中学生妹編⑨
カノンは異常なほどに激しいスキンシップをするようになった。そう。まるで恋人のように俺に接してくる。
「ねえ、お兄ちゃん!この漫画読んだ?」
カノンが俺のすぐ横にベッタリとくっついてくる。
「ああ、読んだよ。最後の展開が酷かったけど…ってカノン、ベッタリくっつくなよ!?」
「えー?こんなもんじゃないかな?」
「いや、明らかにこんなもんじゃないぞ。前はもう少し離れていただろ?側から見ても兄妹として不自然だ。俺まで変な目で見られるから離れろ。」
「だって私がお兄ちゃん好きなんだもん。他の人がいる時は離れればお兄ちゃんに迷惑かからないでしょ?それとも私が近いだけでお兄ちゃんにとって何か迷惑なの?」
「いや、カノンが嫌いというわけではないが、不必要に接触しなくてもいいだろ。暑いし迷惑だ。」
「私にはお兄ちゃんとの触れ合いが必要なんですー!」
すかさずカノンが抱きついてきた。
なんなんだ、コイツは…
さらに、カノンは行動がおかしくなっていた。
夏休み中でも、時々女子からLIMEがきていた。俺はどんなブサイク女子相手でも、平等に優しく返信していた。
俺がLIMEのメッセージを返すと、カノンの嫉妬はすごかった。
「お兄ちゃん、何してるの…」
「LIMEの返事だけど?」
「女子…?」
「まあ女子が多いな。カノンのクラスの子からもくるぞ。」
カノンは震えていた。明らかにストレスが溜まっている。ブツブツと何かを言っていて聞こえない。
「おい、カノン大丈夫か?」
「…お兄ちゃん、お風呂入ってきたら?沸いてるよ?」
大丈夫かの返事はなかった。まあ聞かなくても大丈夫でないことはわかっているが…
風呂から出るとカノンが俺の携帯を触っていた。
「おい!何してるんだ!?」
「あ、お兄ちゃん。変な女からLIME来てて大変でしょ?女全員に『もう二度とメッセージを送るなブス』って送ってブロックしておいてあげたよ。これでもっと私との時間が増えるね。」
俺はカノンが何を言っているか理解ができなかった。
とにかく二度とするなと怒鳴ったが、カノンには全然響かない。
「うんうん。お兄ちゃん怒ってる顔もかっこいいね。」
カノンは俺に怒られているのにニコニコと言う。
コイツはもうダメかもしれない…
俺は、プールと同じ男女6人グループで夏祭りに行く約束があった。
カノンが付いてくると行けないので、母さんにだけ予定を伝えて、俺はこっそりと家を出た。
プールで盛り上がった男女6人グループだ。当然、夏祭りも盛り上がった。
俺はミドリという女の子と歩いていたら、気づいたら他の4人がいなくなっていた。
「あれ?他の4人は?ミドリ知ってる?」
「え?いやわかんないよ。どこ行ったんだろ。まあいいんじゃない?せっかくだから2人で楽しもうよ!」
「まあそうだな。ミドリ逸れるなよ。ミドリまで逸れたら、もはや俺が逸れていると言われた時に言い訳できん。」
「多数決でいうと、すでに私たち逸れてないかな…イタッ!」
ミドリは通行人から押されて、足を怪我していた。
「大丈夫か?」
「うん…ちょっと足が痛くて…」
鼻緒の部分。足の親指と人差し指の間から血が出ていた。
「これは歩くの難しそうだな…仕方ない。おんぶしてあげるよ。」
「え、ええ!?いいよいいよ!私重いかもだし!」
ミドリは顔を赤くして拒否した。
「気にするな。俺は鍛えてるからな。体重も服の分はしっかりと差し引いてミドリの体重は計算してあげるから安心しな。」
「いや!そんな正確計られると余計に嫌なんですけど!!!」
ミドリは凄い勢いで顔を横に振った。
「冗談だよ。分かるわけないだろ。おんぶする体制で待つ方が辛いから早く乗ってくれ。」
「うん…」
ミドリは思ったよりは軽くて、なんとか数キロなら歩けそうだ。しかし…
「あ…」
上りの長い階段があることを忘れていた。
「ユウト、私降りるよ!」
「いいから、黙ってな。もはやミドリのためじゃない。これは男の戦いだ。」
ここはイケメン代表として、降りてもらおうかなとは言えない。
心の中でヒィヒィ言いながら、俺は意地と根性で登り切った。
「お兄ちゃん…」
登り切ると、カノンと母さんがいた。
「カノン!母さん。どうしてここに?」
「カノンがどうしても夏祭りに行くって聞かなくて、1人で行かせるわけには行かないでしょ?」
「そうだったのか。一緒に来てたミドリが足を怪我してさたからおんぶしていたんだよ。ミドリ、一回降りてもらおうかな。」
おんぶした状態で話すのは流石に厳しい。
「う、うん。ユウトありがとうね。ユウトのお母さん、妹さんこんばんは。」
「…ねえ、ミドリさん…後ろの階段からお友達がきていない?」
カノンがミドリに言った。
「…え?どこに?」
ミドリが後ろを振り返る。すると、カノンミドリに向かって走ってきた。明らかに突き飛ばそうとしている。
俺はギリギリでカノンを止めることができた。
「カノン!」
俺がカノンを抑えて、ギリギリでカノンが止まる。
「お兄ちゃんどいて」
俺にだけ聞こえるようにカノンが言ってくる。
「私の友達はいないよ〜。どの辺にいたの?」
ミドリが振り返った。
「あれ、ユウトと妹さんどうしたのひっついて。」
ミドリから疑問を投げかけられる。
「いや…ちょっと妹も体調を崩したみたいなんだ。悪い、母さんはミドリをタクシーで送ってあげてくれない?俺はカノンを家に送るよ。」
カノンがミドリを突き飛ばそうとした事を見ていた母さんは驚き、ただただ突っ立っていた。
「母さん!聞いてる!?ミドリを家までタクシーで送ってあげて欲しいんだ。俺はカノンを観るよ。」
「え、ええ…お願いね、ユウト…」
俺はカノンを強引に家に連れて行った。
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