3-3罪を犯したからと言って
館の地下牢に収容されている者は、おそらくすべて無実の罪である。父上が気に入らない相手の罪をでっち上げて、もしくは街で何か悪口を言っていた者を捕らえて、あの地下牢に収容しているのだ。
しかし、この女性の騎士団長は違う。本当に罪を犯し、収容されたのだ。それが女の子を助けた時の事。
「地下牢……ですか?」
ルーが少し顔をゆがめる。口には出さないが、おそらく無実の罪の人間があの地下牢に収容されている、という事は理解しているはずだ。この館で働いている以上、暗い部分を全く知らないではいられないだろう。
「一応訂正しておくと、無実の罪ではないわよ、本当に罪を犯している、手紙にある女性騎士団長の場合はね」
「でも、悪い人なのに、お礼の手紙をもらうものですか?」
そう言って、ルーが手紙に視線を落とす。
「罪を犯したからと言って、悪い人という訳ではないわよ、あの事件に関して言えば悪人だから罪を犯したわけではないわ」
「事件?」
「そう……と言っても、私も子供だったから詳しくないわ、アリードを呼んで事件について教えてもらいましょう」
私は通信魔法で、トーマスに連絡をする。アリードを呼んでくるように頼んだ。
「では身支度を」
今までの神妙な雰囲気はどこへ行ったのか。ルーが前に進み出て、そんな事を口にする。
「断っても、ダメなのでしょうね」
「はい、そのネグリジェ姿を男性陣に晒すのはレディの在り方として……」
何度も聞いた話だ。長くなりそうな話を遮る様にして、私はルーに身を差し出す。
「賢明な判断です」
ルーがニッコリと笑った。
身支度を終わらせると、そのタイミングを見計らったようにトーマスとアリードが部屋に訪ねてくる。
「お待たせいたしました」
「いえ、ベストタイミングでした」
返事をしようとしたところで、ルーがそう返事をした。本当に最近、ルーは私の事を舐めている気がするわ。まぁだからといって、処分する気にはなれないのだけど。別に情が湧いたとかじゃないわよ。今さら新しいメイドを仕込むのは、余計な金がかかると思うから。
「ヴィオラ様?」
「あっ、悪いわね」
トーマスから声をかけられて、我に返る。誰に対しての言い訳をしてるんだか。
「さて、アリードを呼んだのは、聞きたい話があったからよ」
先ほど読んだ手紙を持ち上げる。それに反応してトーマスが手紙を受け取り、アリードの所に持っていった。
アリードは差し出された手紙を「ありがとう」と受け取る。
「まずはそれを読んで」
アリードは宛先を吟味した後、中身を取り出し手紙を読む。
「なるほど、彼女が……フレイア殿が騎士団長を務めていたのは、少しばかり前でしたね」




