中学生妹編⑩
家までカノンは黙ってついてきた。
「カノン、なんであんな事をしたんだ…」
家について俺はカノンに質問をした。
「お兄ちゃん、あの女とどういう関係なの?」
カノンはゆっくりと言葉を発した。
「友達だよ。というか、今はそんなこと関係ないだろ。」
「関係あるよ。私とお兄ちゃんの時間を奪ってるんだから。私ひとりで辛かったんだよ。お兄ちゃんは私が辛かったら助けてくれるんだよね?あの女のせいで私は辛い思いしたんだから、一緒に排除しようよ。」
「は…?」
俺には、カノンが何を言っているのか理解ができなかった。
「お兄ちゃんは私が辛かったら助けてくれるんでしょ?私、あの女のせいで辛かったんだよ。」
「何を言って…」
俺はこの意味のわからない生物にどう説明したら正しい考え方を持ってくれるかわからず言葉に詰まっていた。
「そもそもお兄ちゃんが悪いんだよ。私に辛い思いをしたら助けてくれるはずなのに、他の女の子と遊ぶなんて。約束破ってるのはお兄ちゃんだよね?今後、お兄ちゃんは私以外の女の子と仲良くはなしちゃダメね。約束だよ!」
カノンは明るく言ってくる。
「あ…」
俺はやはり言葉が出なかった。頭が真っ白だ。
「お兄ちゃん聞いてるの!?女なんてすぐ勘違いするの!だから仲良く話すこと自体ダメなんだよ!じゃあ、私はお風呂入ろうかな。あ、お兄ちゃんも入る!?…あれー。ノリ悪いなぁー!じゃあ、私入っちゃうね!」
俺はただ玄関でボーッとカノンが遠ざかるのを見届けていた。
その後、俺も部屋に戻りカノンをどう対処したら良いのか考えていた。
そこで異変に気づいた。コンセントに見覚えのない複数口のある電源タップがささっている。
「なんだこれ…こんなのあったか?」
外して見てみると小型のカメラが見えた。これ…まさか…カノンがセットしたのか…?
部屋をよく見るとエアコンの近くのコンセントにも同じようなものがあり、部屋全体を見渡せるような超小型カメラもあった。
俺がショックを受けていると、母さんが帰ってきた。
「母さん…今日のカノンだけど…」
「どうしましょう…カノンが…カノンが…」
母さんは泣いていた。
「カノンが俺の友達を突き飛ばそうとしたのは見たよね。それから全然違う話だけど、俺の部屋におそらくカノンが仕掛けた隠しカメラがあったんだ。俺を好き好きて変なふうになってしまっているのかもしれない。」
「そんな…」
母さんは泣き続けている。
「俺は家を出るよ。今のカノンと近くにいるのは良くないと思うんだ。母さんも今は処理できないかもだから、後で話をさせて欲しい。」
その日、カノンが寝た後に、母さんと父さんに俺が家を出る話をした。
翌日、俺はカノンの部屋を訪ねた。
「カノン入るぞ。」
「えー。お兄ちゃんどうしたの?まさかお兄ちゃんも私が大好きになっちゃった?」
「逆だ。」
「え?」
「俺は…もうお前と一緒にいるのが嫌なんだよ。カノンが辛い時には助けると約束をしたが、それは直接的に辛い思いにあっている時だけだ。もう、そんな勘違いをするなら約束も無しだ。悪いが…俺はもう家をでる。それがお互いのためだ。」
「え…?何を言っているの?」
カノンはきょとんとしている。
「お前、ミドリを突き飛ばそうとしただろ…あれは犯罪だ。絶対にやってはいけない行為なんだよ。お前を犯罪者にするわけにはいかない。だから俺は家を出るんだよ。この夏休みの間にでていく。二学期からは別の学校に転校だ。」
「転校するの?じゃあ、私も着いていくよ!」
カノンは明るく返事した。
「カノンは連れて行かない。俺といない方がいい。それから、父さんや母さんを恨むのも違うからな。父さんや母さんは反対したが、俺は投資で稼いでいるから自分のお金で暮らすんだ。」
本当は父さんや母さんも協力してくれているが、カノンには嘘を言った。
「そんなわけないよ…嫌だよ…嘘だよ…認めないよ…!絶対に!!!」
カノンは俺に抱きつこうとしてきた。俺はそれを阻止した。
「悪いが、もう決めたことだ。」
「嫌だよ嫌だよ!もう会えないってこと?私のせいで!?」
カノンはボロボロ泣きながら言ってくる。
「カノンのためでもあるんだ。カノンは俺が好きだから暴走している。人に迷惑をかけてもいいと思っているんだ。それが犯罪であっても。カノンが犯罪者になるのはいやだ。」
「いい子にするから!他の人に迷惑かけないから!お願いだから出て行かないで…」
「いつか…俺が言っていることを理解したと判断できたら…カノンが他人に迷惑かけないと分かったら、戻ってくるよ。」
そういって俺はカノンの部屋から出た。
「いやー!!!!」
カノンの叫び声が聞こえるが無視をした。
俺はその後は、引っ越し先が見つかるまでは、遠方の祖母の家で暮らした。
引っ越し先は、俺が通う予定の高校にギリギリ通える距離で見つけることができた。
俺の人生の目標は高校のあいつだ。中学校なんてどこでも良い。




