されたマスの隣を通ると、奇襲攻撃を受けることがある」
ハーネイトはそれに加え、血徒が相手だと起こることについても話をする。
血徒が恐れられている理由の中には、奇襲攻撃が得意な点があるというのも含まれている。敵の領域の近くでは、彼が今話したような突如敵が出現し襲い掛かる場合がよくあるという。
だからこそ、できる限り危険な場所を通るときはシールダーを同伴させておいたほうがいいとアドバイスをしたのであった。
「血徒が血の池から現れて襲い掛かるわけか、何て悪趣味な話だ」
「そこが汚染の源でもあるし、何が出てもおかしくないぞ」
「分かったぜ兄貴、全部消し飛ばしてやる」
「頼んだぞ。支給したアイテムも使って、うまくやってくれ」
ハーネイトは通信を切り、自身は防警軍と共同で桃京で異変が起きていないか他の隊員と共同で調査を行うため、急いで指定場所まで急行したのであった。
「じゃあ早速、俺が索敵しますよっと。……おお、こりゃひでえな。博多駅周辺の汚染度がひどい。だがそれ以外は軽微だ」
「有無、では行くぞ」
「こちらもいけるぞ」
「私も準備オーケーね!行くよ!」
大和はすかさずボルナレロと共同で最近作った偵察用ドローンを空に放ち、状況を確認するため偵察を行わせる。それにより情報を集めてから全員は作戦を開始する。
「早速出て来たぞ!」
「そうはさせるか!ミチザネ、雷槍」
「ひゃああ!気持ち悪いったら!ゲンナイ、あれいくよ……超戯画・龍星打!」
「……!」
気配をかぎつけてやってきた血屍人が数体、飛びながら襲い掛かるが既に読んでいた時枝と初音は絶妙なカウンター攻撃を実行し焼き払う。
「な、なんか消えたわね。これでいいのかな」
「そういうことでしょうね初音さん」
「何が血徒だ!んなもんこうしてやるぜ!マスラオウ、剛衝拳だ!」
「砕け落ちろ!怪物が!」
その間にアタッカーである九龍は前に進み、汚染が集中している場所に対し具現霊の攻撃で吹き飛ばす。
霊量士もとい現霊士の中でも屈指のパワー全振りな彼女とマスラオウのその一撃は、確実に敵の肉体を粉砕する。
「いい調子だな」
「だがおかしい。思ったより抵抗が少ないような気がするのう」
「なんか、足止めしてるっぽいネ!ふざけたことしないでよ!ケイトク、あれ行くよ!」
「ああ、我が力に震えろ、刀剣境!」
「唸れ、ベイオウルフ!更にこいつもだ!CPF・碧緑暴風嵐!」
こちらの動きに呼応するかのようにわらわら湧いてくる血屍人の集団に対し、瞬麗と音峰はそれぞれ強烈な戦技を繰り出しこれを撃退、我先にと進む。
だがその背後に、影から奇襲をかけようとする者がいた。それを勿論、文治郎は逃さなかった。
「全く、末恐ろしいのう。むっ、やらせんぞ。ハンゾウ様、力を」
「有無、忍術・忌焔発破!」
「ギャヒィイイ!」
「危なかったのう、全く、不意打ちもよく狙ってくるわい。追っ手は、これで封じればいいんじゃな?PK投擲!」
文治郎はそう言って、具現霊ハンゾウと共に汚染された地面に対しCPFも織り交ぜながら一撃を繰り出し、広範囲の浄化に成功する。
更に攻撃班に迫る脅威を止めるために腰につけていた補助アイテム・PK-009・フリーズスパークを使用し、電撃の罠で敵の移動を妨害する。だがそのとき、このエリアの汚染を作った張本人が現れようとしていたのであった。




