第199話 レヴェネイターズVSソロモティクス
「よくやってくれた。これで我も本来の力を開放できる。……!」
「!?いきなりか!」
「力を開放してくれたことについては感謝しよう。それはそれとて、改めて、女神ソラを本当に倒せる力があるのかを見定めてもらうぞハーネイト」
ソロンは腕を組むと、少しばかり精神を集中させる。すると背後に紫色の気運でできた幾つもの巨大な腕が出現し、その掌から何かが放たれようとしていた。
「やっぱりそう来ますよねー!仕方ない、全員構えるんだ、来るぞ!」
「ダークブラスター!」
「っ!散開するんだ皆!ああ、勿論だとも……翻ろ、紅蓮葬送!!!」
ソロンは両手から暗黒のビームを放つが、ハーネイトは紅蓮葬送でそれをはじき返す。しかし彼の顔が少し歪む。思っていた以上の衝撃に体がびりびりしわずかに後ずさる。
「っく、完全に相殺できない?」
「まだ小手調べよ」
「やはり、昔戦った12大神と力強さが変わらない」
「ハハハ、ついでにお前らも鍛え上げてくれるわ!」
「嘘!こっちにもくるなんて!」
ソロンは手元から暗黒の衝撃波を放ち、大地を自身より前に放射状に砕きつつ纏めて攻撃を仕掛けた。
「アイアス、絶対七盾!」
「了解!」
間城はみんなよりも前に出て、アイアスと共鳴し強力な防御戦技を放つ。
それは、絶対の守りを約束する聖なる盾。光の結界の様な防御はその衝撃波を全て受け止め、被害を0に抑えたのであった。
「流石だな、いい守りだ。だがまだ甘い!」
「きゃああっ!」
「間城!この、いい加減にしろよ!ミチザネ、雷閃だ!」
「いいだろう、これを味わえ!」
ソロンは終始余裕な表情を見せ、腕を振るい攻撃を繰り出す。それはわずかな隙を見せた間城に当たる。だが空から落ちた電撃に思わず動きが止まるソロンは更に強力な攻撃を溜め始めた。
その間に接近戦に持ち込みづらいと思った九龍はCPFを使い、それに合わせて五丈厳、星奈、文香は隙をついて攻撃を仕掛けていく。
「今だ、波状攻撃でソロンの動きを止めろ!CPF・戒炎!」
「行くぜスサノオ、かますぜダメ出し!五崩落だ!」
「このまま黙ってはいられないわ、お願いワダツミ!死氷柱!」
「こんのーーー!行くよみんな、包囲命令!」
だが、連携してはなった攻撃はソロンに対しほとんど有効打になっていなかった。彼の纏う霊量子の総量が、3人の合計と比較して圧倒的にまだ足りないため力負けしているようなものであった。
「フハハハ、まだまだだが、なかなかいい攻撃だったぞ」
「嘘だろ、効いていないのか?」
「ダークプレッシャーーー!」
「か、体が、動かない!」
ソロンは次々と迫る攻撃を、敢えて避けずその身で受けるかのように振る舞い響たちを驚かせた。しかしまだ彼らには自分たちヴィディアル(ヴィダール)と戦う力が足りない。そう判断し、ソロンも力を開放し暗黒の力で彩音たちの動きを拘束する。
これも、彼らに対する試練であり神葬者、霊量士としての素質を確かめるテストに過ぎなかった。
「若い連中だけにやらせるかよ!行くぜレイオダス、エキゾーストバーンだ!」
「私はみんなの手当てを、ナイチンゲール、カンフルインジェクション!」
「ヴィランカーズ、皆を援護するんだ!」
響ら高校生たちの姿を見て、大人たちも勿論黙ってはいない。韋車や京子、田村がいち早く援護し、スカーファや大和なども攻撃に加わりソロンの勢いをそぐ感じで怒涛の攻撃を見せる。
「総力戦になるとは、全くわしらもまだまだじゃな!忍術・鬼糸神楽!」
「老体に鞭打つとは、こういうことですな。行くのだマカミ、厄祓!」
「剣雨、涙となりて降り注げ!創金剣術・剣雨!」
韋車らがそうして攻撃している間に、老人たちも影からソロンに攻撃を仕掛ける。文治郎や宗像も具現霊と力を合わせ、ハーネイトの創金剣術と連携しソロンの攻撃を妨害する。
「ん!そこからか、だが甘いな、フハハハハハ!ダークエクスプロージョン!」
「ぐっ、何て力じゃっ」
「まずったなこりゃ」
だが向こうの反撃を食らい2人は大きく吹き飛ばされるが、伯爵たちの援護によりダメージをほぼ受けなかった。
「危ねえなおい。だがダメージは与えたぜ」
「かたじけないのう」
「助かったぞ」
