工事開始と登山隊
~ユトラ大陸・地盤強化工事現場~
簡易版の地鎮祭を終え、地盤強化工事がついに始まった。
日本政府から派遣された、大量の重機や作業員達がユトラ大陸へ上陸。
ルスア王国であふれた失業者も作業員として参加し、 超大規模工事が開始された。
「何だこの鉄、かるっ!」
「アルミニウムですね。軽量かつ頑丈なのがウリです」
「こっちは? これも軽いけど……」
「チタン合金です。高価なんで雑に扱わないでください」
「わ、わかった」
設計図に沿って、重機が地面を掘り返していく。
特殊な物質……フエーラ剤と呼ばれるものだが、
これを注入した土地は堅牢な原子構造に組み替えられ、
従来の地盤強化工事よりも高い安定性を持たせることができる。
そもそもこの大陸沈没は、大陸の地下構造の一部が海へ流れ出し、
その上に位置する地面が沈下することで発生するとされている。
地下構造が流れ出る前にフエーラ剤で安定性を強化しておけば、沈没を回避できるのだ。
***
~ルスア王国・ジェレタ半島~
巨大な休火山「エールラフェン山」を中心に広がる、 ルスア王国最南端の半島。
この世界での紀元前、ユトラ大陸人が生まれた場所とされており、
エールラフェン山は霊峰としてあがめられている。
このエールラフィン山は年間を通して雪に包まれ、
最も高い場所は標高7000mを越えるユトラ大陸最高峰。
火山の噴火を誘発する恐れがあるため、ここは地盤強化工事の範囲外だ。
その登山口で、国立地質学研究所の火山調査登山隊が整列している。
谷山が部隊の前に出て、作戦内容の説明をし始めた。
「皆さんにはこれからエールラフェン山に登っていただき、
地下高エネルギー体の調査を行ってもらいます。
この高エネルギー体を調査するには、山頂まで到達しなければならないのです。
エネルギー体は大陸沈没の元凶ですので、調査によって、
新たな対策方法が見つかるかもしれません。
私はついていけませんが、無事を祈ります。ご武運を」
説明を終え、谷山が後ろに下がる。
それを見た火山調査登山隊の隊長、香川直人が前に出ると、隊員たちに言った。
「装備確認!」
その声に、隊員たちは荷物を確認し始める。
***
日本国立地質学研究所 火山研究センター
第一火山調査登山隊 主要装備
【個人装備】
・耐熱防護服
・酸素ボンベ
・ガスマスク
・登山用ピッケル・ロープ
・クライミングハーネス
・登山靴
・ハンディトランシーバー
・衛星通信機
・GPS
・耐熱水筒
・小型シェルター
・その他登山用品
【測定機器】
・火山ガス分析器
・地震計
・小型ドローン
【衛生用品】
・応急処置用品
・高エネルギー食品
・浄水器
***
「「装備確認完了!」」
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