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災害一日目 昼 避難開始

~神水市・百合ヶ丘商店街~


(気持ち悪い……早く着替えたい……)


成美は股間に不快感を覚えながら、商店街を進む。

ビル街からここまで来るのに2時間ほどかかってしまった。

地震によって倒壊した家屋は多く、舗装路も通行が難しくなっている。

しかし、この辺りはまだマシな方だ。

スマホでラジオを聞いたところ、市の沿岸部では液状化が発生しているらしい。


「よし、もう少しだ」


彼女の目の前には、傾いたビル群が広がっていた。


***

~神水市・第二つばきマンション502号室~

ここは、成美の部屋。

彼女が扉を開けると、散乱したものや倒れた家具が目に入る。


「……」


成美は、無言でそれらを避けながらリビングへと向かった。

部屋の電気は消えており、カーテンの隙間から日の光が差し込んでいる。

窓ガラスは完全に割れ、とてもじゃないが寝泊まりはできそうにない。

寝室までいってパンツを履き替え、棚からリュックを引っ張り出し、

高校生時代の体育ジャージを着た。


災害時はたとえ真夏であっても、

体を守るために長袖長ズボンで移動することが推奨される。

特に、 綿など燃えにくい素材のもの。

アウトドア用の防水加工された服も丈夫で避難に適している。

靴は底が厚いものを履き、ガラスの破片などによる怪我を防止しよう。

ただ、長靴をはくのはやめた方がいい。

閑話休題。


成美は昔になんとなく買った登山用リュックサックを背負い、外に出た。

そして、マンションの駐輪場へと向かう。


***

~神水市・第二つばきマンション駐輪場~


「良かった、倒れてない」


そう言った彼女の前にあるのは、昔になんとなく買ったマウンテンバイク。

ノーパンクタイヤで、カゴも付けている。


自転車は災害時、最も頼りになる移動手段である。

ライフラインの途絶した被災地では、

自転車があるかどうかで生活水準が大きく変わるのだ。

物資運搬にも使え、非常に汎用性が高い乗り物である。

そんな自転車だが、最大の敵は「パンク」だ。

災害後の街を走る関係上、どうしてもパンクしやすくなってしまう。

幸い、成美の自転車はノーパンクタイヤだが。

さらに気を付けないといけないのが、「盗難」だ。

これだけ便利な乗り物、盗まれないわけがない。

特に災害直後は、治安が悪化することも多いため注意が必要である。

閑話休題。


「よいしょっと」


成美はマウンテンバイクにまたがり、スタンドを外す。

そして、ボロボロの道路を走り出した。


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