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災害二日目 夕 月丘町

~神水市・月丘町~


『決壊した撫子川の水が終寒区に流れ込み、多くの被害が出ています』


ラジオのニュースを聞きながら、北へと向かう。

雨はやんでおり、一時下がった気温が上がり始めていた。


「ここも沈んでる」


彼女のいる高台の地域は無事だが、少しでも下がったところはすべて沈んでいた。

水位はどんどん上がっており、この地域もいずれ沈むだろう。


「どうやって無事なとこまで行こうか……」


そもそも終寒区は周辺と比べても低い位置に存在する。

そのため、この水から逃れるには終寒区外へ出なければならないのだ。


「冠水してきた。仕方ない、あのビルに移動しよう」


泥水が足首あたりまで迫ってきたので、

近くのビルに入り、自転車を押しながら階段を上る。


***

~神水市・やよいビジネスガーデンビル五階・滝村商事オフィス~


「これくらいまで上がれば大丈夫かな」


自転車を置き、オフィスの椅子に座る。

地震の影響でオフィスの窓ガラスは割れ、雨水が入ってきていた。


(どうやって区外に出るか……)


考えていると、地面が大きく揺れ動いた。

余震だ。


「うわっ」


窓の外を見ると、通りにあふれている水の水位が上がり、

道路がほとんど見えなくなっていた。


(まさか、このビルも沈んじゃう?)


そうこうしているうちに、水がどんどん上ってくる。

幸い、水位は四階の半分くらいで止まった。


(まだ大丈夫っぽいけど……早く水上を移動する手段を手に入れなきゃ)


成美は考える。

そして、思いついた。

立ち上がり、工作を始める。


(デスクを分解して……放置されてたガムテープを……

自転車のギアを外して……パイプ椅子を分解……よし!)


彼女がつくったのは、分解したデスクと自転車を合わせ、推進力を得たイカダだった。

割れた窓からそれを外に出し、乗ってみる。


「……OKかな?」


組み合わされた自転車に乗り、ペダルをこぐ。

イカダはゆっくりと動き始めた。


「やった!」


その時、イカダが大きく揺れる。

轟音と共に、先ほどまでいたビルが倒壊。

それにより発生した大波が、成美に襲い掛かってきた。


「マジぃ!?」


自転車を一生懸命こぎ、イカダを移動させる。

組み替えたギアによりタイヤの回転が横に代わり、仮のスクリューが回った。


***


「はぁ、はぁ……」


しばらく水上を進み、濁流から逃れた。

しかし、陸地は見えない。

いや、それは正確ではなかった。

遠くには山が見えるし、周りでは電柱やビルが突き出ている。


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