4-23急病
数日後、父上が倒れたという連絡を受けた。夜の遅い時間。自室で寝る前のくつろぎの時間の最中だった。
私はリネンの寝間着のまま、急いで父上の元に駆け付ける。
「父上! 大丈夫ですか! 父上!」
部屋に入ったところで第一声を上げる。それからベッドに駆け寄り、膝をつく。ベッドに寝込む父上と目線の高さに合わせた。それから父上の手を握りしめ声をかける。父上は顔をゆがめた。
「父上! しっかりしてください! ……治癒術師は呼んだの?!」
焦った表情を浮かべた使用人たち。その中で冷静な表情をした一人が声をあげる。その使用人の名前はシズク。なかなかメイド服に馴染んでいる。
「呼びましたが時間が時間で……そういえば治癒術師ではないですが、薬の知識がある知り合いがたまたま近くに滞在していました、私が直接行って連れてまいりましょう」
「何でもいいから連れてきて!」
シズクが頷くと、すぐさま部屋を出ていく。それとすれ違いで、母上とアリードが入ってきた。あなたたち二人は、昼間の格好のままで寝ているの。私はちゃんと寝間着よ。いつもと違うけど。
入ってきた二人はベッドから少し離れた所に立つ。アリードはその位置でいいが、母上はベッド脇に膝をつくべきだろう。もう少しそれっぽくしてくれないと、私だけ恥ずかしいじゃないか。
「サベル、倒れるなんて」
母上の棒読みが炸裂w だが父上はそれどころではない。辛そうに上手く喋れない様子で何度か呻いた後、やっと聞き取れる言葉を発する。
「はれに、何を……入れ、あ」
あれに何を入れた。おそらくそう言ったのだろう。確か特別製の薬はワインに入れたはずだ。すぐにそれを疑うとは、母上を愛していないのか。この豚め。
母上はそう問われて、首をかしげる。なんと言っているのか聞き取れず、困っている様子だ。それからアリードに顔を向ける。
「それより、サベルが倒れてしまって、領主の仕事はどうすればいいの?」
「一時的なご病気ですので、他の貴族様や国王様の手を煩わせるわけにまいりません、それに一時的であればご寝台より指示をいただき、それを奥様が代行するという形で公務の執行を行う事は認められています」
「あぁっ、治るかもしれないから再任命なんてしてられないものね」
母上はその場にそぐわない明るい声を出す。それを聞いた使用人たちが不安そうに身をよじらせていた。もう少し神妙にしてほしい物だ。
「連れてまいりました」
ドアが開けられて、シズクの声が響く。一緒に入ってきたのはもちろんユウマだ。ありえない速さで到着している。リアリティのかけらもあった物じゃないわw こいつらw




