第185話 敵総本部制圧作戦・中編
大部屋の奥にいる魔界復興同盟トップ3は、見るも無残な姿になりながらもハーネイトや響たちの姿を見ると速やかに戦闘態勢に入る。
既に汚染度は限界まで達しており、エヴィラの見立てでは彼らに対しての治療はもはや不可能な状態であった。
「へっへっへ、わざわざ来てくれるとはぉおおお」
「貴様らも、ソロン様へ忠誠を捧げ贄と成れぇ!!」
「完全に精神汚染状態だな。というか錯乱か。血徒もいろいろいる」
「っ、こうなってはもう私でも治せない……!」
エヴィラと伯爵は血徒に感染し汚染されている魔界人と、それらによる洗脳を受けた死霊騎士を素早く観察し、それぞれの脅威度を測る。
また、エヴィラはこの部屋の中に17衆の誰かがいることを既に把握していた。
「これが、血徒になった悪魔……?」
「哀れだな、全く」
「全員、死霊騎士を倒せ!その間に私と伯爵で敵のリーダーをやる!」
「了解だ先公!さあ、もう一度眠っとけや!」
「あんたら操られてんだぜ!目を覚ませよなあ!」
五丈厳と九龍はすぅーっと一呼吸し間をおいて、それぞれ啖呵を切ってから、猛烈な勢いで死霊騎士にいち早く襲い掛かり、あっという間に一騎を戦闘不能に追い込んだ。
「フッ、流石に以前よりもこちらの方が!」
「力が上のようね時枝君!」
「オラオラオラオラ!ロナウとの連携攻撃喰らいやがれ!」
「ぐっぬうう、ただの人間じゃ、ないな!」
2人の攻撃に乗じ、時枝と間城、翼もそれぞれの具現霊から放たれる戦技で死霊騎士と血徒に感染した悪魔を数体同時に撃破する。
「負けてたまるか、なのです!ピクシア、樹拘縛お願い!がんじがらめに捕まえちゃって!」
「遠慮なくブッ倒すまでだ、行くぜ、エアウルフライトニング!」
「ヴィランカーズ、2人のアシスト頼む!」
「了解だ、クラティアスカタルシス……!」
渡野と音峰は息の合う具現霊の連携戦技で複数体の死霊騎士を拘束し、強烈な連撃と組み合わせ力を奪っていく。
それを見た田村も、ヴィランカーズの力を開放し、2人の支援を行いつつオーバーヴェルムイレイザーを胸から放ち周囲を焼き払う。
「田村先生、援護しますぞ」
「ありがたい宗像さん!」
「行くぞマカミよ、厄祓じゃ!」
呪いをかけてくる死霊騎士により田村は急に技を出しにくくなるが、それに気づいた宗像は自身の具現霊の能力でその呪いを祓い、味方をどんどん支援していく。
「ハードだな全く」
「その程度で根を上げるなよ大和」
「そうだぜおっさん!俺たちは、霊量士で幻霊士だろ」
「へいへい、やるってな!レンザーデビル、レンズスコープガンだ!」
槍やボウガンを持つ死霊騎士たちに対し、よけるのに必死な大和だが、助太刀に入ったスカーファと黒龍はそれぞれ具現霊の戦技で勢いを押し返し有利に立ち回る。
「甘いわよ!カラミティ、サザンクロスストライク!!!」
「もう逃さないネ!刀剣境!」
スカーファのクー・フーリンによるゲイボルグや黒龍のブラックドラゴンによる火炎攻撃が炸裂するも、間合いを取って逃げようとする数騎の死霊騎士。
だが次の瞬間、どこからか銃弾が飛んできて騎士たちに装備されている頭に装着するタイプの洗脳機械に直撃し、それに驚く騎士は足元から無数の槍や剣が突き出し追加攻撃を受ける。
どうも霊騎士の洗脳を維持するためには別に装置が必要であり、それを壊せば影響をなくすことができるようであるとハーネイトたちは分析した。
「がはっ!ア、あれ、俺は……」
「ここは、どこなのだ。霊界、ではないのか」
「この2人の洗脳は解けたようね、行くわよ瞬麗さん!」
「勿論ネ!さあ、仇とるね!」
ジェニファーも瞬麗も、的確にハーネイトのアドバイス通りに死霊騎士の洗脳を解いていく。その間に彩音たちもハーネイトたちを追う騎士たちに対し攻撃を仕掛ける。
「雑魚は邪魔なのよ!音響撃!」
「練習の成果見せよう、言乃葉!雨刃斬だ!」
「父さん……ワダツミ!死氷柱よ!」
「あの時の借り、ここで返します!嵐風……!」
彩音の具現霊・弁天の音による一撃が強烈に大気を震わせ、直撃した騎士の洗脳器具を粉々に破壊する。
それに合わせ包囲を切り抜けるため星奈はワダツミに力を送り、凍気が周囲に広がる氷柱を天より落として着弾地点を凍結、巻き込まれた死霊騎士2騎は足元からカチコチに凍り、装置も同時にもろくなり粉々になる。
それを見て狼狽する残りの騎士に対し亜里沙は、碧銀孔雀の操る大きな扇子から暴風を放ち騎士たちを打ち上げる。
「何という力だ……うあぐッ、頭が……!」
「何だ、なんだこれは!」
続々と洗脳を解かれ、呆然とする騎士たち。もはや誰1人、支配を受けている物はなく全開放に成功したのであった。
その時であった。部屋の壁から光の亀裂が突如発生し、そこから1人の霊騎士が現れると、ハーネイトたちに声をかける。そう、それはヴァストローであった。




