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レヴェネイター  謎多き魔法探偵と霊量士(クォルタード)の活動録  作者: トッキー
第2部 桃京血徒戦線 暴走する神造兵器・血徒(ブラディエイター)
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第204話 大事件の予兆?


「主要都市への設置は完了したが、この後どうしようか」


「折角だから観光とかお土産買ったりとかしたいな。ねえ、いいでしょ?」


「ああ、そうだね。もっとこの世界のことも知りたいし、行こうか」


 ホテル内事務所を一時的に締めている間、高校生や大人たちが自由に活動していた中、ハーネイトとリリーは、予定通りに日本各地にポータルの設置を完了した後、春花にある刈谷自動車本社の屋上にてリリーと話をしていた。


 余った時間でお土産を買ったり街内を観光したいという彼女の提案にハーネイトはそれもいいなと思っていた矢先、突然伯爵がすっと現れたのであった。


「今のうちに楽しめることは楽しんでおけよ」


「いつの間についてきていたのかな?そっちの方は?」


「ああ、首尾よくいっとるで」


「それはよかった。少しでも移動手段を確保しておかないとね」


「その通りだな。いつ何がどこで起きるか分からんからなあ」


 今のところ予定通り、作業は進んでいる。伯爵のほうもどうやら別に調査をしているようで、敵の動向を監視しているという。


 敵は本当に神出鬼没で危険な存在、だから彼らは更に気を引き締めて事に当たっていたのであった。


「しかし、嫌な風が吹いてるぜ」


「そうだね……災いを含む風、ともいうべきか」


「私たち、勝てるよね?」


「フッ……勝てる勝てないじゃない、勝つんだ、だよリリー」


 不安な風を感じたリリーに対しハーネイトは、いつもの口癖を言う。自分たちの望む戦いは、勝つしか道がない。過程が良ければいいというわけではない。


 結果を出せなければ、最初から何もなかったことにされる結末が分かっている以上、負けられない。プレッシャーに弱いところがあるハーネイトだが、それに関しては誰よりも、決意を固め仕事に励んでいた。


「そう、よね。私たちが弱気になってどうするのよって話だよね」


「俺たちにしかあれは倒せない。だから、俺もやるさ」


「ありがとう、2人とも」


「任せとけ」


「任せなさいな!」


 3人はその後、近くにあったデパートの地下で物珍しい食品を購入したり、公共交通機関を使って観光名所を何か所か巡り写真を撮るなどして楽しい一時を過ごし、ホテル・ザ・ハルバナに帰還したのであった。


「お土産お土産嬉しいな!」


「全く、少し買いすぎじゃないのか?」


「そんなこと言うと分けてあげないわよ?」


 ホテル・ザ・ハルバナに戻ってきたハーネイトたちは、事務室で買ってきた土産物の整理をしながら和気あいあいと楽しんでいた。そんな中宗次郎が訪れる。


「やや、ハーネイトはおるか?」


「はい、宗次郎さん。如何様な用件で」


 宗次郎の表情を見たハーネイトは、何かただ事ではないと感じすぐさま仕事モードに入る。


「急な話だが、桃京まで来てほしいのだ」


「慌てているようですが、何かありましたか?」


「うむ……実はな、先日若い女性が何者かに襲われ重傷を負う事件が起きていてのう、診断や鑑識の結果からブラッドホワイトデー事件で記録された症状が出ているという」


 宗次郎は再びあの事件が起きる前兆ではないのかと、最近起きた事件について自身の考察を述べながら事件の概要を説明した。


「な、それは見過ごせません話ですね」


「てことは、血徒ブラディエイターが動いている、か」


「ん、血徒ブラディエイターとはなんだ?」


「ああ、宗次郎さんには詳しく説明していませんでしたね。歴史の裏で暗躍する恐ろしい吸血鬼に類似した集団、といえば大体通じるかと」


「……何と言うことだ、そんな恐ろしい連中が」


 宗次郎は聞いたことのない言葉を耳にして彼に質問し、それがいかに恐ろしいものかを理解した。


「矢田神村事件を始めとした日本各地で起きた辺境の地での怪事件も、血徒に操られた異界の住民こと悪魔による仕業であることは判明しています。どこにでもいて、いつでも猛威を振るう恐ろしい敵ですよ」


「ならば尚のこと、これからもハーネイト君には働いてもらうしかないな。もう退魔士の出る領域ですらない」


 宗次郎は、自身のできることが限られていることに歯がゆさを覚えつつも、目の前にいるこの神がかった力を持つ男がカギを握ると信じている。


 だからこそ自分らもそれを知り、彼らのサポートに回るくらいはできると思っていた。


「済まないが、できる範囲でいい。わしらにもその血徒がどんなものなのかを教えてはくれないだろうか」


「はい、既に響たちには少し説明はしました。ですが更なる解説はしていません。宗次郎さんも会議に出席いただければ説明します」


「分かった、時間を教えていただければありがたいが」


「明日の夕方17時より行う予定であります。資料の作成もしないといけませんから」


「うむ、分かった。どうにか時間の都合をつけよう。ではこちらも会議があるのでこれで失礼する」


「はい、宗次郎さん。どうかお気をつけて」


 そのあと宗次郎は今期の売り上げについての会議のため事務所を後にし、ハーネイトたちは土産で買ったお菓子を口に運びながら、夜遅くまで以前作成した血徒に関する資料をPCで加筆修正していたのであった。


 少しでも多くの人たちに、今この星を汚染し我が物とせん恐るべき存在のことを知ってもらうため、彼は必死に作業を進めていたのであった。


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