「じゃあもっとぶちかますぜ!CPF構えな!」
「有無、では行くぞ!」
伯爵の展開した菌の壁に受け止められた文次郎と宗像は、すぐに反撃に転じ、CPFの装填を行い鎖天牢座と十雷架縛を放ち、ソロンのさらなる攻撃を今度は完全に封じた。
「これは、どういう手品だ……?だが!」
「今の内だ、俺らも仕掛けるぞ渡野!瞬麗!」
「勿論よ!レヴェネイト・オン!ピクシア、あれをお願い!」
「リョウ……いやケイトク!連刃舞討撃!!!」
ソロンは老人二人の放った攻撃に驚き、どういった方法で攻撃しているのか仕組みが分からず戸惑う。それを見た音峰は今こそ攻め時だと渡野と瞬麗にそういい、連携攻撃で一気に行くように指示を出した。
凄まじい波状攻撃の炸裂に、流石のソロンものけぞるほどであり、驚きはするがまだ力の使い方が甘いと高笑いする。
それは、まだ成長の伸びしろがたくさんあるぞという厳しめのアドバイスともいえよう。そう、ソロンは攻撃を受けながら若き戦士たちの成長を促すためにあえて悪役に徹していたのであった。
「ふぅ……まだまだじゃな。そんな力では世界を守れはせんぞ!」
「だったら、こちらも見せてあげますよ。修行の成果を!」
ソロンの挑発に京子たちが乗り、今持てる力すべてをぶつけようと彼に迫る。
「この攻撃、受けて見なさい!デンジャラスインジェクション!」
「カラミティ、思いっきりぶっぱなしちゃって!」
「レンザーデビル、フォトフラッシュレイだ!」
「ハンゾウ様、封天大陣を!」
「行くぜ彩音、言乃葉、魔刃斬だ!合わせてくれっ!」
「勿論よ響!音響破壊撃っ!!!これならどうかしら?」
京子、大和、文次郎、響、彩音の同時攻撃がソロンを襲い、わずかに体を後退させる。
今の一撃は悪くなかった、そういわんばかりにソロンはさらに自身の気運を増幅させ、切り札の一つであるダークネスガンマレイを口と胸、背後に出現している気運の手より放つ。
「装填完了だ、CPF=解空風壁・魔城衡壁・焔禍帳、一斉射だ!カンタレーラ、黄金樹界陣を!」
響たちにその攻撃が直撃しそうになるが、この時ソロンの動き出しを冷静に読んでいたドガは防御系のCPFをバーストモードにて一斉発動し、それに合わせ自身の具現霊による戦技も織り交ぜ強力な一撃をどうにか相殺させて見せたのであった。
「なんだと、この一撃をいなしたのか。面白いぞ!なっ、いつの間に!」
「隙ありだぜ!黒蛇、蛇龍暗黒炎魔撃を食らわせてやれ!」
「ハハハハ、この一撃で狩る!光の波にて命運潰えろ!終光剣・エクスキャリバーーーーー!」
ドガの防御連携を見て、ソロンは思わず思考が一時的に鈍る。これほどまでにヴィディアルの力を得た存在がいることと、その総合力の高さに自身の予想を超えたためである。
その間隙を突いた黒龍とスカーファはそれぞれ秘かに開発した新たな戦技をソロンに向けて放ち、火炎と陽光属性の2属性同時攻撃で彼自身を守る気運を分解しようとしていた。
「俺もだぜ!ソロン、後のことは俺たちに任せな!」
「これで終わりだ、弧月流・破月!!!」
「醸して喰らうぜ、死菌滅砲!」
「憑依武装発動、いっけえええ!」
「これで終わりよ!」
最後にハーネイトと伯爵は、大技ともいえる決戦技を発動し、互いに飛び上がると地面にいるソロンに向けて、強烈な一撃を放った。ハーネイトの持つ刀の先から放たれる青白い光の奔流と、伯爵が右手を突き出し放つ闇の奔流は途中で合わさり螺旋し、一つになるとソロンの体をすべて飲み込む形で直撃したのであった。
更にその直前、響と彩音は全力を出し切り、憑依武装の力を使いソロンに対し強烈な一撃を当てていたのであった。
「ごほぉおおおっ、ぐぬぬぬぅ、ぐぅ……がはっ!見事……だ。確かに、世界を守りたいという意志は強く伝わった、ぞ、ハハハ……参ったのう」
人間たちの力も見極め、2人の力も測ることができたソロンは攻撃を喰らいながらも嬉しそうに耐えたのち、改めて彼らの想いは本物であり、揺らぐことはない。
よもやここまで力をつけているものが多いとは思わなかった彼は、ハーネイトたちを評価した上で、自身よりも恐ろしい敵が、今後現れ続けることについて話をしなければならないと思い、戦闘形態を解除し話をする準備をしたのであった。




