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レヴェネイター  謎多き魔法探偵と霊量士(クォルタード)の活動録  作者: トッキー
第1部 邪神復活事案 レヴェネイターズ始動!
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第198話 封印塔開放作戦・F&Gチーム


F 時枝、文香、宗像、ブラッドバーン


「同じ力を持つものは、導き惹かれあう。これは偶然なのか?それとも必然なのか」


「私難しい話分かんない。だけど、みんなこうして集まるのに、意味はきっとあると思うの」


「意味か……あるだろうな」


 4人はそれぞれ散開しながら、自分自身のやりやすい戦い方で塔の攻略を行っていた。敵も現霊士になりたてだったらてこずる相手でも、今は違う。具現霊やCPFを巧みに操りながら話を挟む余裕も見せつつ先に進む。文香は時枝の言葉に反応するも、自身はこうしてみんなで何かをすることに運命的な出会いというか、意味があると思いそれを口に出した。


「そうだろうなあ。わしも思うぞ」


「へへへ、同類惹かれあうってもんだ。霊量士は、互いに力を分け与えながら進化していくんだとよ。それを肝に銘じて、この先も戦えや」


 宗像も同様のことを思い、ブラッドも同じだといいながら手元から焔の球を作り敵に投げつけ燃やし尽くす。


「っせえなあ!邪魔なんだよ!」


「敵がなんか多い!」


「落ち着くのだ皆。恐らくリーダーが統率しているはずだ。時枝君よ、よく見てくれぬか?」


「はい、っ……やはりか、あの個体だ。ミチザネ、雷落だ!」


 宗像の観察に連携し時枝はミチザネによる落雷攻撃でそれを破壊する。十分に取れた連携の前にそれを止めるものは、少なくともこの塔ではほぼ存在しない。


「でかしたぞ。じゃあ鍵探して上に行くぜ!」


「はい!」


 そんな感じで目の前の敵をちぎっては投げの繰り返しで怒涛の進撃を見せるこのチームだが、やはり門番が4人の行く手を阻んでいた。


 それは天井にまで頭が届きそうなほどの大きさのゴリラであった。手には棍棒を持ち、じっと最上階への入り口をふさぐ形で待機している。


「おーっと、これは魔界の巨大猿か?」


「で、でかい……な。だが動きはその分……って俊敏だな」


「どうするかのうマカミよ」


「だったら、私が飛び込むから3人で支援してよ。そもそもブラッドさんはともかく時枝君と宗像おじさんは支援タイプじゃん」


 文香は自身の技の特性と他の3人の情報を基に、自分が前に出るのが一番だと考え意見を具申する。普段彼女は捉えどころのないというか、不思議な一面を見せる年相応の女の子という印象があるが、こと戦闘においては終始冷静に行動をとり、自身のペースに引き込む策士であった。

 

 それは幼いころから彼女が心身共に鍛錬を積んできたという理由もある。一族の次期当主となる以上、父である文次郎は彼女に対し、戦闘技術だけでなく話術、交渉術などあらゆる技術を叩き込んでいる。


 普段のほほんとしているような、天然のようなそぶりは相手を油断させるためのものでもあり、ハーネイトも彼女はどこか末恐ろしいと評価するほどであった。


「けっ、仕方ねえな。だがまあ当たっている。それでいくぞ」


「構わないですよ」


「うむ、その方が成功するのう」


「じゃあ行くわよ!デッドリーフォーズ、総員突撃!」


 文香はそう言うと一目散にゴリラの懐まで飛び込んで、具現霊4体と共に奇襲を仕掛ける。


 半分寝ぼけていたゴリラは一撃を喰らうもすぐにこん棒で反撃し薙ぎ払うが、身軽な文香はゴリラの頭に飛び乗ると蹴りの連打を浴びせ、四方八方から具現霊に襲わせて混乱状態に陥らせた。


「遅いよ!強襲命令!」


「動きを鈍らせるかのう。マカミ、氷結吐息じゃ!」


「落雷の雨を喰らうがいい!」


「燃やすぜ何もかも!カグツチ、焔祭だ!に合わせて、CPF・戒炎かいえん!」


 それに合わせ、彼女が引いた瞬間に他の3人は一気にHPを0にしようと総攻撃を仕掛け、間合いを取るため時枝たちのもとに跳んで引いた文香もダメ出しで具現霊による致命的な一撃をゴリラの胸に与え、その巨体は地に伏したのであった。 


「ふう、まあ余裕だったな」


「へへーん、私たちにかなうわけないじゃない!」


「全く、無茶しよって」


「この次の階が最上階だ、急いで宝石を回収しよう皆」


 この4人も難なく攻略に成功し、終始楽しげにしながら宝石の回収をブラッドが済ませ、意気揚々に塔を後にしたのであった。塔を下りながら4人は会話を弾ませ、それぞれの戦い方について話を続けていたのであった。


