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レヴェネイター  謎多き魔法探偵と霊量士(クォルタード)の活動録  作者: トッキー
第2部 桃京血徒戦線 暴走する神造兵器・血徒(ブラディエイター)
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第201話 移動ポータル設置作業

レヴェネイターズ 第二部連載開始です。神造兵器の第2世代、微生界人(菌界人)の中でもある目的をもった異端の存在。彼らは暗躍し、大いなる災いをもたらしてきた。ハーネイトたちはその目的に迫りつつ被害を最小限に抑えることができるのだろうか。


 ヴィダールの神柱に属する1柱、ソロンことソロモティクスを解放してから数日後、ハーネイトはリリーと共に日本のある街を訪れていた。


 それは、まだ寒さの残る札幌であった。なぜ彼らがそこにいるのか、それは彼らの開発した移動用ポータルを刈谷グループの管理する各地の建物に設置するためであった。


「ふぅ、これでここのポータルは設置完了だ」


「お疲れ様ハーネイト。お茶飲む?」


「ありがとうリリー、頂くよ」

 

 ハーネイトは一通り作業を終えてから、一息つきビルの屋上に大の字になって寝そべった。


 コンクリートの床が背中にあたり、冷っとした感覚一瞬驚くその姿をリリーはほほえましく思いながら、持参した水筒からお茶を用意して彼に差し出して飲むように促し、彼はそれを有り難く受け取り口に運ぶと、曇り空を見上げながら思っていることを口に出す。


「この建物も刈谷グループの所有とは思わなかったよ」


「どんだけ影響力あるのかしら」


「そうだな、だがお陰で安心してこれを設置できた」


 あれからどのくらい経つだろうか、2人の少年少女を助け、さらに成り行きで別の少女を助けることになり、それが日本においてとくに有名な一族の末裔であること、その父に気に入られ、こういったことができることに彼は、ある意味でほっとしていたのであった。


 一から開拓するのとでは大違いだ。自身が駆け出しの頃を思いだしながら今の状態を彼は確認する。今こうして寝そべっているビルも、宗次郎の経営する会社のグループが所持している物であり、許可を取って装置を設置していた。


「まったく、楽しみにしていた異世界調査が、よもやこんなことになるなんてなあ」


「私もよ。しばらく故郷に帰ってなくて、戻ったら村がめちゃくちゃになっていた感じ」


「うん、流れてきた異界物の書物を読んでいろいろ勉強してきたけど、何だか色々違ってて困惑している」


「何より、血徒汚染がかなりひどいってのがねえ。住める場所が狭まってきているなんて、ショックだわ。それに、美しい星空が少しずつ消えて行っている、その事実もね……」


「血徒の活動、赤き災星、消えゆく星々。この先、もっと恐ろしい事件が起きるのは避けられない段階だな」


 彼らはそうして会話をしばらく交わす。今までのことを思い出しつつ、今起きている深刻な事態をどうやって収拾すれば良いか頭を抱えながらも、地道に活動するのが一番だと2人は結論付けた。


 今までの調査や情報収集の結果、血徒による地球の汚染は彼らの想定をかなり超えたものであった。

 

 今まで、調査は主に異界空間内におけるものが主体であったため、今いる地球上での血徒汚染の状況を把握することがあまりできていなかったという。これについて、実は各国が情報封鎖及び移動制限などをかけているため、情報の入手等にかなり苦労したという面もある。


 現在、他の世界の調査はおろか、地球でも日本以外の国についての詳しい汚染調査もほとんど進んでいないので比較は難しいが、今のままでは近い未来人類を含めたほとんどの生物が血徒の眷属になるだろうとハーネイトは推測している。


 血徒の眷属になるということは、命を奪われることであり彼らに全てを弄ばされるということでもある。


 異界空間内で起きていた事件や異常現象が落ち着いた今、今度は血徒汚染を浄化し、敵の幹部の捜索と撃破を優先して行っていこうとハーネイト及び仲間たちは決意を新たに示した。

 

「それにしても、まさか異世界でこれを完成させちゃうなんてね。私にとっては地球が本来の住む世界だけど」


「これもみんなのお陰だ。本当にありがたい」


「ええ、それにしても寒いわね」


「ああ、そろそろ中に入ろうかリリー。次は名古屋に向かおう」


「分かったわハーネイト、じゃあ行きましょうか!」


「ああ、行こう」


 リリーは元々地球人であり、この眼前にある筒のような装置を見上げながら思っていたことをつぶやく。


 故郷のイギリスは大丈夫なのだろうか、彼女は遠く離れた故郷を思いつつハーネイトの顔をさり気に見つめていた。


 ハーネイトはリリーの言うポータルに関して、皆がいたから成せたことだと謙遜しそういう。夏に近づくもさすがに北国の風はまだ冷たさを含み肌にそれを訴えかける。


 リリーが寒そうにしているのを見て、彼は羽織っていたコートを彼女に着させてから、共にビルの中に入っていったのであった。


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