4-8やってほしい事
というか、治癒魔法があるのに解熱剤や鎮痛剤という薬が必要になるのだろうか。まぁ、ユウマは薬を重要視しているようだから、それを否定して対立する必要もない。私は適当に頷いておいて、話を元に戻す事にする。
「じゃあ、雑談はこの程度にして、今後の話をしましょうか」
ユウマを勧誘したのは、二つほどやってもらいたい事があったからだ。
「ユウマにはこの領の、治療関係の改善を検討してもらいたいのよ、その治療関係の知識を使ってね」
それほど驚愕の話をしたつもりはないが、ユウマは驚いたように少し表情を変える。よく分からないが、反応しただけで声をあげる事はなかったため、私は構わず話を続けた。
「具体的には高額な治療代金のせいで、毎年亡くなる平民が多いの、治療を受けられなくてね、その辺りの解決策を検討してもらいたいわ」
軽い治癒魔法は外魔力使いなら使える物だ。しかしレベルの高い治癒魔法は一部の者にしか使う事が出来ない。とても貴重な魔法なのだ。だから治療代金が吊り上がっていく。貴族が金に物を言わせて、その貴重な人材を囲い込む。治癒魔法師の方も、当然より儲かる方に傾いてしまう。結果平民は治療を受けられない。
病気で動けない者や亡くなる者が減れば、税収が増える。つまり私は贅沢できるのだ。
「軽い治癒魔法で治療を行っている者はいるのだよ、しかし、やはり重篤な物は治せない」
アリードが小さくため息をついた。この問題はアリードと共に考えてはみたが、やはり治療の事がわからない人間が頭をひねっても、まともな案が出ないのだ。
「……やはり」
悲しみに満ちた表情を浮かべるユウマ。先ほども見た顔だ。
「やはり、あなた程の身分の方さえ、薬師をご存じないのですね」
そんな事を呟いた時だった。先ほどは聞きそびれてしまったが、今は聞くべき事柄だろう。
「どういう事なの? さっきもそんなこと言ったわね?」
問いかけると、ユウマは一度黙り込む。ややあって口を開いた。
「……皆さまは治癒魔法で病気が治せると思いますか?」
「治せるでしょう? 私は子供の頃、それで治してもらった事があるわ」
子供の頃に熱を出したのを、治癒魔法師に治してもらった記憶がある。
「どのように?」
良く分からない事を、ユウマが聞いてくる。
「え、普通に治癒魔法をかけられたわよ」
「では、薬を飲まされませんでしたか?」
「飲まされたわね、治癒魔法の補助だと言われたと思うわ」
そこまで言って、ふと思いつくことがある。治癒魔法で治るのなら、補助など必要ないのではないか。治せないのならレベルの高い治癒魔法とは言えない。




