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研究所

~エールラフィン山の施設・研究室A~

半開きの自動ドアをこじ開け、中を見る。

いかにも研究室といった感じの部屋で、たくさんの資料や実験器具が転がっていた。

実験用のガラス管が割れていたり、ビーカーやフラスコなどの破損も目立つ。


「いったい、なんの施設だったんだろうな……」

「研究施設だったことは間違いないっしょ。何を研究してたのかはわかんないけどさ」


言いながら、三日月は机上の資料を手に取った。

何かの報告書のようで、すこし古風な日本語で書かれている。


「日本語? ここ、異世界なのに……なんでだろ」


資料を開いた。

紙が劣化しているほか、墨で検閲されている部分も多く、ほとんど読めない。

かろうじて読める部分から推測すると、この施設の研究成果についてのようだ。


「う~ん……よくわかんないや」


三日月は、資料を閉じながらそう言った。

そして、それをリュックサックしまうと、こうもいう。


「帰国したら、専門家に解読してもらおう」

「……で、どうする? もうこの部屋には何もなさそうだが」


香川がそう言って、あたりを見回す。

確かに、先ほど回収した資料以外にめぼしいものはなさそうだ。


「とりあえず、あの部屋に行ってみようか」


田中がそう言い、部屋の壁に取り付けられた鉄製の片開きドアを指さした。

***

~エールラフィン山の施設・薬品保存庫~

研究室Aから入れる、地図にも記されていなかった小さな部屋。

棚には薬瓶が大量に置いてあり、

中そのには錠剤や液剤、粉剤など様々な種類の薬品が入っていた。


「……聞いた事もない薬品ばっかりだな」


棚に並べられた薬瓶を見ながら、田中がつぶやく。

そんな中、三日月が突然声を上げた。


「あっ!」

「どうした?」


そう言って、香川が三日月に近づいていく。


「えっ? あ、いや、何でもない!」


三日月は慌てたようにそう言って、右手に持っていた紙片をポケットにねじ込む。

そして、左に持っていた薬瓶を棚の奥に押し込んだ。

香川は一瞬怪訝な表情を浮かべたが、

今はそれより龍田を探すのが先だと思い直し、 それ以上は追及してこなかった。


「めぼしいものはないな。次に行こう」

***

~エールラフィン山の施設・大倉庫~

鉄製の大きな扉を開き、中に入る。

四人全員が中に入った直後、床が崩落。

地下まで落っこちてしまった。

***


「いたたたた……老朽化してたんだ」


床の破片の中から、そう言って、田中が起き上がる。

そこは大倉庫よりも広く、薄暗い空間であった。


「やばっ、ライトがつかない。さっきの衝撃で故障したんだ……」


同じように起き上がった三日月が、

自身のヘッドライトの電源をつけようとして、そう言った。

ほかの三人もライトをつけようとしたが、うんともすんとも言わない。

どうしようかと考えあぐねていた時、凄まじい光量が彼らを襲った。

光の暴力に一瞬目がくらむが、しばらくすると、

目が慣れてきたのかしっかりとものが見えるようになる。

彼らが何事かと光の元を見たとき、そこには探し求めていた彼女がたっていた。


「龍田……!」


田中がそう言う。

彼女は何も答えず、生気のない目でこちらを見つめていた。

四人が違和感を感じていると、龍田が話し始める。

その声は、いつもとは違う頭の中に響くような声。

精神を揺さぶり、意識が朦朧としてきた。


「ようこそ、人の子よ」


声の主は龍田ではない。

確かに、声自体は頭の中に響いてくることを除けば、龍田のものだ。

しかし、その声は明らかに異なるエネルギーを帯びていた。

龍田の身体が動くことなく、その声は広がりを持ち、空間全体に響き渡る。


「私は破壊と闇をつかさどる者、『エルラト』。

……お前たちが言うところの、『邪神』だ」



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