表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
レヴェネイター  謎多き魔法探偵と霊量士(クォルタード)の活動録  作者: トッキー
第2部 桃京血徒戦線 暴走する神造兵器・血徒(ブラディエイター)
215/267

第212話 防警軍設立の経緯


「私が以前手にした、この地球に関する資料と今の地球、あまりにも違いすぎるところが多いな……。寒冷化についての話はあれにはなかった」


「その手にしたという地球についての資料が、いつ作られたのかは分からんが、今から5年前を起点に何もかもが変化しているのだ。まあ、驚くのも無理はない」


 宗次郎は既に、ハーネイトが所持していた資料をここに来る前に見ていたため、既に大きな変化が生じていることを改めて説明する。

 

 ハーネイトや伯爵、リリーはこの地球に来た際ここまで地球が血徒汚染の影響を受けているとは思っておらず、その上様々な怪事件の裏にいる血徒らを見つけるまでに時間を要していた。


 既に幾つもの国の首都や、その付近にある都市が汚染され住めない状態となっているのを知ったのはごく最近の話である。


 今までの事件に関する証拠を精査し分析したハーネイトは、血徒が大規模な活動を行った5年前の大事件が、世界を大きく変えてしまった大きな引き金であると判断していた。


 ならばなぜ、陰に潜み秘匿を重んじる血徒とそれに加わった多くの微生界人は、何故敢えて目立つようなことをしたのだろうか、それが疑問であった。


 星奈やルべオラたちのおかげで、その目立つ行動については赤き災星の接近と相関がある可能性を見出し、改めて今までの記録などから調べる必要があると彼は思っていた。


  彼自身、この一連の事件の捜査や異界化などに関する調査に時間がかかっている今の現状がもどかしい状況であり、少しでも協力してくれそうな存在に情報提供をしたいと、色々話をしたのであった。


 そんな2人のやり取りを不審に見た宇田方は質問を投げかける。


「何だ宗次郎、何かこの男には秘密があるのか?今の素振りだと、別のところから来たようにしか聞こえんがな」


「何だ、お前らこそこのハーネイトという男の素性を把握できておらぬようだな」


「私は、この世界と別の世界から来た者です。まあ、信じられないといっても構いませんが」


「……そう、か。確かに、大体の人はそうであろうが、我らはさほど驚かん。あんな化け物の襲撃があった以上、薄々とそう言う存在がいるのは分かっている。協力してもらえるなら、なりふり構わない。それほどに、危機が迫っている」


 宇田方はハーネイトの予想よりも落ち着いた様子で話を終始聞いていた。


 そもそもそういった存在がいることは宗次郎から聞いていたのと、かつて対峙した敵、血徒がこの地球で生まれたものとは思っておらず別の世界から来たような存在だという認識を持つ人が多いというのも理由に挙げられる。


 思ったよりも自身のような存在に抵抗感が少ない人が多いとハーネイトは思いつつ、自身も体験した血徒による被害について話をする。


 幾つもの村が全滅した話を聞くと、宇田方らの表情が曇る。しかもわずか1日で村人が全滅したケースもあり、改めて5年前対峙した敵は、恐るべき展開力と破壊力を持つ存在だということを彼らは再認識させられたのであった。


「そうですか、今はまだ多くは話せませんが……私の世界でもこの地球と同じような事件が起きていました。だからこそ、対処法を皆さんに教えたいのです」


「今はとやかく言っている場合ではないのでな。その申し出はありがたく思うぞ」


「そうですね、あんな化け物を倒せるというのが本当なら、希望が見えてきます」


「では、折角なので我らが組織についても説明しよう」


 そういうと宇田方は、スクリーンに情報を表示し、防警軍発足の経緯と組織形態について30分ほど説明を行ったのであった。


「特殊機動隊というのが、前線で活動する主な部隊ということですね」


「そうだ。ブラッドホワイトデー事件の際に、多くの人を助けたのがこの特殊機動隊の前身ともいえるライダー部隊だ」


 ブラッドホワイトデー事件では、幾つもの大企業が活動したおかげで行政よりも早く行動に当たり、多くの人を救助できた経緯がある。


 宗次郎らは元々自衛隊向けに作っていた試作機動車を用いて機動力にて、人命を救助したという。その流れは防警軍という組織が生まれ、そこに引き継がれていったという。


 特に、空気を利用したホバータンク、大型の2輪戦闘車、変形し2足、4足形態に変更可能な機動兵器などといった物は刈谷自動車が中心となったプロジェクトにより生み出されたという。


「機動力を生かした救助、確かに有効だ。血徒は血徒適合した生命体以外は動きがやや緩慢なところがある。高速機動、戦闘術ができるなら逃げることは割と簡単だ」


「今は隊員も外回りに出ている。次の機会に隊の各隊長らを紹介しよう」


「では私は一旦帰還しますね。何かあればご連絡ください」


「そうか、分かった。貴君の手腕、期待しておるぞ」


 ハーネイトはひとしきり説明を聞いた後、春花に一旦戻って準備をしたいと述べ、宇田方もそれを承諾した。


 それから施設内の食堂でしばらくハーネイトと宗次郎、宇田方は食事をしながら話を1時間ほどして、施設を出てから地下新幹線で春花に戻ったのであった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