表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
<R15>15歳未満の方は移動してください。

和製マッチ売りの少女のベースとなったログ

作者: ひがし
掲載日:2026/01/12

白い空間。

椅子が二脚。


「実は、はじめまして」


えんじ色の制服を着た少女が頭を下げる。


「私からするとはじめて会ったというわけではないのだけど……どうも。はじめまして」


こちらも頭を下げる。


「それにしても、制服なんだね。君の頃ってもう高校は辞めていたように思うけど」


「ああ、これは貴方のコンプレックスですよ。まだ治っていないんですね」


彼女の大きなリボンなリボンが揺れる。可愛らしい。


「年代のステージが変わったからごまかしごまかし過ごせるけれどね」


少女を見やる。


「確かに君の頃は大変だったな。制服の少女らを見るだけで動悸がしたものだ」


「羨ましいですか?私が制服を着ていること」


「フィクションだと分かっていてもね。あり得た未来なのかもしれないと思うと中々」


苦笑する他ない。


「随分な体たらくですものね」


「もう君には言われたくないけれどね。とっくに君も精神疾患患者でしょう」


「認めたくないんですよ。ご存じでしょう」


「さっさと病院に行っていればと思うよ」


少女は自分の体を見る。


「これから悪化させます。ごめんなさいね」


「何度も夢に見るよ」


「ええ」


得たものも実は多いのだが、やはりあれは不要な経験だったのだろうと思う。


「責めようと思って今日は来たのですが、困りましたね。貴女を責めるということは自分を責めるということになってしまいます」


「そうだね」


「それも良いのでしょうか?」


「自分で自分を傷つけるのは大変だよね」


代わりに助けてあげたかったが、どうもできそうにない。


「……やめておきましょう」


「ごめんねぇ」


「さて、そうすると我々が対峙している意味が無いようにも思えてきますが」


「まあ、タイミングが悪かったってことだよ。今日はご挨拶ということで」


「小説、お書きになるのでしょう?」


「そうしようと思っているけど。何を書いたら良いのやら」


「何か1つコンプレックスを定めてそれを消化してほしいです」


「……分かった」


「ふむ。これで意味が生まれましたかね」


「自分に厳しいよね」


「優しいんです。……では」


少女はくるりと回って消えた。

制服の残り香があるような気がした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