4-9治癒魔法の真実
「もしや、ヴィオラ様の熱は治癒魔法ではない、薬の方で治ったと言いたいのかね」
私が考え込んでいると、アリードがそう問いかける。実際の所はわからないが、そういう考え方もできる。問われたユウマは真剣な表情で頷いた。
「この国に来て驚いたのですが、治癒魔法師と薬師が分けられていない……外傷は治癒魔法師、疾患は薬師という役割分担されていなければいけないのに」
「あなたの国ではそうなの?」
「はい、ケガは治癒魔法師、病気は薬師にかかります」
ユウマが眉間にしわを寄せる。ため息をついてから続けた。
「おそらくですが、治癒魔法師の方々は独占する事を目的に、薬師という役割を自分たちで果たしているのではないでしょうか? 薬は、乱暴な言い方をすればそこら辺に生えている草や生き物などで作れます、コストはほとんどかかりません」
「つまり、本来もっと安くできる治療代金を高額にするために?」
珍しく怒りに満ちた声を、トーマスがあげた。もしかしたらスラム時代に誰かが病気になって、治療代金のせいで死なせてしまった、という様な経験でもあるのかもしれない。
「えぇ、くわえて言えば、外傷より疾患の方が発生割合は多い、お金儲けを考えるなら疾患患者を囲い込む方が良いでしょう」
「ほとんど詐欺みたいなものじゃないですか」
ルーがそんな事をもらす。確かに詐欺だ。本来もっと安い治療代金にできるのに、それを黙って高い治療代金をとっている。しかも治せないのに、治せると嘘をついている。
これは国全体を騙しているという事になる。いや、国王は知っているのだろうか。利権に絡んでいれば、黙認している可能性もありえる。すぐにはどんなカラクリなのか思いつかないが。
「ヴィオラ様のご指示は簡単ではないですが、承ります……私もこの件は何とかしたいと、常々思っておりましたので」
ユウマが頭を下げる。これまで後ろ盾がなく、手が出せなかったのかもしれない。国が相手になるのかまだわからないが、国全体を騙している様な強大な相手だ。個人などすぐ消される。というか私が首謀者なら、即座に消すだろう。
神妙な顔つきのユウマを見つめる。私に近づいてきたのも、このためだったのかもしれない。
「そこまでの話が隠れているとは思わなかったわ、もうちょっと気軽なつもりだったのだけど」
私のその言葉を聞いて、ユウマが苦笑を浮かべる。
「とりあえず、この件は少し慎重にしないといけないわね……また時間がかかるのね」
ため息が出そうになったところで、気の抜けた欠伸が部屋に響く。




