表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
謀略令嬢〜邪魔なら消してしまえばいいじゃないw〜  作者: 高岩 唯丑
1巻 処刑された悪役令嬢はやり直す

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

78/105

4-2ダメな団長

「うぉい?!」


 おっさんの汚い声が聞こえてくる。避けられたらしい。後ろ手で目標を見ずに魔法を放ったのが原因だろう。おっさんの姿など見たくなくて、そうしたのだがそれが失敗だった。


「何すんだ! このじゃじゃ馬娘! というか屋敷が壊れるだろう!」


「そ、そうですよ! ヴィオラ様、いきなり何てことを」


 トーマスとジャックが声を荒げる。先ほどまでの雰囲気が吹っ飛んでしまった。仕方がない。私はトーマスから離れて、二人が視界に入る辺りに立つ。


「違うのよ、トーマス、これは日ごろの鍛錬の成果を見る為よ」


「た、鍛錬の成果、ですか」


「鍛錬の成果だと?」


 ジャックが顔をゆがめた。トーマスの方はよく分からないという表情だ。私は構わず続ける。


「騎士団長たるもの、いきなりの襲撃にも慣れなければいけないと思うのよ」


「なるほど」


 先ほどの表情から一変して、目を輝かせるトーマス。言っておいてなんだが、その反応が少し心配になる。素直過ぎやしないか。思い付きの言い訳にこんな反応を。


「おい! さすがにそれはないだろう!」


 そんなジャックの抗議の声に重ねて口を開く。言い訳は急には止まれないのだ。押し切る。


「避けるなんてダメじゃない、警護対象や領民が居たらどうするのよ」


「お、おまえ……」


「ダメな団長ね」


 私はわざとらしくため息をついて見せる。ジャックはそれを見て怒ったように拳を握りしめる。それから大きく深呼吸をして怒りを鎮めた様だった。


「……自分がダメなやつというのは、分かってるつもりだ」


 怒りで握り締めたはずの拳が、悔しさと後悔で握り締めたように変わっていた。突然の変わり身に、少し驚く。急にどうしたんだ。


「ど、どうしましたか?」


 さすがにトーマスも驚いたようで、心配を言葉にする。ジャックはしばらく黙った後、痛々しささえ感じる悲しさを浮かべた。


「フレイア団長は……いやフレイアさんは、どうしてる?」


「あぁ、そういう」


 先ほどの表情は、フレイアの事への後悔からきているらしい。


 事件当時ジャックは副団長、フレイアの部下だったらしい。ヘンリーにしてやられて、それなのに団長という地位に収まってしまった。そして、フレイアは五年も牢に入れたままだった。何もしなかったのだ。


 このおっさんには妻と子供がいると言っていた。所詮はフレイアの自由と自分と自分の家族の幸せを天秤にかけたのだ。そして、フレイアの自由を犠牲にする方を選んだ。その後悔にかけてやる優しさなどない。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