3-19領主襲名の前祝いよ
オレリアンはずっと前から父上の悪事を暴き、成敗したいと考えている。私の一回目の人生の時も、高齢だったため息子のオースティが先頭に立っていたが、そうでなければオレリアンがあの処刑を指示していただろう。
「そういう訳で、内部告発の文書を書いてくれるかしら? あなたに都合の良い内容で構わないわ、それを預かって私がオレリアンにまとめて届ける」
「承りました、未来の領主殿」
演劇に出てくる登場人物かの様に、ヘンリーが大げさにお辞儀をした。かなり利のある取引だ。文書を都合の良い内容にできるのだから、誰かに罪を押し付けて綺麗な身になりながら、良い思いまでする事ができる。羨ましい限りだw
それにしてもこんなに簡単に信じてもらえるのは、もともとの私の悪名のおかげかしら。ヘンリーは私を同類と判断したという事かもしれない。
「それじゃあ、改めて使いの者を送るわ……安心して、文書は私が直接受け取るから」
あまり長居をすれば、誰かに目撃されるリスクが増える。来たときと同じようにマントのフードを頭からすっぽりと被って、明るい方へ移動する。
「期待していますよ」
ヘンリーの声が背後から聞こえてくる。ニヤついているらしい声の感じ。自分が格上と思っているのか。
「えぇ、楽しみにしておいて……くははっ」
内部告発の文書を依頼してから、数日が経った。今日は出来上がった文書を受け取る日。ヘンリー以外にも内部告発をする人物から、文書を受け取る手はずだ。そのためにとても高級なレストランを予約した。昼時だから前祝いとしてランチをするのだ。
「このような高級な場所で」
一人が驚いた様子で口を開いた。次いでヘンリーが複雑な表情を浮かべて、問いかけてくる。
「どうしてこのような場所を……あまり派手なのは」
「いいじゃない、前祝いよ、私の領主襲名の」
私の言葉に、ヘンリーはわずかに眉をひそめた。もしかしたらこのバカ娘とか思ったかもしれない。わかっている。危ない橋を渡っているのだから、もっと隠れるべきなのだ。正直バカの所業。
だが、この集まりは重要なのだ。高級な場所にしたのはせめてもの情けの様な物。
「さぁ、座って」
席は用意されている。そこに座るように促した。ヘンリーを含めて内部告発をする勇気ある者は四人。その四人が恐れながらという感じで、席に座る。
「さて、楽しい食事の前に、面倒ごとを片付けてしまいましょうか」
合図をすると、控えていた使用人たちがそれぞれの席に移動する。内部告発をする四人は、用意してきた文書を大事そうに使用人へ預けた。
それから集められた文書を受け取る。
「ありがとうw」




