中学生外国人編①
まさか中学3年中学に二度の転校挨拶をするとは思わなかった。
「ユウトです。よろしくお願いします。」
女子たちはイケメンと大騒ぎだ。どこの中学も同じだな。
指定された席にすると、隣の席の長い三つ編みの女の子から声をかけられた。
「ユウトくん…私はハナっていうの。よろしくね。」
「ああ…よろしく…あれ…ハナ?幼稚園の時に同じ組だったハナか?」
「覚えててくれたんだね!嬉しい…」
髪型が幼稚園の時と一緒だったから、覚えていた感じだった。
ハナは大人しく、その日はもう話しかけてこなかった。
他の人からは、俺への質問攻めが多くまたもやヘトヘトになり、その日は終業と同時に即帰宅したが、ハナが追いかけてきた。
「ユウトくん!」
「ハナ!どうしたんだ?」
「あ、あの…久しぶりに会えたんだし、少し話せたらと思って。」
「そうだな。公園とかでも寄っていくか?どこにあるか知らないけど…」
「ユウトくん来たばかりだもんね!私、案内するね!」
ハナに連れられて公園に来た。
「ハナとまた公園にくることになるとはな。」
「私もびっくり…ユウトくんが私を覚えててくれたのも驚いたよ!」
「そうか?2人だけでも結構遊んだよな。それに、ハナはどことなく幼稚園の時からあんまり変わらないからさ。髪型とか。」
「え?髪型?は、恥ずかしいな…」
「似合ってるからいいんじゃないか?」
「実はね。幼稚園の時もユウトくんが三つ編みが似合うって言ってくれたんだよ。」
「確かに言ったかも…でも三つ編みの長さは伸びたね。」
「うふふ。そうだね!」
その日は思い出話で盛り上がった。
翌日の昼休み、少しだけハナと話した。
「ユウトくん、質問ばっかりで大変だね。」
「ああ、疲れたよ…」
さらにその翌日、俺に図書委員を命じられた。そして、その図書委員の相方はハナだった。昼休みに早速、図書室の整理を任されたのでハナと行った。
「ユウトくん…幼稚園でのこと覚えてる?」
図書室で本を整理していると、ハナから話しかけられた。
「ああ、多少はね。ハナはよく迷子になって泣いてたよな。」
「ひどい!私ってそんな思い出しかない!?でも、ふふふ。覚えててくれたんだね。」
ハナは嬉しそうに話した。
「待てよ…いや、思い出した。かくれんぼした時に、隠れた場所が遠くて迷子になっていたんだ!」
「変な思い出ばっかり!?」
ハナは俺と2人だと饒舌に話してきていた。この図書室の掃除ですごく仲良くなった気がする。
その後、教室に戻り席に座ると、周りが騒がしいことに気づいた。
俺の隣、ハナとは逆側の女の子に向けて
消しゴムの男女複数人がカスを投げて、クスクスと笑っている。
くだらないことやってるな…
「なんだ外人?なんかあったのか?」
その消しカスを投げられた女の子が振り返ると、消すカスを投げていたうちの1人の男が言った。他の人はわざとらしく口笛を吹いていた。
俺の隣の女の子はハーフっぽい外国人だった。髪色や目の色が違う。
「ふん。」
割と気は強そうな子だった。
「いやあ、クールだねえ。日本のお淑やかさが足りないんじゃないかな?隣の転校生も怖がっちゃってるんじゃない?」
消すカスを投げていない他の人も、外国人の女の子に言っていた。なんだ?クラス全体でいじめてるのか。
「転校生のユウトもこんな子がいると怖いよなー?」
消しかすを投げていた男が、俺に話を振ってきた。
「全然。くだらない事をやって笑ってる奴がクラスメイトの方が怖いね。」
他人事だが、前世に自分がやられたことを思い出して腹が立ち、喧嘩腰に言った。
「なんだと…?」
男が俺に睨んでくる。絶対に喧嘩では勝つ自信があったし全く怖くなかった。
俺は鼻で笑った。
「こいつ!!」
俺のところに男が近づいてきた。
「何の用だ?」
「次からは、この外人のついでにお前もターゲットにしてやるよ。」
