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中学生妹編④

〜カノン視点〜

私はお兄ちゃんに恋をしている。気づいたのはお兄ちゃんがアメリカに留学を決めた時。

お兄ちゃんはいつも頭が良くて、運動もできて、カッコよくて、私に優しかった。

でも、お兄ちゃんだから、そんなの当たり前だと思ってた。

でも、小学3年にもなってくると、周りの子は兄がキモいとかばっかり言ってる。

変なお兄ちゃんもいるんだなと思っていたけど、小学校4年の時に友達のシズクがシズクのお姉ちゃんとお兄ちゃんを取り合って喧嘩したと聞いて、私のお兄ちゃんがモテモテだと知った。


私のお兄ちゃんはいつも特別だった。

特別頭が良くて、特別運動ができて、いつも優しかった。でも、そんなお兄ちゃんがアメリカ留学を言い出した時、私の中で何かが弾けるように泣いた。

「カノン、俺は中学からは2年間アメリカ留学するよ。」

「嫌だ!嫌だよ!日本の中学校でいいでしょ?」

「いや、俺はアメリカで色々と試したいことがある。将来的に自分のためにもなるしね。こうして父さんも母さんも応援してくれてるんだ。わかってくれ。」

「いやだあああ。なら私もいく!!!」

私は大泣きした。その時の少しの記憶が飛ぶほど泣いた。落ち着いてから、お父さんが提案してきた。

「カノン、いいか?お前はまだ英語が全然話せないだろ?お兄ちゃんは中学校でカノンは小学校。だから、お兄ちゃんの助けもなく1人で英語も全く話せずに学校生活は無理なんだ。」

「今から勉強するからいけもん!!」

「アメリカに行きたいなら、カノンも中学生になってからにしなさい。それなら後2年ある。」

落ち着いた口調でお父さんが言ったのも、私はおちょくられているように感じた。2年経ったらお兄ちゃん帰ってくるのに、1人で行っても意味ない。ものすごく私は怒って、バカアホと幼稚園児みたいな悪口を親に言ってしまった。

少し時間が経ってから、お兄ちゃんが、私の頭に手を置いて言った。

「カノン。ごめんな。俺のわがままで。長期休暇には必ず戻ってきてカノンと過ごすからさ。あと中学3年はカノンと同じ中学校に通う予定なんだ。だから許してくれないか?」

お兄ちゃんの困っていけど優しい表情に私は許せてしまった。

「うん…わかった…わがまま言ってごめんなさい…」

「ありがとうカノン。」

お兄ちゃんが頭をさすってくれた。その時はなんでかわからなかったけど、すごく胸が痛くて顔が赤くなった。その日からお兄ちゃんがアメリカに留学に行くまでの間、私はこの感情が恋していることに気づいた。


お兄ちゃんは、その後アメリカに行っちゃったけど、長期休暇はちゃんと帰ってきてくれた。そして、帰ってくるたびに背が伸びてさらにカッコよくなっていた。

「カノン、また背縮んだか?」

いつも同じ冗談を言う嬉しそうなお兄ちゃんの顔が思い浮かぶ。

お兄ちゃんが長期休暇でアメリカから帰ってくる直前はいつもドキドキして寝れなかった。帰る時は毎回大泣きした。

毎回泣くからは、お兄ちゃんからはいじられた。

「カノン、今回はいつ泣くスケジュールだ?」

みたいなことを聞いてくる。


でもお兄ちゃんが次にアメリカから帰ってきたら、もう日本でずっと一緒に暮らすことができる。

いつも以上にテンションが高かったところ、母に言われた。

「カノンもそろそろ中学生になるんだから、お兄ちゃん離れしないとダメよ。」

「え?なんで?」

「お兄ちゃんだって将来は恋人ができて結婚して、子供を産むことになるからね。いつまでもカノンと一緒にいるわけじゃないのよ。」

私はその言葉を言われた直後は「そんなの知ってるよ。まだまだ先の話でしょ。」という程度にしか思っていなかった。なのに…


お兄ちゃんとツムギが会話している時に、すごくイライラしてしまった。焦燥感があった。嫌だ。お兄ちゃんを取られたくない。

「私はツムギです!よろしくお願いします!」

「ツムギちゃんだね。そんな敬語とかいらないよ。ツムギちゃんもカノンと同じ立花中学に行くことになるの?」

「あ、うん!そう!ツムギって呼んでください!」

呼び捨て?そんなのダメだよ。

「ツムギね。俺も立花中学の3年生になるから、ツムギと同じ学校だよ。」

お兄ちゃんも普通に呼び捨てしないで!

「え?中学生なんですね!背が高い!」

「一昨日までアメリカにいてたくさん食べたからかな?」

もういいじゃん。もう私と買い物の続きしようよ。

「カノンから聞きました!じゃあ英語ペラペラなんですか?」

もうだめ…

「…お兄ちゃん!ツムギ、もういいでしょ!!早く行こうよ!!」

邪魔しないでよ!


「え…?別に良いだろ?ツムギも一緒に買い物する?」

は?ツムギも一緒?いいわけない。邪魔なんだってば。

「ええ?良いんですか!?」

本当に邪魔。

「だめ。ツムギごめん。じゃあ、お兄ちゃんいこっ。」

私は息を切らしながら言った。強引にお兄ちゃんを引っ張ってお店の外にでる。

「お、おい。引っ張るなよ…」


だめだ。何も考えられない。お兄ちゃんとツムギが話してるだけでこんなにイライラするなんて…

「ど、どうしたんだよ。カノン。ツムギと何かあったのか?」

お兄ちゃんとツムギが話してるのがイライラするなんて言えない。

「何にもないよ。」

「いや、最後明らかに怒ってる感じだっただろ?後でツムギに謝っておけよ?」

私が謝る?お兄ちゃんとツムギがいけないんでしょ。呼び捨てにして仲良くしちゃってさ。

「なんで私が謝るの!?ツムギって何呼び捨てにしてるの!?」

「は…?カノン、ツムギが呼び捨てにして欲しいっていってただろ?」

たしかに…お兄ちゃんもツムギも変なことはしてない…変なのは、私だ…

「そうだね…ごめんね…もう今日は家に帰ろっか…」



家に帰ってからも、お風呂の中でもずっと考えていた。

私がお兄ちゃんに恋をしていたのは知ってた。でも、お兄ちゃんが女の子と話しているのを見てイライラしてしまうこの感情。嫉妬は初めてだった。

「私って嫉妬深かったんだ…」

知らない私がいた。

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