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レヴェネイター  謎多き魔法探偵と霊量士(クォルタード)の活動録  作者: トッキー
第2部 桃京血徒戦線 暴走する神造兵器・血徒(ブラディエイター)
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第216話 血界に包まれた各都市



「……今の話、聞いていましたが急ぎましょう。あの犯人は伯爵に任せるとしましょう」


「ただ事でないのは確かだ。車を飛ばすぞ」


「はい、サインとシャムロックはどうする?」


「はっ、私たちは他に魔薬の拠点があるかどうか調べてきます」


「了解した、気を付けていけ」


「ハーネイト様もです。では失礼します」


 ハーネイトはサインとシャムロックとその場で別れると、その足で宇田方らの乗る車で防警軍総本部に向かい、施設の中に入ると総合管理センター室まで直通のエレベーターで移動し、急いで中に入る。


 すると巨大な幾つものモニターに、日本各地で発生している異様な光景が映し出されており、ハーネイトはその光景の原因が何なのかすぐに理解しこう告げる。


「これは、血界けっかいか。このままではこの中にいる人全員が奴らのしもべというか依り代になってしまう。いや、その前に……」


「なんだと?」


 血徒が作り上げた巨大な結界、というか血界。それは効率よく獲物を捕らえ下僕や餌にするための術式。


 ハーネイトたちは故郷で、街単位で襲われた際に目撃したことがあるためすぐにそれが何なのか分かったのであった。


「ハーネイトよ、あれを対処するにはどうすればよいのだ」


「中に入って、元凶を叩くほかないですね。術式を使った犯人が絶対にいます。ただ入るのはいいですが、出るとなると私たちでも難しい。幸いなことにまだ血界は完成していない。今なら間に合います」


 見たことがあり、戦った経験も豊富な彼は方法を述べるが、宇田方の耳にはどうも内容が伝わっていないようにハーネイトは見えた。そう、その場にいた彼をはじめ、多くの職員が唖然としていたからであった。

 

「なんてことだ……またあの光景が」


「そうはさせませんよ。至急招集をかけてから各地で調査と敵の討伐を開始します。伯爵もどうやら仲間を配置しているようですし、それを利用し逃げ遅れた人を救助します」


 その様子を見かねたハーネイトは、場を張りつめるがごとく大声でしっかりと、高らかにそう言い放ち正気を取り戻させる。しかし宇田方とその傍にいた副官、在原は本当に可能なのかと質問する。


「だが、4か所はどこも距離があるのだぞ」


「幸運なことに、そこまでパッと行ける方法を持っています。福岡、京都、名古屋、桃京、札幌に最近ある装置を置いているのでその辺はお任せください」


「そ、そうか。そこまで言うなら、任せたぞハーネイト殿。儂らは非常時に備え、桃京全体の警備や監視にあたる。各地域ごとに支部があり、そこからの支援も受けられるように連絡を入れておく」


「ありがとうございます。ではこちらも行きますので失礼します」


 そう言うとハーネイトは、宇田方から何時でも本部に入れるライセンスキーをもらい、エレベーターで1階まで下りて外に出る。入り口から階段を飛ぶように駆け降りると、そこには伯爵が残念そうに腕を組んで待っていた。


「あ、伯爵」


「あ、じゃねえよ。どうなってんだい。日本各地でとんでもねえことなってんぞ」


「既に響たちに招集をかけた。それに、UA(ウルティマス・アルムリベラシオン)も完成しトリガーの受け取りも行うようにと指示を出している」


 伯爵もすでに各地での異変に気付き、部下たちに指示を出したがハーネイトがどこにいるか少し見失ったようで、何をしていたか聞いたのであった。


 とりあえず迅速に指示を出していることにほっとしたが、伯爵はどこか浮かない顔をしハーネイトもそれが気になっていた。


「ならあれだけどよ、ワイルヴァッハの野郎は逃してしまったぜ」


「何かあったのか」


「敵の抵抗が予想以上でな。だがエヴィラが別の血徒を捕らえたといっているらしい」


「ならば情報確保はエヴィラに任せよう。彼女は怖いぞ、フフフ」


「ああ……俺たちは、異変を解決しなきゃよ」


 2人はすぐにその場を離れ、桃京のポータルまで急いでいた。その少し前、五丈厳ら高校生組は、密かにTミッションを行い終わらせ、ホテルに向かう道中で駅の近くにある電光掲示板から映し出される映像にくぎ付けになっていた。


 それは、街を歩いていた誰もが同じであった。再びあの事件が起きるのか?関心はすべてその方向に向いていたのであった。


「おいおいマジかよ、各都市で奇妙な赤く光る壁が発生しているぞ」


「こりゃ緊急事態だろ」


「ハーネイトさんは一体どこに」


「桃京で事件捜査の協力をしているって」


 五丈厳と翼、ジェニファーは戸惑うも、ハーネイトが今どこにいるのか彩音から聞いて落ち着く。すると通信が入り、Cデパイサーのホログラム投影装置からハーネイトが浮き出てきた。


「あ、先生!」


「既に知っているかもしれないが緊急事態が起きている」


「はい、あの赤く光る壁のような……」


「その中にいる人を救助しながら元凶を叩く必要がある。Aミッションを行う必要があるため、至急ナビゲーター4名を呼び、4チームを作って各都市まで行ってほしい」


 ハーネイトの指示を聞いた彩音たちはすぐに内容を理解し、ホテル地下事務所まで急いで向かうのであった。



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