小学校野球編⑤
「ゲームセット!全員集合!」
全員が集められた。
「タクヤ。この結果をもってして、ユウトを一軍の4番で第一ピッチャーにしようと思う。異論はあるか?」
「は?異論ありまくりだよ!俺は負けてない!他の奴らがヘマしたから負けたんだ!」
「他の奴ら?タクヤは一軍チームで、ユウトは二軍チームだぞ?なのにお前以外が要因で0-11でコールド負けしたっていうのか?」
「監督も一軍がエラーしまくってたの見てただろ。二軍のが守備上手いんじゃねえの?」
「お前が雰囲気を悪くして、変なプレッシャーをかけたからエラー率が上がったんじゃないのか?心当たりは?それにエラーより四球やデッドボールの方が多い。ホームランを打たれたのも味方のせいか?」
「チッ…俺はもう帰る。」
「待て。次からお前は2番投手だ。打順も5番にする。それだけは覚えておけ。」
そして、タクヤがモノを乱暴に投げつけながら、1人だけ着替えに向かった。
タクヤがいなくなったら、一軍、二軍の双方からめちゃくちゃ褒められた。
「ユウト!お前すげえな!これ全国行けるんじゃねえか!?」
「ユウトの球、全然うてなかったよ!!」
褒められていたが、着替え終わったタクヤがマキのところに向かうところを見かけたので、話を遮って、俺はタクヤとマキのところに向かった。
タクヤがマキに話しかけていた。
「マキ、お前まだ帰ってなかったのかよ。」
「なんで私があんたの命令に従わなきゃいけないの?」
「ふん。じゃあ、帰るぞ。」
「1人で帰ったら?あ、それから、私たちもう別れようね。私、今日で完全に冷めちゃった。もともとタクヤが野球上手くてカッコいいと思ったのに、今日ダサかったー!」
「てめえ!!」
タクヤがマキに殴るところを、俺がそのパンチを左手で止めた。
「女子に暴力とは穏やかじゃないね。」
「ユウト!あ、ありがとう!」
「ユウトてめえ!てめえごとやってやろうか!?元はと言えばお前が、煽るような言葉を俺に言ったんだろうがよ!」
「なんの話?何を言っているかわからないけど、実績で見ようよ。タクヤは11失点で、打撃はボテボテヒットと三振。俺は無失点で、打撃はホームラン。これで俺に野球で負けてないっていうのは、何の冗談?」
「ユウト、こいつそんなこと言ったの?」
「うるせえ!要するにてめえは俺と喧嘩したいんだな!」
出鱈目に殴ってくる。体格はあるためパワーはあるが大振りでキレがない。
こんな素人のパンチが俺に当たるわけがない。俺は小学生1年からボクシングをしてるんだ。
「正当防衛だからな。」
俺はミゾオチにパンチをした。
「がっ…あっ…」
腰が曲がり、顔も歪む。いい表情だ。素敵だよ。タクヤ。
「マキ。1人だと危ないからこっちにきたほうがいいよ。今日は俺と一緒に帰る?」
「あ、うん!ユウトあんた、喧嘩も強いの?」
「喧嘩はわかんないけど、ボクシングを習っていてね。でもボクシング以外で人を殴ったのは初めてだよ。じゃあ、着替えるまでこっちで待ってて。」
俺はその日、マキと一緒に帰った。
色々な話したが、マキがとにかく無類の野球好きだとわかった。野球がうまいタクヤを好きになったが、粗暴な内面には困っていたようで、俺に感謝してくれた。
〜マキと別れた後〜
ああ、気持ちいい…気持ちいい…
タクヤの悔しそうな表情…素敵だったなぁ…
前世なら俺はタクヤを恐れていただろうが、今は違う。
俺は改めて、俺にホームランを打たれたタクヤの表情や俺に殴られて辛い表情のタクヤを思い出していた。
ああ、そういえば、マキに振られたタクヤも良かった。俺はタクヤの不幸な顔が大好きだ。
もう少しだけタクヤを追い詰めるかな。
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