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作戦開始まで

翔は、取り出した機械をよく見て見る。

いくつかの配線がつながった、小さな箱型の装置だ。


「これは……」

「WVR-0の操作機能拡張アタッチメントです。WVR-0の制御システムに取り付ければ、トークロイドとワイヤレス接続を行い、トークロイドの意思によって、レバーやペダルを操作せずとも操作できるようにします」

『ハイテクですね』

「ハイテクの塊がなんか言ってら」

「武器管制システムともつながっているので、コックピットに乗らずとも、通信が届く範囲なら遠距離操作ができるんです!凄いでしょう?」

「なるほど。それなら、ツバキが船にいても、遠隔でWVR-0を動かせるわけですか」

「その通り。もちろん、人間による遠隔操作も可能ですよ」


***


「この船、遅くない?」


「しなの」飛行甲板。

暴風雪が吹き荒れる中、荷物を置いて、さくらがそういった。

この時、二人を含めた隊員たちは、飛行甲板に機関銃陣地を作っていた。

甲板を飛行甲板として使えないために。

ただ放っておくよりも、白兵戦用の機関銃陣地を設置しておいた方が、場所を有効に使えるという考えによるものだ。


「そりゃ、6ノットしか出てませんからね」

「おっそいなぁ」

「まあ、大穴空いてますし……」

「どうにかできないのかなぁ、魔法とかで」


直樹は、呆れた顔で彼女を見る。

彼女は、少し照れくさそうにあたりを見回した後に、


「何さ」


直樹は淡々と、呆れたように言い返す。


「私たちの中に、魔法使いなんていませんよ」

「あっ……」


しばしの無言。

甲板には、雪が船体にたたきつける音だけが響いていた。


「アイをこっちで引き取ればよかったなぁ」

「味方で唯一の魔法使いですしね」


ため息をつくと、さくらは空を見上げる。

あたりは相変わらずの曇天で、雪がそこかしこから吹き付けていた。


「この寒波が終わるまでが勝負だね」

「はい?」

「この暴風雪なら、まともな航空戦力は期待できない。両軍ともにね。今、ほとんどの航空戦力を奪われてしまった私たちにとって、この猛吹雪は――」

「いわば、神風さ」

「……」


少しの静寂。周りには風と雪の音だけが響く。


「……なにカッコつけてるんですか。気持ち悪い」

「上官にその言い草はなくない? ……まあ、いいけど。大穴の修理は誰が?」

「二分隊のトークロイド隊が。この調子で修理が進めば、21:00(フタヒトマルマル)には通常航行が可能となります」

「今が2月26日13:15(ヒトサンヒトゴー)だから、約8時間か。長いね」

「なんでわざわざ日付まで言ったんです?」

「再確認だよ再確認。そうだな……じゃあ、15:00(ヒトゴーマルマル)にみんなを士官室に集めて。今後について会議するから」

「わかりました」


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