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リトライ

「やぁ、よく来たね君たち!レイデンナグルへようこそ!」


目の前には真っ白な羽諸を纏い、いまにも胸がはち切れてしまうんじゃないかと思わせるほどのドデカメロンを二つ付けている女の子が、いや女性?訳のわからないこと言っている。

さらのにはクラブミュージックがBGMなんて、ここディスコ?

周りは暗闇、彼女だけが光に照らされていて、まさに天使の用だ。顔つきまではここからでは確認できないが、美人オーラぷんぷんしてるぜ。

「私は3代目女神さまのベリーちゃんだよ!」

いきなり自己紹介し始めちゃったよこの人。なんだよベリーって、どちらかというとメロンだろメロン。

「メロンじゃないからね、そこの君!」

なぜ俺を指さしているんだ?まぁ彼女自身気にしているのかもな、人間無いものねだりなとこあるし、でか過ぎてもな。それとも俺に気でもあるのかな、やっとモテ期到来か。

さっきから音楽爆音すぎなんだよ、ヘイDJ!いるんだったら音量抑えてくれよ。

「ちっがーーーーう!私は私の体気に入ってるんだから、うるさい!少しは口にだして物事言えないの!これだからいまの若者は。てか全然タイプじゃなーいし!」

おいおい、その昭和世代の口癖使うなよ。そもそもこれって会話なのか、頭の中で考えてることすぐ口に出しちゃう性格だったっけ俺って。

自分の癖って人に言われないと気づけないよね、ッはッはッは。

さらっと振られた気がするのは俺だけかな。


そんなことより今なんて言った、口に出して物事言えないのって聞こえたけど、まさか心が読まれてる?そんなこと現実ではあり得ないだろ、昔そんなドラマあったけどこれ現実だろ?

夢なんだったら早くお楽しみの時間プリーズ。


「そろそろ怒るよ?志坂一色クン。」

あ、僕の名前ですそれ、やっぱ女神さんすごいっすね。俺の寿命まで見えちゃったりしてますかね。

「見えないわボケ!君は少し頭を冷やしなさい。」

もーやだこの人、本気でムカついてきた。


「てゆーか早くお楽しみの時間くださいよ。」

俺がここに来て初めて口に出した言葉だ。俺らしい、なんて俺らしい言葉なんだ。

夢ならなんでもありだろ、普段言えないようなこと言っちゃってもいーよね。

学校では猫かぶって人付き合いして、そんなめんだくさいことなら会話なんていらない、言葉があるから人は傷ついたり、絶望するんだろ。

その逆もあるけど、俺は偽善者になんてなりたくないからな。


「一色クンってそんなこと言うんダネ、面白そう。」

BGMのせいでどこから聞こえてるか分からないけど、一つ言わせてくれ。

面白そうってなんだよ、俺は芸人じゃないしそのハードル上がって胸バクバクするの大っ嫌いなんだよ。

それにこの状況下で俺以外にも何人かがいるってのは感づいていたけど、君冷静すぎるよね。

妙に聞き覚えのある声と少しニュアンスの違う日本語で大体誰かは検討が付く。

「うるせーよ中島。」

そう金髪クソイケメン、中島ノエル。

「せいかーい!覚えてくれてたんだね、僕うれしいヨ。」

覚えてるもなにもそんだけオーラ出してたら嫌でも覚えてしまいます。

中島は同じクラスメイトで俺とは真逆側の存在だ、入学式の席が隣だったことからが始まりなんでが、この話はまたいずれ。

ちなみに友達なんかじゃねーから。

「私を無視するなぁーー!!!」

空耳かな、音が混ざりすぎちゃって僕には聞こえません。


「一色に中島か、面白くなりそーだな!ガッハッハ」

この独特な笑い声、あいつもいるのかよ。

「俺は春日海、久しぶりだな。覚えてるか?ガッハッハ」

覚えていますとも、別に友達じゃないよ?ただ帰宅途中に隣の高校のDQNに絡まれた時にコイツが助けてくれて、借りを作ってしまったってだけだ。

だから友達じゃないよ?

「海クンじゃーん、今日も筋肉すごいネ。」

中島、お前はどこ見てるんだよ。てゆーか君たちにはお互いがお互いで見合えているの?

もしかして見えないのは俺だけ?これってボッチってやつか。

「そうだろ、この上腕二頭筋....」

春日の悪い癖だ。筋肉の話になると話が長くなる。

普段から筋肉の開発に勤しむあまり、体重は100kgオーバー、体脂肪率は10%切ってるだとか。顔の特徴と言えば眉毛がめっちゃ太い。

「ははは、すごいネ。」

「そうだろ!次はこの僧帽筋がだな..,」

こいつらカオス、この状況でどういう神経してるんだよ。

「だからー!わたしのぉー...」

あー全然聞こえない。久しぶりに聞くクラブミュージック最高だぜ!

