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事情聴取


「あんたら、人間か?」


男は、六人にそう話しかけてきた。

六人は防寒のため、パワードアーマーを着用している。

ぱっと見は機械にしか見えないので、『人間か?』と聞いてしまうのも無理はないだろう。


「人間です。日本国からやって――」

「人間ならこっちについてきてくれ。ここじゃ危ない」


外交官の言葉を遮り、その男は言う。

そして、近くの建物へと歩き始めた。


「危ないっていったいどういう……」

「温度が低いから……じゃないです?」

「なるほど……でも、それを危ないっていうか?」

「微妙ですね……」


木村と太田は、そんなことを話しながら男についていく。

外交官と自衛官も、男についていった。


***

~サエナルト大陸・港町・建物~


「なるほど。ニホンって国から国交を結びに来たと……今は無理だな」

「なぜですか?」

「この大寒波だよ。北にレフェア魔鉱山っていう廃鉱山があるんだが……一昨日だったかな?

突然、そこから冷気があふれ出してきて、このざまだ。政府もほぼ機能してない。

この大寒波をどうにかしないと、国交を結ぶなんてできっこないな」

「この大寒波をどうにかしないと……ですか」

「あぁ。あんたらは国に帰るといい。この大寒波をどうにかできるとは到底思えないし、夜には、気温が-100℃を下回るからな」

「-100℃!? 凄いですね……あ、聞くのを忘れていましたが、あなたのお名前は?」

「オレか? オレはアイクだ」

「アイクさんですか。ありがとうございます」

「いいってことよ」


アイクと外交官の会話が終ったその時。

考え込んでいた木村が、口を開いた。


「冷気が噴き出してきた場所は、レフェア魔鉱山でしたっけ?」

「あぁ。そうだが……」

「ということは、その坑道の奥に冷気の原因があるってことですよね?」

「まぁ、普通に考えたらそうなる」

「なら、その坑道に行けばいいのでは?」

「無理だな。レフェア魔鉱山は、魔力逆流で壊滅状態に陥った鉱山だ。

放棄されてから数十年がたった今も、坑道内は高濃度魔力が充満している。魔力流を防げる手段がないと……」

「それならありますよ」


そう言って、木村はポケットからプラスチック製の直方体を取り出した。

新日本空間研究所のロゴが入っており、その下には『ARS』と書かれている。

ロッカスイッチとダイヤルが一つずつついており、アンテナの様なものもあった。

小さな窓があり、内部にはモーターが見える。


「司令、それは?」

「携帯型左沢現実安定機(ARS)だよ」

「ARSに携帯型なんてあったんですか」

「最近開発されて、実験的に配備されたんだよね」

「へぇ……」

「……エーアールエス? それは何だ?」


アイクは、木村に尋ねる。


「めっちゃ簡単に言えば、魔力流を無効化する機械ですね。

携帯型なので、周囲1mにしか効果がありませんが、坑道を探索する程度なら十分でしょう」


固定型ARSが周囲10㎞に効果があるのに対し、携帯型ARSは周囲1mしか効果はない。

その上、試作であるため起動中はモスキート音が鳴るという不具合が存在。

出力の大きさによっては、充電も数十分で切れてしまう。

対応できる魔力量は0.1hytから200hyt。

固定型が0.01hytから400hytなので、はるかに劣る性能だ。

ただ、それ以上に『携帯できる』という利点が重要だった。


「なるほど……だが、そんなものが本当にあるとは……」

「私たちが冷気の原因を探ってくるので、魔鉱山に案内してもらいたいです」

「わかった。ついてきな」


アイクはそう言うと、建物を出て、雪道を歩き始めた。

木村たちは、外交官二人と陸上自衛官一人を建物に残し、それを追った。

「面白かった!」


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