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未払いセックスレス7
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そのとき自分がどんな顔をしていたのだろうか。
突如浜辺に現れた現れた不審者。だいたいそんなところだろうか。
はっきり言って、私の半身は死んでいたし、もう半身もすでに事切れようとしていた。極めて個人的な、馬鹿げた理由で、私は時間をかけて築きあげてきた小さな箱を、粉々に砕くつもりでもあった。。
思い出作りだ。
人として男としての思い出づくり。
そんな思い出の一ページに君のような美しい女性の思い出を詰め込みたいと、私はあの浜辺に侵入したのだった。
『いいんですか?私、普通じゃないですよ?』
彼女は小さく微笑んで私に言った。私はぶんぶんと大きく首を振った。彼女が私の相手をしてくれるのなら、もうそれだけで十分だったのだ。
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