第186話 敵総本部制圧作戦・後編
「待て!今こそ助太刀する時だ!」
「ヴァストロー!来てくれたのか」
「流石に、これ以上助けられっぱなしはな。しかしどういうことだ、あの魔界の者たちは……」
「話はあとで説明します。真の黒幕が分かったのですが、まずは……っ!翻ろ、紅蓮葬送!」
「醸して喰らうが我が菌帝剣!死菌斬閃だぁ!」
「わしも行くぞ!ブールムーンレイ!」
3人は敵の攻撃に対しカウンターを決め、背後にいた響たちへの攻撃も防ぐ。霊界の中でも最強クラスのヴァストローも加わった、3人の攻撃は魔界復興同盟の幹部を容易に吹き飛ばす。
「シャアアアアア、計画、邪魔するな!」
「伯爵、もうこの3体は通常治療では治療不可だ!吸血衝動も激しい」
「俺なんか吸っても手前が晩御飯だけどぉお!」
「まあわしもだがな。さあ、蹴りをつけようか!」
口や鼻などから血を流し、目は血走っており焦点も合っていないように見える。観察の結果からもう治療の施しようがほとんどないほどに体を汚染された悪魔たちを見たうえで、せめて苦しまずに倒そう、そう考えた3人は強力な戦技を発動するのであった!
「仕方ないなあ、あれ使うか!見せてやるは変幻自在の力。戦形変化・黒翼斬魔!さあ、一気に片を付けるぞ!」
「鳴かぬなら、醸して喰らう、お前らをってなあ!醸せ、菌幻自在ぃ!死菌染醸だ!」
「異界の者よ、せめて安らかに爆ぜるがよい!レッドサンバースト!」
ハーネイトは紅蓮葬送を黒く染め、戦形変化により凶悪な一撃を誇る黒翼斬魔に変身し、伯爵は膨大な眷属を身に纏い禍々しい鎧と大剣を作り出し攻撃する。
更に悪魔たちの体内から眷属で醸し弱らせ、それに合わせ上空より、ヴァストローは剣先に焔の球を凝縮し、落下とともに爆発を起こし纏めて周囲を消し飛ばしたのであった。
「すげえ、あれが2人の……!」
「先生たち、変身どれだけ隠しているの?あの騎士もなかなかすごいけど」
「翼、彩音!先生たちに見とれるな」
響は3人の動きに見とれて呆然していた翼と彩音に声をかけ、邪魔にならないように後退するぞといい彼らから距離を取り、3人の邪魔が入らないように周囲にいた魔獣たちを一気に蹴散らしていく。その間に、別の場所でも戦いが始まっていた。
「見つけたわ、この裏切り者!」
「お前はエヴィラ!」
「とうとう見つけたわよ。さあ、覚悟はできているわねクリミリアス!」
「貴様もヴァリオラ様に忠誠を誓わないなら、お前の親と同じようにしてやるわ」
「……処分する!」
謎の眼鏡をかけたボブヘアの、緑色のセーターを着た美しい女性と、エヴィラがにらみ合いをしている。
そう、魔界復興同盟を操っていたのはこのクリミリアスというウイルス系菌界人であり、クリミア・コンゴ出血熱を引き起こす菌界人である。
彼女はかつてエヴィラを含めた血徒全員と義兄弟の契りをかつて交わした仲でもあったが、エヴィラはそれを裏切ったこと。何よりも自分の妹を担ぎ出して王に仕立て上げたことについて憤りを隠せずにいた。
そうして先に仕掛けたのはエヴィラであった。手にした傘の先端に血の刃を形成し、クリミリアスに斬りかかるが、それを寸前で避けた彼女は手から円状の刃を作り出しカウンターを仕掛ける。
「げっ、エヴィラと謎の女が戦っている」
「エヴィラ、向こうも微生界人だ!しかも17衆だ」
「わかってる、迂闊にダメージはもらえないわ」
「馬鹿め!血円輪斬!」
「ぐっ、その程度で粋がるな!血禍双鎗!」
だが動きを見切っていたエヴィラは菌転移で真後ろに移動する。それに対しクリミリアスは血でできたチャクラムを幾つも飛ばし、エヴィラの着ている服を切り裂くも、やはり彼女の方が血徒としての格は上であり、手元に召喚した血の槍を勢いよく飛ばしクリミリアスのわき腹や足に穴をあけダメージを負わせた。
「ちっ、ここまで強くなっているとはな、次は覚えていろ!」
「逃すものか!」
「ちっ!ならばこうだ!血鬼召喚!」
苦し紛れにクリミリアスが、地面に隠していた血鬼を複数体召喚し、行く手を阻む。
「そうはさせん!行くぞお前ら!」
「詐欺行為は」
「重罪だって」
「分かってるんだろうな!覚悟しろ!」
