3-4五年前
アリードの言葉が止まる。思い出そうとしているのか、視線が少し下がっていた。ややあって言葉を再開させる。
「……あれは五年前でした、ヴィオラ様はまだ十歳だったと記憶しています」
私は今十五歳だ。新しい村を作ったり、スラム街を市場化する事業を進めたり、そんな風に過ごしているうちに、二年も経過したのだ。
「手紙を出すのにそんなにかかったんですね、それでもお礼を諦めなかったのは偉いです」
ルーが感心して声をあげる。確かにそれだけの時間が経過してしまったら、もういいかと諦めてしまいそうだ。相手もきっともう忘れているだろうとか、言い訳をして。まぁ子供だから愚直に頑張れたのかもしれないが。
「代筆を使っている事を考えると、それだけ時間がかかるのも頷ける、その費用は高価ではないが、子供にとってはそうではないのだよ」
「両親が支払うという事をしなかったんですね、その子が自分のお金でお礼の手紙を出す事にこだわったという事でしょうか」
トーマスも感心するように頷いた。私にはよくわからない感情だったが、一応わかったふりをして数回頷いておく。共感しておけば、勝手に勘違いして評価をあがてくれるのだ。
「脱線しましたな……それで、事件に関してですが」
話を戻すためアリードがそう切り出した後、一度言葉を切る。トーマスとルーが姿勢を正し、真剣な面持ちとなった。
「事件は五年前、グリム領のある村で起こりました」
そうして事件の話が語られた。
公爵家がグリム領に視察に来ている最中の事だったらしい。その警備として騎士団が着任していた。公爵家が視察に来ているという事で警備は最大級。フレイア騎士団長など実力者が警備の任についていたらしい。
順調に視察が進み、問題の村に視察団がやってきた。そこでその村の近隣に生息していた野生動物であるビーファローの一匹が原因不明の暴走をした。
その時、運悪く村の女の子にそのビーファローが襲い掛かってしまったらしい。フレイアは女の子を守った。
それだけならいい話だったが、フレイアは女の子を助ける際に、ビーファローを殺してしまったのだ。そのせいで密猟者としてフレイアは捕縛され、投獄されることになった。
「騎士団の報告の書類上の話なので、これ以上は私にはわかりかねます」
「……そう」
「なんで」
話を聞き終えた所で、そんな呟きが聞こえる。ルーの声だった。そちらに目を向けると、ルーは少し震えながら、口を開く。
「なんで! 助けただけなのに罪に問われるんですか?!」




