緊急閣議
~日本国・東京都永田町・首相官邸閣議室~
「と、いうことで緊急閣議を開催します」
官房長官が、憔悴しきった顔で口を開いた。
「今回は地質研究所の谷山教授が説明してくれるそうです」
「どうも、谷山です。よろしくお願いします」
谷山が説明を始める。
「さて、結論から先に申し上げますと……ユトラ大陸は10月15日に海へ沈みます」
「10月15日……四週間後じゃないか!」
「はい。時間がありません。早急に対応策を考えるべきです」
「対応策、か……一番簡単なのは、ユトラ大陸を見捨て、
南のエーンヤード大陸に寄港地を作ることだな。エーンヤード大陸は沈まないんだろう?」
川田がそう言うと、谷山はそちらを向いて答える。
「はい。沈むのはユトラ大陸だけです」
エーンヤード大陸。
いわゆる小国の集まっている大陸で、そのほとんどが原生林と山。
居住可能地域は少なく、そのため文明もあまり発展していない。
ユトラ大陸のすぐ近くに位置するためか、
高度文明圏国家が多数の植民地を持っている、
この世界のアフリカ大陸のような場所だ。
「ただ、ユトラ大陸沈没後は海流や生態系が大きく変わるだろう。
そうなると、エーンヤード大陸までの安全な航路が失われるかもしれない。
ユトラ大陸を見捨てるのは、得策ではないな」
「その通りです。私が考えたのは、ユトラ大陸の東部に"地盤強化工事"を施す、という対処法です」
「地盤強化工事?」
谷山の言葉に、国土交通相が疑問を呈す。
他の大臣も頭に疑問符を浮かべていた。
「お手元の資料の12ページをご覧ください」
「……こ、これは!」
資料には、地盤強化工事の詳細なプランが示されていた。
「要するに、地盤に特殊な物質を注入することで、
地盤の安定性を向上させ、沈没を防ぐというわけです。
それだけでは不安なので従来の地盤改良工事……つまり、固化剤を混ぜ合わせる工事も並行して行いますが……これはかなりのお金と時間がかかります」
「技術的には可能なのか?」
「はい。すでに基礎となる技術は確立されていますし、理論上は問題ないはずです」
「ふむ……しかし、それで本当にどうにかなるのか?」
「プレートが移動するわけではないので、何とかなりますね」
「ふむ……工事にはどれくらいかかる?」
「資料に書かれている範囲なら三週間……いえ、二週間で終わらせます」
「そうか……田中外務大臣。各国への説明はどれくらいかかる?」
「10日はかかるでしょう」
「一週間でどうにかならないか?」
「それは難しいです。各国には慎重に説明を行う必要がありますし、
短期間での合意は難しいかと思います」
「しかし、一週間以上かかれば、対策が間に合わない……」
「……施工範囲を縮め、地元住民を作業員として雇用すれば、
工事は一週間で終わらせられますよ」
川田のつぶやきに、山谷がそう言った。
「そうか……なら一週間で、ユトラ大陸に地盤強化工事を施してくれ」
「承知しました」
「田中外務大臣。各国への説明を頼む」
「はい」
こうして、地盤強化工事計画が動き始めた。
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