男は俺にターゲットにすると宣言をしてきた。
「ウケるな。消すカス投げてくんのか?」
「舐めた口聞けなくなるようにしてやるよ。楽しみにしてな。」
それだけを言って、男は席に戻って行った。
クラス中がピリついた雰囲気になり、誰も喋らないまま、チャイムがなった。
次の授業では、隣の席のハナからメモを渡された。
『あの男の子は、リュウっていうんだけど格闘技やっているから、みんな怖がって逆らえないの。クラス中を敵に回しちゃうから謝った方がいいよ。』
そういうことね。でも、俺に勝てるわけがないだろ。
『ありがとう。それなら、しばらくハナは俺に話しかけない方がいいよ。俺は謝らないからさ。』
とだけ書いて返事した。
その後もハナから謝った方がいいというメモが届いたが無視した。
終業となったが、その日は男からなんのアクションもなかった。
「なんのつもり?」
隣の消しカスを投げられていた外国人の女の子からは声をかけられた。
「別に。なんとなくムカついたから言っただけだけど。」
「迷惑なんだけど。余計騒がしくなる。」
迷惑と言われるとは思わなかった。面白い女だな。
「それは悪かったな。君の名前は?」
「言う必要ある?」
「あっ。調べたら書いてあったわ。リサね。俺はユウト。よろしく。」
「ふん…」
リサは帰って行った。コミュニケーションの取れない奴だな。ありゃ虐められるわ。
翌朝になると黒板に俺とリサの相合傘が書かれていた。
ガキみたいなことをしてるな。
リサは窓を見てどうでも良さそうだ。
「おい、ユウトー。この黒板のやつまじかよー?」
リュウが俺に言ってくる。
「いや、俺は知らんよ。中学3年にもなって、こんなクソみたいなガキのイタズラする奴が居るんだな。笑えるわ。」
俺はまた鼻で笑っておいた。
「てめぇ…お前のせいでみんな困ってんだよ。黒板が汚れててな。ちゃんと綺麗にしておけよ?」
イラついた声で言ってくる。
「なぜ俺が?気になるならお前が綺麗にしておけよ。」
「ユウトとリサの名前が書いてあるんだから、名前書いてある奴が消せよ。」
「嫌だね。誰が書いたか知らんが、書いた奴、もしくは気になる奴が消せよ。それも嫌ならこのまま授業始めればいいんじゃないか。」
「んだと…」
結局チャイムがなり、黒板が汚れたままリュウは自分の席に戻るしかなかった。
先生が朝会を始める時に黒板を見て言った。
「何これ?誰が書いたの!?」
「ユウトとリサが書きましたー。」
リュウが言う。
「ユウトくんとリサさんが書いたの?」
「いいえ。俺は書いてません。」
「私も書いてないわ。」
「てめえら嘘ついてんじゃねえぞ!」
リュウが言ってくる。
「先生。僕たちがこんな事を書くと思いますか?嘘をついてるのはどちらでしょう。」
「そうね。自分達で書くとは思えないわね…リュウくんが何か知っているんじゃないの?他の子達はどう?」
みんなはダンマリだ。
「誰も言わないのね…じゃあ今日の当番の子が消しなさい。今日は…リュウくんね。結局あなたになったのね、消しなさい。」
「なんで俺が!」
「当番の子が、今すぐに消しなさい!」
「ちっ…」
結局、リュウが黒板を消していた。これは恥ずかしい。
次の休憩の時にはリュウが俺にキレてきた。
「てめえ、ふざけんな!」
俺の胸ぐらを掴んできた。
「うるさいな。あと胸ぐら掴むのはやめような。」
俺が掴んできた手を、強く掴んだ。
「て、てめえ離せ!!」
「胸ぐら掴んでごめんなさいは?」
「いてぇ!やめろ!」
「ごめんなさいだろ?」
さらに強く握った。
リュウが逆の手で俺に殴ってきた。
「あーいてえ。正当防衛だからな。」
俺はリュウの鳩尾を殴った。
「がっ…あっ…」
「おれ?もう終わり?なら早く席に戻れよ。」
リュウは腹を抱えながら席に戻って行った。
クラス中がシーンと静まり返っていた。




