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災害二日目 朝 神水中央駅へ

~すすき住宅街・ラベンダー児童公園~


成美は朝日を浴び、目をさました。

硬い地面の上で眠ったからか、体の節々が痛い。

ベンチに座り、東から登る朝日を眺めながら、家から持ってきた食パンの袋を開封する。

数日前の食パンをもそもそ食べながら、周りの様子を見た。

児童公園の時計は地震発生時刻の午前7時12分で止まっており、

道路には車が放置されている。

家々はある程度無事なようだが、中には完全に倒壊している家もあった。


「……さて、行こうか」


残ったパンをリュックに詰め込み、自転車に乗る。

そして、さらに北へと向かった。


***

~神水市・神水市立向日葵商工高等学校前~


『神水市を襲った大地震から一夜がたちました。

死者行方不明者数は数十万人にも及ぶと考えられています。

また、歌浜区は全土が水没状態となっており、 被害の全貌は未だにわかっていません。

宮葉電力によりますと、今夜には電力が復旧する予定とのことです。

神水市では未だ余震が続いており――』


カゴに入ったスマホから聞こえるラジオの音声を聞きながら、成美は自転車をこぐ。

そして、避難所に指定されている向日葵高等学校の前までやってきた。

校舎や体育館はボロボロで、避難民のほとんどは校庭で休んでいる。

校庭には給水車が止まっており、水を求める被災者が行列をなしていた。

この猛暑では、水がないのは本当に辛い。

成美はミネラルウォーターの入った魔法瓶加工の水筒を持っているが、

彼女のように水筒を持っている人がこの神水市にどれだけいるだろうか。

そんなことを考えながら、彼女は向日葵高等学校前の道路を通り過ぎた。


***

~神水市・瑠奈ニュータウン~

神水市の内陸部に位置する瑠奈ニュータウン。

建売住宅が広がるこの地域は、 被災者たちであふれかえっていた。

瑠奈ニュータウンの建売住宅は、その多くがいわゆるデザイナーズハウスだ。

このような建物は地震により倒壊しやすく、

瑠奈ニュータウンでも多くの建物が倒壊していた。

そのため、住民たちは外で休憩するしかない。

避難所に指定されている学区の小学校は被害が大きく、運動場にブルーシートを引いて休憩するしかない。

それでは、道路に座り込んでいるのとほとんど変わらないだろう。


「暑い……」


ボロボロな歩道に座り込んでいる被災者が、口々にそう言っていた。

現在は無風であるうえ、気温はどんどん上がって行っている。

水道も止まっているし、こんな状態で外に居たら熱中症は必至だ。


「隣町の小学校まで水をもらってくるわ……」

「ああ、うん……なるべく早くね……」


付近の道路は被害が大きく、瑠奈ニュータウン内に給水車が入れない。

そのため、ニュータウンの住民は隣町の学校まで水をもらいに行かなくてはならないのである。


成美は、そんな瑠奈ニュータウンを自転車で進んでいた。

彼女の目指す先は神水中央駅前にある姉の家。

神水中央駅周辺は、神水市南部に比べて被害が少ないらしいのだ。


「それにしても暑い……」


自転車をこぎながら、成美はつぶやいた。

それなりのスピードで走っているため、風はある。

が、それだけだ。

水筒に入れてきた冷水は先程なくなった。


「あー……」


暑さでクラクラしながら自転車をこぐ。


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