すると、クリミリアスの退路を塞ぐ形で現れ、聞いた声と同時に血鎖が四方八方から放たれ彼女が拘束される。
そう、ルべオラとアントラックス、ぺスティスの3人組が介入してきたのであった。クリミリアスの召喚した血鬼を、3人は速攻で切り捨てる。
「おっと、このタイミングで来たか」
「貴様は、ルべオラ、様っ!!!」
「わしら貴族院にまで詐欺行為を働くとは、その罪兆死に値する!」
「U=ONEになった俺らに」
「敵はない!今日の俺たちは、17衆ですら凌駕する!一度言ってみたかったんだよこれ!」
怒り心頭のルべオラに対し、クリミリアスは藻掻きながら激しく抵抗する。血剣を首元に突き立てられる彼女に、アントラックスとぺスティスはやけにノリノリで大声を出し攻撃を仕掛けようとするが、17衆の意地を彼女は見せる。
すると鎖を溶かしつくし後方に移動し、押さえつけていた力を開放しようとする。
「いいぞーやれやれ!」
「相棒、何言ってんだおい!」
「お主も手伝わんか!」
「仕方ない、響、彩音、翼、九龍、勝也!私の後ろにこい、同時に仕掛ける。韋車さんと田村さん、文次郎さんで妨害技を、それ以外の人たちで遠距離から攻撃するんだ!」
「そうはさせるかよぉ!私は強い、血禍死針っ!!!」
「可愛い子たちに何をするか!血斬風閃!」
ハーネイトはルべオラに少し怒られながらも指示を出していき、総攻撃を仕掛けるように促す。だがクリミリアスはどんどん異形の姿に変貌し、体中から血の針を飛ばしてきた。
しかしルべオラはそれを血の風で吹き飛ばす。U=ONEの力を得た今のルべオラに、クリミリアスは劣勢に立たされる。
「お前らが、私を差し置いてU=ONEになっただと、認めん、認めん!!!」
「もらった!呪血毒槍!」
「勝機はこちらで引きずり込むまでだ!呪血崩身!」
「ぐあああああっ、ぐっ、同族が故に防御がっ!」
更にその間を縫って、アントラックスとぺスティスは怪物の姿になったクリミリアスの両脇から攻撃を繰り出し動きを拘束する。それに合わせハーネイトたちも攻撃を加えていく。
「思いっきり叩き切れ、言乃葉っ!魔閃斬だ!」
「世界に響け、この音色!音響壊震波っ!」
「とっておきを喰らえ!ロナウ、エクリプスリターン・フルエンド」
「創金の理が全てを導く!創金剣術・剣葬!!!」
4人の戦技が直撃し、クリミリアスはふらつき転倒しそうになる。それに追い打ちをかけ今度は韋車たちの攻撃とジェニファーや音峰、宗像やドガ博士などの放つ戦技と、間城や京子などが放つCPFがド派手にさく裂する。
「CPF一斉射!これで落ちろっ!」
「レイオダス、仲間の仇を取ろうや!マグナ・デッドヒートエンドぅ!」
「動きを拘束するんだ、カーズ!ファントムブレイドレイン・カースペイン!!!」
「先代の無念を晴らすまで、忍術・封天大陣!」
その総攻撃は、クリミリアスの防御を完全に剥ぐことに成功し、大ダメージを与えたのであった。このままでは負ける、そう思った彼女はまだ開発及び研究中のある新型強化変身術を使用しようとする。
「たかが人間がぁ、ここまでの力をっ!このままではっ、あれを使うしかないっ!」
「……それは今使うな、クリミリアス。引け、今手の内を明かせば、貴様を見殺しにする。戻るんだ」
「なっ、その声は!仕方ない、撤退だっ!私の計画を妨害したこと、後悔するがいい!!!」
だがしかし、彼女の行動に割り込み制止させる謎の声がクリミリアスを冷静にさせ、そのまま彼女はその場から忽然と姿を消したのであった。
「ちっ、今の声、一体誰のなんだ」
「別の血徒17衆かもしれん。生憎様、こちらも手の内は全ては明かしていない。だが、あのセリフが気になるな」
「逃したのは痛いが、それでもよくやるのうハハハハ!」
「状況は良くないっすな伯爵」
「ああ、全員で襲い掛かってやっとって感じだな。奥の手が向こうにあると見ると、不安しかねえ」
「しかし、これで魔界復興同盟は崩壊したも同然だ。一先ず、勝利かな」
クリミリアスに対し話しかけてきた謎の声の件について、ハーネイトたちが話していたその時であった。突然部屋の奥に鎮座していた巨大な石碑が激しく振動し始め、地面をも揺らすほどに荒ぶり始めたのであった。