体がかってに動いてきちまう。


「そろそろ本題に入らないのか?女神さんよ一色にも話してやれよ。」

その鋭い声に、一瞬にして場が静まり返った。

BGMも止まりやがって、なにこいつ主人公?DJ仕事してくれよ。


「お前はなにか知ってるのかよ、雪永。」

この3人の中では一番古い付き合いと言いますか、腐れ縁と言いますか。

幼稚園からコイツとはずっと一緒だった。

雪永優、

容姿端麗、才色兼備のオールマイティーすぎる男。イメージはメガネだな。

一つとして雪永に勝てるものなんてない、似ても似つかない存在。

家が隣で小さい頃はよく遊んでいたらしいけど、そんな記憶俺は消し去っている。

雪永と一緒にいると自分が小さく見えてしまって本気で死にたくなるんだよ。


「君たちがうるさいからでしょー!もー始めるからね。」

BGMが消えたせいで脳にまでその甲高い声が響く。

「雪永クンには話したけど他の3人には説明してないから、1回で覚えてね!」

なんで雪永だけ知ってるんだよ、やっぱあいつ主人公じゃん。

「はーイ。」

「オッス!」

中島に春日ノリノリすぎだろ。学校にいる気分になっちまうだろ。

「まずは、ここは夢の世界ではありません、残念!」

そこからかーい!もう把握してますから早く続きを。

「一人ノリが悪い子がいますが、続けます。単刀直入に言うと君たちはこちらの世界、レイデンブルクにて青春を送ってもらいまーす!」


頭にお星様でも湧いてんじゃないのこのメロンちゃん。


「だからメロンじゃねーから、べりーだから!コッホン、青春それは甘酸っぱくて切なくて、人生において必要不可欠なものなのです!」

ビシッ、人差し指を突き立てる。

「君たちはその途中で挫折してしまった。あるものは受験で失敗し、あるものはケガでその夢を諦め、またあるものは自分がいる世界そのものに嫌気がさし、そして生きている事すらも苦になったもの。」


ニヤッと女神さまは笑う。


「そーんなの君たちに、私からのプレゼント!もう一度リトライする権利をあげちゃうの!」

これなんてゲーム?クソゲーの匂いしかしないんですけど。

「ちなみにゲームじゃありまっせーん!君の思うゲームってRPGとかかな?それってここでリトライした先輩方が君たちの世界で作り上げた物なんだよ。」

ははは、すげーじゃん作り話にしては壮大なスケールすぎて俺の頭がついてけないよ。


「嘘か真か、それを知るのは君たちの目だからね。もぉーこんなことしてたら時間なくなっちゃったじゃん。」

ぷんすかしてる女神様、ふつーに可愛いな。俺と付き合って。」


「無理です、では掻い摘んで説明すると君たちにはこの世界のどこかにいる魔王を倒してきてもらいまーす。ね、簡単でしょ?」


さらっと振られてる、あれデジャブだな。

こんな話他の3人はどんな顔して聞いてるんだろーな、春日なんてもういびきかいて寝てそうだけどな。


「ぐー..ガガガ,,,ぐーすぅ」


うん、気のせい気のせい。

「それって青春じゃなくて、冒険者ごっこしろってことだろ?」

耐えきれなかった、付き合いきれない。

なにが青春だ、これじゃあよくあるマンガのシナリオじゃねーかよ、魔王を倒すついでに少しラブコメ付けました的なさ。


ッちっちっち

女神は突き立てた人差し指を左右に振り、ウィンクする。

「甘いよ一色クン!目指すものを共有し、仲間と共に成長し、その過程で人は進化するのだよ!これを私は青春と名付けた!君たちは言うならば落ちこぼれ、一回見つめなおす機会が必要なのさ!」


「だからこちらの世界で過ごす時間は君たちのいた世界と変わらないし、年数に応じて年も取る、もちろん殺されれば死ぬ、リアルがもっとーな私だからね!」


「君たちが元いた世界に戻る方法は4人全員で魔王をやっつければ戻れるから!戻りたくないなら倒さなければいいし、誰かが死んだ場合即ゲームオーバー!こちらの世界で一生過ごしてもらうよ、楽しいと思うけどね!」


今になって鳥肌が立ってきた。このメロンちゃん本当に頭いっちゃってるんだな。

だがこの話が本当なら、あんな世界とおさらば出来るいいチャンスじゃないか。


「それじゃあ行ってらっしゃい!ちなみに最初4人は別々の場所からの出発になるからね、今までのこのスタートから4人が合流出来た例は2500組中3%だから!そこんとこ踏まえてね、期待してるよ君たち!」


「おい、待てよまだ何も...」



目の前がブラックアウトし、結局俺は3人の顔を見ることが出来ず、最後に不気味な笑みを浮かべた女神の表情だけ焼き付いた。

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