3-7やっぱりお優しい
「投獄されている者たちは、無実の可能性が高い……だからどうにかしたいと思っていたのよ……まぁだからその……その過程でフレイアの罪もうやむやにするくらいならできるかもしれないわ」
私の言葉を聞いて、トーマスとルーの表情が明るくなる。別に優しさとかそういうことではない。そんな話をしようとしたが間に合わず、二人が飛びついてくる。二人の重みに耐えきれず、ベッドに倒れ込んでしまう。
「ヴィオラ様!」
「ヴィー様!」
「ちょっ、別にそう言う事じゃないわよ!」
「わかっています! やっぱりヴィー様はお優しい!」
「わかっていないじゃない! 優しくなんかないわ!」
ルーが私の言葉を聞いて「もぉ、恥ずかしがり屋なんですから」とさらに腕に力を込める。
二人の渾身の抱き着きから助けてもらおうと、なんとか体を起こしアリードの方を見る。アリードはクスリと笑いながら、こちらを見守っているだけだった。こいつも勘違いしている様だ。別にやさしさなどではない。
無罪の罪で投獄されている者たちを助けるにあたって、まずは騎士団の内情を調べなければならないだろう。積極的に父上に協力している者が、どれくらいいるのか。嫌々ながら従っている者がどれくらいいるのか。その割合は大事だろう。立ち回り方も変わってくる。
内情を探るため、私は騎士団本部を訪れていた。詰所は館を含めて各所に散らばっているが、それらをすべて訪問する訳にもいかない。館から離れているが、本部へ訪問する事にしたのはそのためだ。
「はぁ、面倒だわ」
街へ行きたいとわがままを言って、こっそり騎士団本部に来ている。回りくどいが、公式の訪問では父上に感づかれる恐れがあったからだ。
「ありがとうございます」
トーマスが微笑んでそう口にした。全く得にも一銭にもならないのに、人の為にこんな笑顔を浮かべてお礼を言えるなんて。あっキュン。なんていい子かしら。意識したらキュンキュンしてきたわ。
「こほん……それにしても成長したわね、トーマス」
護衛の為についてきた騎士たちを撒くために、街中を走り回ってから騎士団本部にやってきた。トーマスには、ついて来れなければ騎士団本部に先回りしておくように伝えたのだが、最後まで遅れる事もなくついてきた。
「頑張りました」
頑張ったというほど、力を出していないだろう。軽々ついてきた印象だ。すでにそこら辺の騎士では、太刀打ちできないかもしれない。実際、騎士たちはついて来れなかったのにトーマスはそれをやってのけた。軽々と。内魔力の使い方を体で覚えてきた証拠である。やはり外魔力の使い手である私では、もう教えられる事はない。
フレイアをトーマスの師にすれば、もっと強くなるわ。助けるのだからそれぐらいやってもらわなければ。
「というより、ヴィオラ様の方がすごい気が……外魔力の使い手なのに、あんなに走り回れるなんて」




