4-7理由
「立場が下だなんて」
トーマスが顔と両手を横に振りながら、急いで否定した。
「そう、トーマスはもちろん、ここにいる者はそう言われて、あぁそうですか、と鼻高々に偉そうな態度をとる事はないわ」
トーマスの態度と私の言葉に共感したらしいみんなが頷いた。それを見て、ユウマがこれまでとは違う種類の微笑みを浮かべて呟く。
「そのようですね」
これまでいろいろあったのだろう。聞くのは面倒だから深堀はしないが。
「では改めて」
仕切り直す様にトーマスがそう切り出して続ける。
「ユウマさんは、どうしてビッグアースワームの生息地に?」
ユウマは変異体に襲われたあの謎の男だった。今はヴィオル村があるあの場所で。もともとは何もなく街道からも結構離れていた。たまたま通りかかったというのは無理がある。よほどの用が無ければ、行く必要のない場所なのだ。
気になっていたが、聞きそびれていた事をトーマスが聞いてくれた。
「あはは、あの時ですか……あの時はご迷惑をおかけしました、ははは」
話している内容と行動が一致していない。そんなあまり申し訳なさそうに見えない笑いをした後、ユウマは言葉を続ける。
「ビッグアースワーム、私の出身の地域ではもっと小さくて、ミミズと呼ばれていたのですが、ミミズは解熱剤や鎮痛剤になるのです、言ってしまえば薬の材料ですね」
「薬ですか? でも」
そこまで言うとトーマスがこちらを見る。ビッグアースワームは素材として価値はない、と考えられている。だからずっと討伐されずにいて、私とトーマスで討伐してきたのだ。
「初耳だわ……アリードは噂ぐらい知ってたかしら?」
アリードなら、噂程度の話を聞いた事があるかもしれないと思ったが。顔を横に振っているのを見ると、何も知らなかったらしい。
「でも、ミミズ? と同じように薬になるかわからないですよね?」
首をかしげながらルーが問いかける。サイズが違うようだし、似ているだけの別物の生き物の可能性もあるが。
「えぇ、なので調べてみたいと思っていまして、死骸などが無いかと、あの辺りを見に行ったのです」
それでユウマはあんなところをウロウロしていた訳だ。それで偶然にも変異体になっていたビッグアースワームに襲われた。とても運が悪い男である。
「……なるほど、やっと気になっていたことが一つ解決したわ、調べるほどの事でもないし、一生理由なんて知る機会はないと思っていたけど」
私の幸運のおかげだろうか。別に必要のない幸運だが。




