エピローグ2
母上はおバカさんなので、しばらく私の言わんとする事を理解できなかったらしい。しばらく待ってあげよう。
少しの間沈黙が流れた後、母上が笑顔を引きつらせて汗をかき始める。察してくれたらしい。よろしい。
「痩せていただかなければいけませんねぇw」
分かっていると思うが、一応確認するように私は声をあげる。お仕置きではあるが、どのみちもう少し細くなってもらわなければならない。贅沢するのはいいが、それを平民に悟られてはいけないのだ。
「アリード、ジャックのおっさんに母上を騎士団の訓練に参加させるように伝えて」
「えぇ!」
「かしこまりました……いつからに?」
「ちょっ、私の意思は」
「今から」
「えぇ!」
母上が言葉を挟んでくるが、無視して続けていく。
「それと、ジャックのおっさんには、母上自身が自分が何を言っても成果が出るまで強引に続けさせるようにと厳命している、と伝えなさい」
「かしこまりました」
「い、いやぁ」
母上の悲鳴を全く気に留めない様子で、アリードがすぐさま部屋を出ていく。
「あぁ……」
母上は事務机から乗り出す様に右手を伸ばした。しかし、アリードはもちろん戻ってこなかった。それから母上が怯えた様子でこちらを見る。状況をキチンと分かっている様で、話が早いw
「はぁはぁうぇw努力が見られないようでしたらぁw地下牢にぶち込みますからねぇwくははっw」
「ひっ、ひぃぃぃ」
魔法学校は全寮制だ。場所は王都から少し離れているが、ほとんど国の中心である。国中から入学者がやってくるため、全寮制になっている。ちなみにグリム領はそれほど離れていない。何かあってもすぐに戻れる位置関係だ。だから母上に任せる事ができる。
今日は入寮の為の準備にやってきていた。魔法学校の門を見上げる。昼下がりの陽の光に当てられて、影になっている。何となく威圧感を感じる見え方だ。学校なのに城壁に囲まれた城門だからだろう。仰々しいが、そんな大した学校ではない。
「ここに通うのね、ま……」
また、という言葉が出かかって、寸前で止める。トーマスとルーに不審に思われてしまう。
「さぁ、入るわよ」
無駄に威圧感を放つ門は、私たちが歩み寄ると勝手に開いた。さすが魔法学校といった所か。トーマスとルーが驚きの声をあげているが、気にせず進み続ける。
「こんな凄そうな学校に……いいですね、お二人とも……私も、学生になりたかった」
ルーが悲しみに満ちた声をあげた。ルーは生徒として入学できなかった。だから部屋付きの使用人として連れてきたのだ。




