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2章
冬の日々
雪が降り続ける冬の日々。遥斗は花音の家で過ごしながら、少しずつ笑顔を見せるようになる。
花音は遥斗の手料理の腕前に驚き、一緒に雪だるまを作り、温かいココアを飲みながら窓の外の雪景色を眺める。遥斗は記憶を失っているはずなのに、時折ピアノを美しく奏で、花音を魅了する。
「どうしてピアノが弾けるの?」
「分からない。でも、指が勝手に動くんだ」
儚げで、どこか遠くを見つめるような瞳。花音は次第に遥斗に惹かれていく。彼が笑うと嬉しくて、彼が悲しそうにすると胸が痛んだ。
冬の間、二人は図書館に通い、雪合戦をし、商店街を歩いた。遥斗は時々頭を押さえて苦しそうにするが、記憶の断片は戻らない。




