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レヴェネイター  謎多き魔法探偵と霊量士(クォルタード)の活動録  作者: トッキー
第2部 桃京血徒戦線 暴走する神造兵器・血徒(ブラディエイター)
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第205話 京子の情報提供


「ソロモティクスを、無事に解放することができてホッとしている」


「だがよ、血徒の野郎の動向が気になるぜ」


「ああ、そうだね。天体の記録と、血徒が絡んでいそうな事件を調べて相関関係を導き出していかないと」


 翌日の昼下がり、ハーネイトと伯爵は事務所にて女神代行に関する話をしていた。


 一応今のところ業務は遂行できているが、今後の動向次第ではどうなるか分からないと2人は話ながら、どうするべきかと考え込んでいた。


 そんな中、事務所に来客者が現れた。それは何か箱のような物が入った紙袋を持った京子であった。


「ハーネイトさん、今入っても構いませんか?」


「ええ、構いませんよ京子さん」


「では失礼します」


「そうかしこまらなくてもよいのですが」


「そうですか……あの、これを差し入れで持ってきました」


 京子は挨拶をしてから、紙袋より何かを取り出し、封を開ける。するとそこには香ばしく焼けたふわっふわのシフォンケーキが入っていたのであった。


 京子は彼が甘いもの好きだと知っていたので、彼が喜ぶようなものを作って持参してきたのであった。


「こ、これは!」


「シフォンケーキです。どうぞ食べてください」


「ありがとうございます京子さん。食べてみたかった物なので嬉しいです」


 ハーネイトは京子に対し感謝し、すぐにケーキを切り分け紅茶を入れて、全員でティータイムを満喫しながら会話を続ける。


 ケーキを大きく頬張り食べるハーネイトは、ニコニコした顔で美味しいという言葉が伝わる表情を見せていた。


「先日は……お疲れさまでしたね」


「京子さんもサポートの方感謝します。お陰で血徒による影響はこちらにはありません」


「その、そろそろ血徒とはなにかはっきりと教えていただけませんか?私の夫が、命を失った真の理由も……」


 京子は持っていたティーカップを静かに置くと、この前エヴィラと戦っていた妖しい女のことが気になっていることに関連し、そう言った質問を投げかけたのであった。


「全員を集めて、血徒についての話をする予定です。その時に全てお話しいたします」


「それならいいのですが、一つ話をしたくて……」


 京子は一息ついてから、ハーネイトたちに対しある話を始めたのであった。


「あれは矢田神村の事件の4年後でした。桃京という、この国の中枢がある場所であの悪魔たちのような症状を起こした人を見たと、友人から聞きました」


 京子は、桃京で働いている数名の友人からブラッドホワイトデー事件に関して、現場で何が起きていたかを詳細に聞いていたのであった。それは、一部の人しか知らない情報でもあり、ハーネイトにとっても今まで集めた情報にはないものばかりであった。


「その当時のニュースとかありますか?」


「図書館にいけばいくつか資料はあるかと。政府の情報統制も、完全ではないですからね」


「明日でも図書館に行ってみるか。ネットによる情報は統制の影響を受けているらしいが……。ともかく、おいしいケーキと情報提供、ありがとうございます」


「俺もだぜ。初耳な話だが、他にも分かったことあったら教えてくれよな」


 矢田神村での事件もそうだが、いくつかの事件に関して情報の入手が難しいとハーネイトは思っていた。


 当時のこの国を運営していた政府が何をしていたか察するも、なぜそこまでして統制していたのかが腑に落ちない彼は、裏で何か暗躍する者がいないか調べようと考えていた。


「京子さん、明日の夜、時間を空けられますか?」


「都合をつけておきます。血徒……その正体に迫る必要があります。私の友人で桃京に移住し看護師をしている有坂という人はブラッドホワイトデー事件で現場対応した経験がありますが、現場は凄惨だったと聞いています。紅花先輩も、以前に事件のことについて話してくれましたが……」


「……そうですか、ちょうど血徒だった存在がいますので血徒に関する話は色々聞けるかと。……本当に、手ごわい相手です」


 そう言うとハーネイトは、京子の人脈を利用し更なる情報を入手したいと言い、彼女もできるだけ取り合ってみると承諾した。


 その後も話を続け、ハーネイトはこの地球という星の現状を別視点から知ることができたのであった。


 この星に、あまり時間は残されていない。今までの活動から得られた情報と合わせても、汚染が広がり続ければ取り返しのつかない事態を招く。改めて彼は、この大きな問題に対し全力で取り組もうと心の中で決めたのであった。


「まさか、自身の住んでいた故郷を、愛する夫を。血徒……そして感染した異界の者に奪われるなんて、思ってもいませんでした。それだけでなく、世界を壊そうとまでしているなんて……正直怖くてたまりません」


 京子は今まで何度も作戦に参加してきたが、相手を知るほどに時折足がすくむほどの恐怖を覚えていたと3人に打ち明ける。


 それに対しハーネイトも、自分も同じ気持ちだと京子に対しそう言った上で、自分の力を完全に取り戻すことができれば今起きている事態はより早く解決できると言う。


「あなたも、その……呪いのせいで全力を出せないというのはつらいですよね」


「そうですね……それでも、やれる人があれを倒すしかないんです」


「はい……それは分かっております」


 京子はハーネイトと伯爵が今置かれている状況について述べ、彼らの枷を外すことが、事件を早期解決に導く大切なポイントであると思い、それについて可能な限り協力したいという。


 それから後も30分ほど話してから京子は、仕事があると言い事務所を後にしたのであった。


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