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いつかの花  作者: 憂木冷
7/11

小五~渾名~


 仕切り直しである。

 サカキ=ウエハル。クサビ=フミカ。ハカマ=フウ。ジョウドウ=キズナ。そして僕。五人が図書室のテーブルを囲んで座る。

「今月のお前の渾名あだなは『ソング』だ!」

「あっ、あだ名?」

 しかも今月の、とはどういうことだろう。僕の疑問に反して、ハカマ=フウと幼馴染であるらしいジョウドウ=キズナとサカキ=ウエハルは、

「ハァん、なるほどな」

「……ふん。いいんじゃないか」

 と、話の内容を理解したらしい。僕にはよく分からなかった。

「どういうことなんだい?」

「……つまりさ、クラスの奴らは、お前の名前をからかってるんだろ」

「ンなら、周りがお前の本名を呼ばねえ空気を作っちまえばいい。ってことだろ?」

「そうだ! 逆城もお嬢もわかってんじゃんか! まあ、だから、俺達が毎月お前に新しい渾名を付けて呼びまくるってことだ」

「なるほどぉ。みんな頭いいね」

 僕と同じで、三人と知り合ってそんなに長くないクサビ=フミカが僕の代わりに納得する。

「じゃあ早速。よろしくね、ソングくん」

 その一言に心臓がすぼんだ。名前を呼ばれるよりも、ずっとこそばゆい。恥ずかしくって、体中をむしりたかった。

 これが僕の、人生最初の渾名になった。たったこれだけのことで、彼らを友達みたいに感じて。たったこれだけのことで、彼らと友達になりたくなった。

 せめて僕も、皆のことはファーストネームで呼び返そう。

「うん。よろしく、クサビ」



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