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レヴェネイター  謎多き魔法探偵と霊量士(クォルタード)の活動録  作者: トッキー
第1部 邪神復活事案 レヴェネイターズ始動!
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第116話 RGE正式運用開始・前編



「……本当に、皆には遅れて申し訳なかったが、ようやくできた」


「全く、貴方は本当に奇妙な閃きばかり浮かぶわね」


「以前皆のCデパイサーに適用し、一旦凍結していたRGEを、正式運用できるようになったのだ」


「流石ねハーネイト。諦めないあなたの姿は、かっこいいわ。でも休息も取らないと」


 リリーは本当に熱心な男だと思いながら、昔修行をつけてくれたことについて脳内で思い出がよみがえり、ふと笑みがこぼれた。


 あの時も彼は熱心に、研究や後進への指導をしていたなと。しかしそれとこれとは別で健康に気をつけなさいと一応彼女は彼にくぎを刺しておいた。


「あの時は個人に合わせたジェムピースの組み合わせでなかったから、全員にかなり疲労をもたらした。そこで個人用に好きに改造できるよう、プログラムなどを構築していたのだ。これなら、自身に適した基礎能力や追加能力を向上、付与することができる。あの時のような影響もなくね」


 ハーネイトは以前の戦いにおいて、全員に対し強引に適用させたシステムを改良していた。


 個人が自身の適性に合わせ能力を強化させるシステムにすればあの副作用もないはずだと思い、只管夜にCデパイサーの製作と合わせ装置やデータと対峙していたのであった。

 

 それを聞いたまだ眠たそうな伯爵は、ふあああと大きくあくびをしながら相棒に対する気持ちを述べた。


「ふあああ、全くよぉ、おめえは本当に頭が飛んでるというか、すげえというか」


「伯爵、私は昔からそういうものだ」


 事実、彼が故郷で発明したものはどれも多くの国において文明を発達させていた。中でもボルナレロとの共同研究で完成させたRTMGIS・ISシステムは魔獣や侵略者の迎撃に使われ、長年深刻だった魔獣被害をに防ぎ、BK首領のロイたちと研究した魔粒子機関(マカードモルツ)霊量機関(クォルツモーター)はCデパイサーを初めとした車や機械など多くの動力源の核として使われている。彼の熱心な一面が、ひらめきを手繰り寄せていた。

 

「私がマーカジャノで宝石魔術の研究をしていたことは知っているだろ?それに関連して、宝石の中には特別な能力を引き出す何かがあると私は思い大魔法の研究と並行し研究をしていた。それが、ようやく実を結んだのだよ」


「そうか、そんでよ、何が分かったんだ?」


「色や大きさによって、適用される能力に大幅な違いが生じることさ。それを反映させるプログラムを、より多くの人がカスタマイズしやすいようにした結果、役割や霊の性能、任務に応じた強化を自身に施せるようになったのだ」


 彼はまだ事務所を構える前、鉱山に囲まれた都市で第一次DG戦争にて亡くなった、魔法の師匠ジルバッドの研究していた魔法の1つについて、更なる研究を行うため女王の下で仕えていたという。


 その中で手に入れた技術やデータが、いまここで実を結び一つの結果を導いた。今は亡き師匠から引き継ぎ、多くの人の力を借りてここまで来た。


 けれどここからが真のスタートだ、彼はそう思い気を緩め止まることはなかった。


「よーやるわ。だが、みんなあの時からいつ使えるのか気にしていたぜ。早く伝達してやれや」


「言われなくても、伯爵」


 ハーネイトは一休みしてからレストランで朝食を取り、宗次郎と話したりトラブル対応に少し追われてからメールで、Cデパイサーの新機能に関する説明と更新のための情報を全員に伝達した。


 その後夕方になって、響たちが事務所を訪れてから会議室に集まり待機していた。


「んだんだ、兄貴がわざわざ来いって何があったんだ」


「メール見てないでしょ翼君。新しい強化システムの話よ」


「全く、先生はいつ寝ているんだ?」


 どうも翼はいまいち集まった理由が分かっておらず彩音は仕方ないなと思いつつ説明をしてあげた。


 その理由は彼がさっきまで部活で汗を流していたからであり、連絡が入った後も確認をしていなかったためであった。


 そんな中響は、先生はいつ寝ているのか気になっていた。色々研究を成功させているが、少なくとも睡眠時間はとれていなさそうだと思い、例の星奈の予言が当たらないようにと祈っていた。


「まさか、立て続けにこうも技術を開発するとはな。彼の力は恐ろしい」


「しかしよ大和、彼がそれだけ優秀であるということではないか」


「まあ、見た目はともかくマジですごい存在の息子ってのは、確かなんでしょうね」


「まだ力を引き出せていない俺にも扱えるのかそれは」


 文治郎と大和、田村はたまたま時間が合い今回のに出席した。スカーファらは近いうちに別の時間に更新をさせるようで、ハーネイトはまず経験のそこそこある人たちを主に集めていた。


 文治郎はハーネイトが寝る間も惜しんで開発しているのを知っており、そのうえでよくやるなと伯爵らと同じ感想を述べた。


「田村先生……そうだな、俺もだが知っておくだけでも損はないと思いますよ」


「そうだな、できることを少しづつ、か」


 田村はそう自分に言い聞かせ、ゆっくりでも力を引き出し自分の物にし、アノ時の後悔を二度としないことを誓う。


「ったく、少しは自分の健康いたわれよな先公」


「まあ、それは同感。兄貴はどうも夢中になると止まらないタイプと見たぜ」


 一方で五丈厳はやはり態度の悪い姿を見せながらも、実はハーネイトの身を案じていた。


 大人は嫌いだ、話もろくに聞かないし自分たちの都合とメンツのために、当事者を無視して穏便に済ませて事態の解決に向き合わない奴らばかりだ。そう彼は思っていた。


 その感情はハーネイトにも強く向けられており、不満を抱いていたがそれも最初の内だけであり、いつの間にか年の離れたどこか頼れる兄貴のような感情も彼に抱いていたのであった。彼の言葉に九龍も便乗し、ハーネイトの性格について話をした。


「宝石で強化なんて、素敵ですわね」


「宝石……集める任務あるのかな、気になるなあ」


「占いでも使うことはあるけれど、直接強化素材にするなんて驚きだわ」


 そんな中亜里沙と文香、星奈は自由に話し、それぞれ宝石というワードに胸をときめかせていた。やはり年頃なのか、事前にハーネイトが説明した内容に興味津々であった。

 

 するとハーネイトがリリーと共に会議室に入ってきて説明の準備を急いで行っていた。


「ごめんなさい、Cデパイサーで連絡はしましたが、今回はどうしても来て頂かないといけないので申し訳ありません。今日都合が合わなかった人も後日適用させますが」


 ハーネイトは眠たそうにしつつも嬉しそうに、すぐに発表の準備をしプロジェクターに電源を入れてから映し出された画面を元に、今回集まった理由に関しての説明を始めたのであった。


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