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巨大なげっ歯類

破壊されたシャッターから暴風雪が吹き込み、艦内温度が一気に下がる。


「な、なんだこいつは……!」

『データなし。新種の生物です!』


それは巨大なげっ歯類に見える化け物で、格納庫内の戦闘機をいとも簡単にかみ砕いてしまった。


「と、とりあえず俺は報告するから、ツバキは時間を稼いで!」

『了解。りょうか、りょ、りょ、りょ、ピー!』

「どうした!?」

『エラー! エラー! 最低耐冷温度を下回っています。自己診断システムを起動。

音声合成ユニット:凍結、マイクアレイ:凍結、全身タッチセンサー:凍結、感情エミュレーター:凍結、

通信システ、て、て、ム:凍結、凍結、凍結、凍結、凍結、ガガガ……緊急再起動を行います。

再起動中……エラー発生……初期化中……loading……loading……loading……』

「くそっ!」


内村は止まってしまったツバキをおんぶし、通路へと走る。

巨大な化け物は、並べられているトークロイドやパワードアーマー、戦闘機を破壊しながら迫ってきた。


***

~「しなの」通路~


「しかし、あの四人は何なんだろうね」

「さぁ……多分、第三大陸の人だとは思いますけど――ん?」


木村と太田が艦橋に戻っている途中、太田が立ち止まった。


「どしたの?」

「いや、なにか聞こえた気がして……」


それを聞き、木村も耳を澄ませてみる。

通路の奥から、誰かの声がした。


「なんだろ」


そちらを見た直後、角からツバキを背負った内村が飛び出してくる。

その後ろからは、巨大な化け物がおってきていた。


「えぇえええ!?」


木村と太田も、化け物から逃げ始める。


「ちょっ!  内村君! 何あれ!?」

「わかんないっす!」

「えぇ!? お、太田君! 武器、武器持ってない!」

「持ってるわけないですよ!」


化け物は猛スピードで襲ってくる。

パワードアーマーを着ている木村を先頭に、太田、内村という並びで走る。


「というか司令! パワードアーマー着てるでしょアンタ!」

「そういやそうだった!」


走りながら、パワードアーマーに搭載されている銃を化け物に向けて撃つ。

しかし、弾は弾かれてしまった。


「弾かれたっ!?」

「もはや生物じゃないっすよあれ!」

「銃弾をはじける素材って何です!? 鉄!?」

「鉄は銃弾をはじけないよ太田君!」


防水扉を閉めながら、必死に走る。

しかし、相手は防水扉を簡単に破壊し、追い続けてきた。


「そうだ! 私にいい案がある!」

「いい案って!?」

「主砲を使う!」

「はぁ!?」


「しなの」は、空母でありながら単装速射砲を搭載している。

木村は、それを利用して化け物を倒そうというのだ。


「でも、主砲はCICからじゃないと操作できませんよ!」

「わかってる! 太田君はCICに行って、主砲の準備を!」

「わ、わかりました!」


太田はCICに向かって走りだす。

しかし、化け物は太田に目もくれず、木村たちを追ってくる。

木村が、化け物を撃ち続けているからだ。


「内村君は艦橋でツバキの修理を!」

「了解!」


内村は艦橋に向かって走る。

やはり、化け物は彼に見向きもしなかった。


***

~「しなの」甲板~

甲板には、雪が積もっている。

外に出ると、パワードアーマーの関節駆動部やカメラが凍り、動きが遅くなった。

化け物も甲板に出てきたが、寒さは感じていなさそうだ。


「ほんとに生物なの? あれ」


そうつぶやきながら、木村は主砲の前まで向かう。

そして、化け物を主砲のちょうど前までおびき寄せた。


「……今だっ!」


パワードアーマーの通信機にそう叫ぶと、主砲が発砲。

直径127mmの榴弾が、化け物に着弾した。

爆風と砲弾の破片が、化け物と木村を襲う。


「……やった……っぽい、かな?」


化け物は、息絶えている。

血を雪の上に流し、ピクリとも動かない。

「面白かった!」


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