第105話 緊急Aミッション 伯爵チームサイド
伯爵チーム 伯爵、リリエット、シャックス、時枝、間城、響 彩音
「わわ、これは結界石が点在……あれ、2つしかない」
「にしてはやたらでけえ。しかも中央部に何か大きなパズルのようなものがあるぜ」
伯爵たちが訪れたのは、例の汚染領域と、普段見るものと違う巨大な結界石が中央に鎮座している空間であった。
伯爵は菌探知を使用し、周囲を探りどういう状態かを把握するが、結界を構築する石のサイズおよび形状が、明らかに今までのとは違うことに気付き警戒する。
それに気づいたリリエットたちもエリア中央に存在する結界石の形状を観察し、あることに気付いたのであった。
「何かはめ込むための穴、があるな。伯爵先生、恐らくこのどこかにカギとなるピースがかくれているかもしれません
「だろうなあ。なんかあるのはこちらでも把握したが……うーむ」
「だったら私のアイアスで探してみるわ」
間城はそう言うとアイアスを呼び出し、盾を天に掲げるように指示した。
間城の基本クラスはシールダーだが、もう一つクラスを持っており、それはサーチャーである。アイアスの持つ盾から放たれる波動を用いれば、何があるのか自身を起点に広範囲で把握することができる。
「あれをやるのか姉貴」
「そうよアイアス。その盾は索敵レーダーの力もあるからね。皆の支援しないと」
「了解、姉貴。んじゃ行くぜ」
2人はそうして集中し、盾から放射状に広がる波を発生させ、それにぶつかるものを探していく。すると早速捉えた反応について全員に情報を伝える。
「何かいるわね。ピースが2種類、それが7つで合計14。なんて面倒なことを」
「そんだけ分かれば十分よ、さあ片っ端から行くわよ貴方たち!あれを壊さないと、全員を救出できないわ」
「了解ですともリリエット。では、行きますぞ!」
リリエットはアタッカーとしての役目を果たすため、伯爵が手に入れた情報をもとに、最短距離でアイテムのある場所に全員が行けるように制圧攻撃を行う。
彼女の放つ霊量子が、魂食獣を一匹、また一匹と倒しつつ侵入を阻む箇所を浄化していく。一見汚染されている場所は多く見えるが、観察すれば弱い場所がある。そこから切り込んでいけば速やかに奥まで進むことができる。
シャックスも彼女に続き、前に進むと飛び上がり、上空から地面に対し光の矢を幾つも放ち汚染された場所を吹き飛ばしていく。
「そら、こんなところに!」
「ええ、これですね。これを合わせれば……」
その間に彩音は響と手分けして、必要なピースを回収する。それをさらに時枝と間城が支援していた。
「ったく、俺がそれをはめてくるぜ。これは、こっちだな」
「伯爵さん、後ろ!」
「素人はだまっとれい!なんつーてな、醸せ、菌幻自在!」
響が一つ目の完成したカギをはめてくると言い、彩音の警告に対し伯爵は、首元に近い背中からハーネイトの紅蓮葬送と類似したマントを風にたなびかせながら召喚した。
「菌蝕!(バクテリアイロージョン)」
「ウガぁ、アア!」
そうして伯爵は迫っていた魂食獣を、まるで空気を吸うかのごとく自然に菌のマントで捕縛し食い尽くしていく。彼に近づくのは自滅行為である。
「出た、伯爵さんの十八番!」
「おいおい、お前らしっかりやれや。んにしても霊獣は美味しくねえ、霊量子だけかい」
「次いでにアイテムとか落とすとまだやる気出ますか?」
「まあな、ともかく早く集めるぞ」
相変わらず恐ろしいことをサラッとやってのける伯爵にくぎ付けになるも、彼の一声ではっとした皆は引き続き結界石を解除するために必要なアイテムを捜索していた。
「はあはあ、赤色のピース、全部集めきったわ」
「よくやった間城、リリエット」
「全く、イライラするわね本当に」
「そりゃ同感だわ。さあ、早いところ終わらせてハーネイトの元に戻るぞ」
そうしてリリエットたちの活躍で結界石を解除し、結界の先にある何かを全員は目に捉えた。
「んだ、敵はこいつだけか。ここは俺が行く。皆は体力を温存させておけ」
「わ、分かったわ先生」
「ふう、では任せたよ伯爵」
「オーケー、行くぜ、ブッ醸す!」
この後の戦いの結果はもちろんお察しであると思うが、伯爵がみなぎる闘志滾らせ、敵の魂食獣はあっという間に食い尽くされてしまったのであった。やはり伯爵は怖い、全員は見た感想をそう述べていた。
だが、まだそこに敵性存在がいた。全高10mほどの、4足の恐竜らしき魂食獣、というか竜が突如現れ、チームに対し攻撃を仕掛ける。緑色の光を体から放ち、口を開けると複数の光弾を発射する。
「グァア!」
「エネルギー弾か、全員散開だ散開!」
「緑白ね、こいつの弱点は、首と角よ!」
「分かりましたリリエット先生!」
「やり方が分かっているなら、すでにチェックメイトだ!ミチザネ、雷轟を!」
リリエットは敵の魂食獣を緑白と言い、すでに戦ったことのある相手なため弱点を各員に指示して攻撃を仕掛ける。
注目を逸らすために彼女は手にした剣を地面に突き刺し、前方から背後に振り上げるモーションで桃色の衝撃波を複数放ちけん制する。
それに合わせ彩音と間城、時枝はそれぞれ具現霊による攻撃を仕掛け緑白を大きく怯ませ、抵抗し全身からレーザーを放ち全てを吹き飛ばそうとするが間城のアイアスが的確に攻撃を防ぐ。
「止めだ!言乃葉、火焔斬だ!」
「私もやりますよ、震えろ、フルンディンガー!神弓技・ミスティルテイン!!!」
最後に響が突撃し言乃葉に指示を出し、火焔を纏った剣閃を竜の喉元に直撃させ、それに合わせシャックスが強力な霊量子の矢を一発放ち、見事竜の胴体を貫き緑白を撃破することができたのであった。
「最後に、あの装置を全力でぶっ壊せ!」
伯爵の指示で、最後に異界化装置を破壊した。だがハーネイトの担当するエリアもどうにかしないと出られないようであった。
「始末完了、さあ戻るぞ」
「敵が弱い、こっちは陽動かもしれん」
「確かに、いまいち手ごたえがない感じがしますね伯爵」
「だな時枝。まだ敵性存在が潜んでいるかもしれねえ、探索はこちらでもするが、警戒を怠るなや!」
「了解です伯爵!」
伯爵はそう思い、響たちに警戒を怠らず移動するようにと指示を出し、足早にそこを立ち去りハーネイト達の応援に回ろうとしていた。




