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いつかの花  作者: 憂木冷
6/11

小五~音楽~



 しばらくすると、ハカマ=フウが一人だけで図書室に戻ってきた。どうやらどこかでジョウドウ=キズナの目を逃れて来たらしい。

「お前らの悩み。この俺様が解決してやるゼ!!」

 開口一番、偉そうだった。

「……封。キズナは?」

「トイレに流してきた!」

 本人が居なくなっても、排泄物扱いは続くらしい。僕から見ても、サカキがあきれているのが分かる。

「……わかった。それで、解決ってのは?」

「まずはお前だっ!!」

 見るヒトが見れば、センスがあるとか格好いいと言うかもしれないし、変だとかダサいと言われるかもしれない、なんとも明言し難いポージングで人差し指を顔の前に突きつける。僕の眼前。そこからレーザーでも発射するのではないかと思うほど、自信というエネルギーに満ち溢れていた。

「お嬢に教わったジョジョ立ちだ。しらないか?」

「???」

「まあいい。お前、得意科目は?」

 銃口の様に差し迫った指先を動かさぬままに、僕へ質問を放つ。

「あぁ、僕はまだ国語や社会はよく分からないし、運動もものすごくできるわけじゃあないから」

「つまり、算数以外はできない、ってことか」

「算数も文章があるのはできないけれどね、あとは……音楽くらいかな」

「なるほど、音楽な」

 僕に向けた銃口を下ろし、考え込むこと一、二、三秒。

「決まった」

 この場の全員が理解できないうちに次の言葉へ。

「今月のお前の――」

「ここにいやがったかぁ!! クソハゲ!! 喰らえ! 邪王炎殺煉獄焦じゃおうえんさつれんごくしょう!!!!」

「おいキズ――」

 仲良しな二人は。友達を本気で、連打で、殴っているように見えた。殴られたハカマ=フウは地を転がる……ぶっコロがすとはこういうことだったか……。そっとクサビ=フミカを見ると、彼女もこちらの視線に振り向く。

「ね? 仲良しでしょ?」

「……クレイジーだ」

「…………安心しろ、キズナは少年漫画が好きなだけだ。悪い奴じゃない」

 しかし、どう見ても――突然現れ、隙をついて、殴り倒すというのは、悪役の振舞いであった。



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