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謀略令嬢〜邪魔なら消してしまえばいいじゃないw〜  作者: 高岩 唯丑
1巻 処刑された悪役令嬢はやり直す

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2-17掃除の準備は?

 その場にいた者たちが一斉に目を見開く。チャンスなのだ。これだけ恵まれた状態で、現状を変えることができる。それをすぐに理解できるほどには、愚かではないという事だ。その目は心なしか、トーマスが時折見せる目に似ているところがあった。一部の愚物を除いて。


 最初に声をあげた老婆が、すぐに次の疑問の声をあげようとする。それを手で制して言葉を続けた。


「体力の事ね」


 見渡す限りその場にいる者はガリガリの体で、とても農作業なんてできそうもない。一部の愚物はそれよりまともなのは、食べ物を奪い取っているか貢がせているかだろう。


「……それもわかっているわ、トーマス、ルー」


 待ってました、と言わんばかりに二人が返事をすると前に進み出る。それに合わせて後ろに下がって、アリードに並んで立った。


「皆さんには、農作業ができるだけの体力が戻るまで、こちらで食料を提供します!」


 トーマスが嬉しそうに声をあげる。それに続いてルーが声をあげた。


「期限は設けませんので、焦らずに体力回復に努めてください、自己判断で体力回復できたと思ったら、教えてください、順に移住地へご案内します」


 しっかりと事前に打ち合わせた内容を伝えられている。これで計画が始動できるだろう。


「……掃除の準備は?」


 声を潜めて、隣に立つアリードへ声をかける。


「すでに終わっております」


「よろしい、仕事が早いわね」


 掃除をする予定はまだまだ先になるが、準備だけは整えておけば予定を早めることもできる。


「シズク、いるわね」


「……はっ」


 何もないはずの空間から、女の子の声が聞こえてくる。シズクはそこにいるのだろう。私でさえ分からない。相当の認識阻害魔法の腕前だ。


 このシズクがアリードが以前に言っていた手の内である。彼女は密偵としてアリードに仕えているのだ。そしてその能力で、私と父上母上との話を盗み聞き、アリードに報告したという訳だ。一度目の人生でアリードの暗殺に失敗したのも、この子に計画を知られたからだろう。


「あなたには、しばらくスラム街で掃除をするための情報収集を頼むわ、アリードいいわね?」


「はい、もちろんでございます」


 頷いたアリードが、シズクがいるであろう方向に向かって「ヴィオラ様の指示に従うように」と声をかける。基本的にシズクは、私ではなくアリードの命令に従う。もしも私とアリードが違う指示を出しても、迷ってミスをしない様にするためだ。


「確認してほしいのは、極端に体力が無い者、体に不自由がある者よ……例えば唯一声をあげたあの老婆ね」

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