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銀行強盗

~「しなの」艦橋~

「そういえば、教国が日本に攻めてこようとしているらしい」

「急になんすか」

「いや、内調の友人から聞いてさ」

「それ情報漏洩じゃありません?」

「たぶんそう。部分的にそう」

「ア〇ネーター?」

「ちなみにその友人とは連絡が取れなくなってる」

「消されてるじゃないですか」

「まあ、冗談だろうけどね」

「はぁ」

「しかし寒いな……」

「その格好で言われても説得力皆無ですよ」


木村はひざ掛けにあったかそうな上着、足元にはヒーター。

ついでにマフラーと耳当てもしている。完全防備だ。


「私寒がりなんだよね」

「寒がりってレベルじゃねぇぞ!」

「上司に向かってその口調はダメでしょ」

「すんませんでした」

「よろしい」

***

~夢見市・魔法犯罪対策課夢見支部~

『銀行強盗発生。犯人は3~4人のグループと思われる。なお、グループ内には魔法使いがいる可能性あり。第三小隊出動せよ』


魔法犯罪対策課。通称魔対課。

魔法を悪用した事件を専門に捜査する警視庁警備部内の部隊だ。


「了解!第三小隊員は直ちに出動せよ!」


隊長の号令により隊員たちが一斉に動き出す。

そして、すこし形の違うパトカーが走り出した。

このパトカーは異世界で発見された新鉱石「オリハルコン」が装甲に使われている。

「オリハルコン」というのは、異世界では世界一硬い鉱石として知られていた。

この鉱石にはそれ以外にも特徴があり、「魔法を打ち消す」というものがある。

その性質を使って開発されたのが、魔法無効化装甲である。

魔法犯罪対策課のパトカーは、魔法に対応するためこの装甲が使われている。

そのため、すこし形が違うのだ。

***

~夢見市~

白いバンが銀行の扉をぶち破り、逃げ始める。


「おい!早くしろよ!」

「わかってるわよ!!」


運転席の男と助手席の女が言い争う。


「いい加減にしてください!!あなた達が遅いんですよ!!!」


後部座席に座っている女が怒鳴った。

彼女らが乗るバンのトランクには、大量の札束が詰め込まれていた。

銀行から奪ってきた新札である。


「うるせぇ!こっちだって必死なんだよ!!」


運転手が叫んだ、その時。


『前のバン、止まりなさい!』


パトカーのサイレンと共に、拡声器越しの声が届く。


「チッ……止まれっつっても止まるわけねぇだろ!」


男がアクセルを踏み込むと同時に、タイヤから煙が上がった。


「おまえ、魔法で足止めしとけ!」

「わかりましたよ!」


後部座席の女が扉を開けると、杖を振り上げた。

すると、杖の先から炎が放射され、パトカーを包む。

だが、パトカーはすこしすす汚れただけだった。


「嘘!?効いてないんですか!?」

***

「本部!PITマニューバの許可を!」


パトカーに乗る警官が、無線機にそう叫ぶ。


『許可する!』


PITマニューバ。車両を被疑車両にぶつけてスピンさせるなどし、逃走の継続を阻止する強制停止措置の名前だ。


「おらぁ!」


警官はハンドルを切ると、パトカーをバンにぶつける。

しかし、バンは少しふらついただけで止まらなかった。


「やっぱり止まらないか……仕方ない、Aモードに変更しろ!」

「わかりました」


Aモードとは、Attacker Modeの略だ。

どういうモードなのかは、見てもらえばわかるだろう。


「ぽちっとな」


助手席に乗っていた巡査がボタンを押すと、ボンネットの一部が開く。

そして、バルカン砲が出てきた。

……いや、これ明らかに過剰武装だろ。


「目標、前方のバン。撃てーっ!」


物凄い音とともに銃弾が発射される。

ちなみにこのバルカン砲は、貫通しにくいようにホローポイント弾が使われている。

もちろん実弾だ。


「うわっ!?」


乗り出していた女が体を引っ込めるが、弾がタイヤに当たったようでスピン。

そのままガードレールに衝突し、パトカーに退路をふさがれた。

警官が中を見ると、衝撃で犯人たちは気絶しているようだ。


「よし、とりあえず引っ張り出すぞ」


数人の警官が三人を引っ張り出したその時、違う警官が叫んだ。


「爆発するぞ!逃げろ!」


次の瞬間、バンが爆発炎上。周辺に一万円札が散らばった。

奇跡的に周辺にいた警官や、引っ張り出された犯人たちにケガはなかったのだが。


「お札の雨なんて初めて見たよ……」


一人の警官が、降ってくる一万円札を見ながら言った。

***

転移後、異世界人によるこのような犯罪が増加傾向にあった。

日本政府はそれに対応しようと、新たな組織を発足。それが魔法犯罪対策課である。

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