4-11えっな薬
「ええええっちな薬ですか?!」
「なんでそうなるのよ?!」
確かにお子様には刺激が強いといえば、そっちの話もだが。
「だって、ヴィー様のトーマスを見る目がたまに野獣の様で」
バレていたのか。確かに最近はそういう気分になって、トーマスを見る事が多くなったが、周りには気づかれない様に密かにやっていたつもりだった。
「ふふふ、媚薬をご所望でしたか」
突然ユウマがそんな事をのたまう。何を言っているのか。私の精神は大人だが、体は子供で、ユウマは大人だ。ここは乗っかるのではなく、止めるとか諭すとかやる事があるだろう。実は変態なのか。
私が否定しようとしたところで、ルーに遮られる。
「だだだだめですよ! ヴィー様! そういうのはちゃんと順序をですね」
そんな事を言いながら、ルーが迫ってくる。その背後にユウマの姿が見えた。いつもと変わらない微笑みを浮かべて眺めている。もしかして面白がっているのか。
「媚薬じゃないわよ!」
否定してみても、ルーは納得していない様だ。それだけ野獣のような目が、切羽詰まって見えたのか。
「もういいわ!」
何を言ってもダメな気がして、諦めた。ルーの脇をすり抜けて、部屋の出入り口に向かう。
「まだ話は」
ルーに声をかけられたが、足を止めない。反応していたら、ずっと続きそうである。部屋を出ると、ルーも一緒に出てきたようだ。
「ヴィー様、どちらへ」
ルーの問いかけに答えない。私は構わず走り出した。ルーは確実について来れないだろう。遠くの方でルーの声が聞こえたが、もう何を言っているのか聞こえない。
ルーが探し回っているかわからないが、どこに行ったか分からない様に、遠回りをしてトーマスとフレイアが訓練しているところに向かう。
二人が訓練に使っている場所は館の裏手の敷地外。そこは何もない場所で、二人の訓練場所になっていた。というのも二人は騎士団の所属ではないため、訓練場は使えない。だから館で訓練をする事にしたのだが、何かを壊されても困る。そんな理由から今の場所に落ち着いたのだ。
「ん? お嬢、どうしたんだい?」
私が接近してきた事に気づいたフレイアが声をあげる。相当集中していたのか、遅れてトーマスが反応した。そして、こちらに向かって頭を下げる。
「気にしないで続けなさい」
「おう……トーマス、続けな」
フレイアの言葉に頷いたトーマスが、木の剣を構え直す。それからフレイアに斬りかかった。
「おっと」
難なくという感じで、剣戟を避けるフレイア。トーマスはそれでもめげずに何度か攻撃を繰り出したが、全部簡単にさけられてしまった。