G 亜蘭、黒龍、韋車、間城


「ここで止まるわけにはいかないのだ。すべての事件の真相を、俺たちは暴かなければならない!」


「ああ、結果的に村を滅ぼしたのは考えたこともない存在。これは一筋縄ではいかない」


「あーあ、お兄さんなんでこんなことに巻き込まれるんかなあ」


「フフ、韋車さんらしいですね、その言い方は」


 最後の塔を任されたこの4人は終始気楽な感じで振舞いながら戦っていた。このチームも全員霊量士として、現霊士として成長し続けてきた。そのためか、襲い掛かる敵の数々が弱く感じるほどであり、それを実感しながらもハーネイトですら慎重を期するほどの相手が何なのか、気にせずにはいられなかった。

 

 彼らもまた被害者であり、この力を得たのも一連の事件の真相を解明するためかもしれない。そう思いながら敵を蹴散らし、上階に向かうためせわしなく駆け上っていく。


「こいつはただ怠惰なだけだ」


「おいおい、これでも戦いには参加してるぜ坊主たち。俺の故郷の隣村が、矢田神村だった。だからあの事件はよく覚えている。やってやるさ、これからもな」


「これ以上、自分たちと同じような体験をする人が増えないように努力しないとな。っ、来たぞ!」


「ああ、来てんじゃねえかよ。レイオダス、早速暴れるぜ!」


「私はアイアスとでサーチして次階への鍵を探すわ」


 韋車はいつも飄々とした感じでそう愚痴を漏らすが、亜蘭と黒龍はこの男がさぼり癖のあることを理解していた。


 だが韋車も秘かに特訓を重ねてきた。彼自身、五丈厳と同じく巻き込まれ型で霊量子運用能力を身に着けたわけだが、だからこそ自分にもできることがあるはずだ、そう思いながらここまでやってきたのであった。


 4人は楽しそうにそう掛け合いながらも連携を怠らず前に進む。だが行く手を阻む者が配置されていた。それは生きているように見える巨大な人型の石像であった。


「昔は恐れていたが、今は恐れるに足らずだ!」


「いいぜ、もっと楽しませろよ!」


「全く、血の気が多い二人ですね。ソロ・セラード、怒号のマズルカ!!!」


「全くすいすいと上に上がれているな」


「ああ、だが嫌な予感するぜ」


 そんな敵でさえもこの4人の勢いを止められはしなかった。だが、真の門番が待ち構えていることに気づかず、注意が欠けたまま最上階の一階下まで到着した。


 この塔のボスは、一見弱そうに見える液状生物ことスライムであった。


「なんか他の塔でも門番がいるらしいが、これどう見てもスライムじゃねえか」


「スライムを舐めてはいけない。俺たちの村を襲った奴らには、これと似たようなものがいた」


「まじか」


「そうねえ、包まれて窒息とかいやよねえ」


「だったら燃やして蒸発だな!」


 そうこう話しているうちに、スライムの方が先手を取ってきた。体を変化させ水の槍の様な触手を差し向けるが当たらず、韋車と黒龍、亜蘭と間城がツーマンセルで連携し、4人による同時攻撃を炸裂させた。


 するとスライムは、一瞬ではじけて蒸発し跡形もなくなったのであった。1人ならば場合によってはなすすべがなかったが、4人の同時連携攻撃にはその体も耐え切れなかったのであった。


「……!」


「おいぃいい?一撃で消し飛んだぞ」


「あれれれ……門番なのよね?」


「ま、まあいいんじゃないのか?早く宝石取ってきて脱出だ!」


 てっきりある程度てこずるかと思いきや、意外な結果に4人は驚いたが、日頃の鍛錬の成果が出たかなと思いつつ、ハーネイトの代わりに宝石を回収すると急いで等を脱出し、先ほどの戦いについて話をしながら目標地点まで移動していたのであった。



「皆さん、回収の方お疲れさまでした」


 各チームは無事に目的の物を回収でき、ハーネイトのところまで運んできたのであった。それについて彼はお礼を述べながら、いつの間にか回収していた巨大な石板を見上げていた。これに集めた7つの宝石をはめ込めば、ソロンは封印を解除し降臨できるという。


「別に、この程度大したことねえ」


「弱すぎてつまらん。後で戦えハーネイトよ」


「嫌です。また風穴空くのは……っと。後はこれを、この目の前にある石板にはめ込めばいい訳だ」


 物足りないと不満を漏らす数名に対しハーネイトはやや呆れながらも、ゆっくりと宝石を、一つずつ石板にはめ込んでいく。その光景を響たち全員は固唾を飲んで見守っていたのであった。


 果たして、本当に封印を解除して大丈夫なのだろうか、気が気でないものが多かったがもうここまで来ると、各自腹を決めていた。


「さあ、最後の一個だ。……みんな、一応具現霊を出して構えていて」


「了解です先生」


「ああ、わかった」


「いよいよね……」


 ハーネイトは時間をかけて全ての宝石を巨大な石板にはめ込んだ。すると石板から光と闇が溢れ出し、次の瞬間ソロンは強力な姿となってハーネイトたちの前に降臨したのであった。


 想定よりも体のサイズは大きくなかったものの、その分凝縮した禍々しさと神々しさを兼ね備えた、暗黒の王とも称されるその気迫はその場にいた全員の動きを束縛するかのようであった。




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